« ベトナムへ行った。上 | トップページ | 「死化粧師」を観る 第2回/血の涙がでる »

2007年10月13日 (土)

『吉原 泡の園』 第37回/深夜隊のメンバーたち

 ソープランドには早朝営業がある。それは「日の出から」の営業ということになっている。4時でも3時30分でも、日の出であればいいのだ。
 ただ、実態は深夜2時30分くらいから深夜帯のボーイが来る。
 日勤にしても柄の悪い人間が多いのに、深夜の人間はたまにスーツも着ないで、頭はリーゼントで金髪。そう、まるで映画「ビーバップハイスクール」に出演できそうな従業員メンバーなのである。
 ここならば刑務所出所後すぐにでも働けるだろう。そんな風体である。
 7時頃になると、スキンヘッドの鉄下駄を履き、着物を着た粋なじいさんが店にいたりする。多分R店の深夜帯の責任者なのだろうが、北方謙三のような恰好のいいおじさまだった。
 ピアスをした中年の人や、オールバックの人、日勤の店長と犬猿の仲ではあったが、僕には皆いい人に思えた。
 あー、深夜の時間帯に働けば、マネジャーのいじめにあわないですんだものを、と思ったりもした。
 深夜帯の女の娘は、基本的に料金も安くなるので、言い方は悪いが、業界では一般的に昼間よりは質の落ちる女の娘が働くものとして認識されている。
 事実、日勤の時間帯にR店に面接に来た娘が、もし容姿などに関して日勤帯では無理と判断されれば、深夜帯を相談してみて、それでも稼げるのであれば深夜帯で稼がせるケースもあるのだ。
 ただ、同じ箱(店)を使用しているにもかかわらず、料金は格段に安い。
 ボーイには好き者も少なくない(僕は好き者の部類に入るには甘い)。仕事が終わり、焼肉を食べにいくと、そのまま寮に帰るのではなく、深夜営業の自分の店にかけこむものもいる。
 それに、義理風呂で金がない我らボーイも、実は同じ店の深夜帯ならば、つけがきく場合が多い。好き者Eちゃんは、義理風呂でさんざん時間一杯入って来てマネジャーに叱られ、系列店のボーイからは白い目で見られ、そして深夜帯にまでつけでいく。これこそが真の好き者なのである。
 Eちゃんはコンドームをつけると中々いかないとぼやいていた。
 コンドームをつけないと? コンドームは病気などの予防のためにもつけなければ、そう思われるだろうが、病気で死ぬるくらいの覚悟がなければ、ボーイなどいじめられて1日ともたないのである。
 僕だって性病で死ぬのは嫌だ、でも剛に入ったら剛に従えである。
 ただ、女の娘は月の検診は受ける。もしエイズが発生したら、店どころか吉原が壊滅する。
 ただ、キス一つをとっても、エイズ患者からの唾液で感染するには、バケツ1杯分ほどの唾液が必用とのことだ。これだけ風俗に染まっている僕だが、身近でHIVに感性、もしくはエイズ発病を聞いたことはない。
 ただ、楽観は禁止だが。
 深夜帯の娘が、たまに11時30分に日勤帯の僕達が出勤し、部屋の掃除にとりかかろうとすると、まだ残っていたりする。
 もちろん、時間帯が違うので、特に話しをしたりはしない。
 ただ、北方謙三似のおっさんなどにわがままをいい、グーをこねていると
「あんた中心に店が回っているわけじゃねえんだよ、少し待っててよ」
 などと娘が叱られていたりする。
 娘はいつでもどこでも同じだな、と思いながら1日の作業に取り掛かったものだった。(イッセイ遊児)

|

« ベトナムへ行った。上 | トップページ | 「死化粧師」を観る 第2回/血の涙がでる »

『吉原 泡の園』」カテゴリの記事

コメント

>グーをこねていると」
だだをこねるの意味?

投稿: けんちゃん | 2010年11月22日 (月) 15時29分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/122338/16741327

この記事へのトラックバック一覧です: 『吉原 泡の園』 第37回/深夜隊のメンバーたち:

« ベトナムへ行った。上 | トップページ | 「死化粧師」を観る 第2回/血の涙がでる »