「死化粧師」を観る 第2回/血の涙がでる
深夜ドラマ「死化粧師」第2回を観ている。
冒頭、患者がいきなり血を吐いた。吐血って、結構死んじゃうんじゃないかと思うくらい血が出る。
床の材質にもよるのだが、お掃除が下手だと、血の跡が丸く残ってしまったりするものだ。ドラマでは、日ごろ病院内の清掃員をしているエンバーマー(遺体衛生保全の専門家)、間宮心十郎がその後始末をしていた。
まあ、清掃員だから始末するのは彼の仕事として当然のことなのだが、それでも、ああ、なるほどな、と、思った。
エンバーマーと病院清掃員。どちらも、人が目を背けたくなるほど壊れてしまったものを、何もなかったかのように「修正を施す」仕事だ。他人の体液にまみれながら、その場を日常へ引き戻そうとする。
葬祭ディレクターをしていたころ、ご遺体から血が流れる場面を何度か目撃した。血が出る方は、肝臓が悪いことが多い。腹水が出てくるのだ。
「腹水が溜まる」という言葉は、聞いたことがあるとは思うが、「腹水」なんていわれると、さらさらした水のようなものをイメージしてしまうものではないだろうか。実際は、まったく違う。外見上はただの血だ。ただ、一瞬で吐き気を催すほどに、臭い。腐っている血ほど臭いもんはない。
布団にお休みになっている遺体から、腹水が逆流してしまうことがある。腐った血は発酵するかのようにプチプチと異音を発しながら喉元にせり上がってくる。そして体中の穴という穴から流れ始めるのだ。
それはたいてい、顔にかけてある晒が赤く染まっていることで気づく。
不思議に思ってぱっと晒しをはずすと、目から耳から鼻から口から、血が流れている。発見してしまう家族は気の毒としか言いようがない。きっと、夢に出てくるだろう。
「おかあさん、おばあちゃんが血の涙を流してるよ」なんてホラーな会話が、現実になされてしまう。一度流れ始めてしまった腹水は止めることができない。脱脂綿でふさぐにも限界がある。逆流を抑えればいいのだが、ご遺体を立たせておくわけにもいかない。
よって「腹水の全出し」が行われる。
ご遺体をうつぶせに近い状態にしてみぞおちをぐっと押し、腹水を全て吐かせてしまう。その現場はあたかも、屠殺場のように血であふれかえる。私はその現場をはじめて体験したときから、どんなに二日酔いの朝でもトマトジュースを飲むことはできなくなってしまった。
この仕事をしていると、食べられなくなるものがどんどん増えてくるなあ、と苦笑いしながら、挙句の果てには連鎖反応でトマトのにおいをかいだだけで吐き気を催すようになった自分を嘆いていた。
ちなみに、ご遺体が血の涙を流していたら、その血には絶対に触ってはいけません。(小松朗子)
「死化粧師」公式サイト↓
http://www.tv-tokyo.co.jp/shigeshoshi/index.html
絶対に「シゲ笑死」とか言って笑ってるやつがいると思う。
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