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2007年8月 6日 (月)

市川一家4人殺人事件の現場を歩く

Iti1  1992年3月5日午後4時過ぎ、千葉県市川市のマンションの一室に当時19歳の少年が入っていった。カギは開いていて、少年は金を盗むために入った。
 少年は前年の91年の終わりごろから傷害や強姦など10件以上の犯罪にあたる行為を繰り返していた。すでにタガが外れていたが、2月には関わってはいけない相手にとうとうぶつかってしまう。女がらみのいざこざを起こして暴力団員から200万円用意するよう脅されていた。
 どうしても金を工面しなければならなかった。少年・関光彦が侵入した会社員・柳沢氏のマンションには適当に飛び込んだわけではなかった。前月2月にたまたま路上で見かけた柳沢氏の長女の自転車を乗っていた車で追突、その後、女子高生だった彼女を強姦している。そのとき取り上げた身分証に記されていた柳沢氏宅の住所に向かったのだ。
 侵入後、柳沢氏宅にいた柳沢氏の83歳の祖母を絞殺、次いで長女とともに帰宅した柳沢氏の妻の背中を5回突き刺して殺害、長女は殺さずに生かし、母親の死体を運ばせ、床の血を拭き取らせた。保母につきそわれて帰宅した長女の4歳の妹は別室に追いやり、関は長女を再度強姦。
 午後9時を過ぎて帰宅した柳沢氏を背中から包丁で刺し、預金通帳の在処を聞き出した。柳沢氏の会社にある通帳を取りに行くため長女を連れ出す。朝方マンションに戻ったあと、関は4歳の妹を刺し殺した。
 柳沢氏の会社で居残っていた従業員が、長女の行動について不審に思い警察に通報、警察官が駆けつけたところを逮捕された。一夜のうちに長女以外の一家4人が殺害された。
 関光彦が小学校4年のときに両親は離婚。何回かの転校、苗字の変更も経た。都内の高校に入学。1年次では進学クラスで700人中50~60番目の成績だったが、2年次になり荒れ始める。友人の女友達に近づいた他校の生徒を鉄パイプで殴ったあと退学。まだ新しい学年に上がって間もない5月だった。

 
 市川市、東西線行徳駅から15分ほどの距離にある事件の場となったマンションに向かった。
 行徳駅や隣の妙典駅や南行徳、このあたりの地図を見て違和感を覚えたのは区画があまりにもハッキリと整えられていたからだ。普通、街というものは真っ直ぐな道や曲がりくねった道が錯綜して区画は様々な形となる。が、この辺りはどの道も真っ直ぐで、区画は大半が長方形に整っている。年代は定かではないが、区画整理が行われた土地であるという。
 セミがひたすらやかましく鳴いている。駅を出て東京湾方面に歩く。行徳駅からは2、3㎞も歩けば東京湾に至る。地図で見たとおり、道が真っ直ぐに東京湾のほうに伸びている。どの道もひたすら直線に伸びているようみ見える。そして、湾の方向にはいくつもの巨大な4本足の鉄塔が建っている。
 赤と白のストライプの鉄塔に近づくようにして歩くと東京湾に近い川にたどり着く。駅から湾までの道は歩道も車道もゆったりと広く、水際までくるといっそう開けた土地のように思えてくる。白いボートがいくつも停まっている。釣りをする人たちが見える。明るい土地柄のように思えた。
 堤防を歩きながらマンションの住所を探すが、どうも位置がはっきりと分からない。ひたすらに暑い。40代くらいの恰幅の、どこか小沢一郎を思わせる風貌の男性に事件のあったマンションについて聞いた。小沢風も額に汗を浮かべている。
「ははぁ……、あの事件ね……。どこかって? ……知らない」
 こちらを真っ直ぐ見すえて言う。明らかに知っている目である。わずかな時間でどんなことを考えて応えたのか、私には知る由もない。男性から離れたすぐ後に、会話を聞いていたのか、夫婦でウォーキングしている夫の方が話しかけてきた。「一家のあの事件でしょ、あっちだよ、堤防のあの階段を下りて少し入って、右にある」。快活な口調で淡々と道順を教えてくれた。奥さんのほうは一歩引いてやりとりをじっと聞いている。明らかに、晴れた日に、明るい土地でされる会話としては似つかわしくない。
Iti2  現場のマンションの柳沢氏が入居していた8階まで上ると、通路から遠くまで景色が見渡せた。やはり鉄塔が目立つ街だ。鉄塔の下、大型マンションがいくつか並んでいる。その周りを小さな民家がうめている。
 事件のあった部屋には別の名前の表札がかかっていた。空き部屋になっていたりするのだろうか、と思っていたので少し驚いてしまった。部屋は新しい住人を迎え入れている。
 ふと声がするのでそちらを見ると、同じ階の2つ隣の部屋で、住人と工事の人があれこれ相談しながらサッシを修理している。修理が済んで工事の人が帰ってから、その部屋の住人に話を聞いた。

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あの事件を追いかけて」カテゴリの記事

コメント

永瀬氏の本ではわからない事もわかりました。おつかれさまでした。旧少年は再審請求を出してるようですが、死刑になれという自分と、いや執行されないで欲しいと、死刑執行ニュースの度にこの事件を思い出します。

投稿: ゆめの | 2008年6月28日 (土) 15時27分

怖い事件です。

投稿: 千葉県です | 2008年12月30日 (火) 19時00分

てっちゃんの死刑判決を耳にしたとき、私は駅のホームで声をあげて泣きました。
人目を気にせず、わいわいと泣きました。
どうしてこうなったと。私は泣きました。
蜘蛛の巣にかかっていた蝶々を逃してやったてっちゃん。
蝉がうるさいと同級が言っていた中、「蝉は短命だから、鳴かせてやろうよ」と言ったてっちゃん。
下級生が障害者に石を投げているのを目撃したとき、「お前ら、そういうことはしないほうがいい」と諭したてっちゃん。
どうして、あのてっちゃんが尊い命を奪ったのか。
無期懲役になってでも、一生をかけてでも、償ってほしかった。てっちゃん。
マスコミには血も涙もない極悪人のように作り上げられていたけど、てっちゃんの優しさは私や同級の中で、ずっと生きているよ、てっちゃん。
心から悔いて、被害者を偲んでほしいです。
信じているよ、てっちゃん。

投稿: おじぎ草 | 2010年10月17日 (日) 10時45分

最近、市川市に越してきて、
偶然このページをみつけたのだが、
「てっちゃん」はカスですね。
せっかく、死刑判決になったのだから、
大人しく死ねばいいのに。

「生きて反省」的なことを犯罪者はノタマうけども、
まったく余計な勘違いでしかなく、
残された遺族は「とっとと死んで欲しい」と思うのが本音でしょう。

ホント、残された娘さんの心中をさっすると、
再審請求なんかしてるカスに怒りを感じますね。

投稿: 通りすがり | 2010年12月19日 (日) 10時39分

「信じているよ」って…

罪もない一家四人を惨殺し少女を強姦したやつの何を信じるというのか。
片腹痛い。

法律が死刑と言い渡したんだから
社会の掟にのっとって、早く死刑になって下さい
それが市井の正直な声です

投稿: あ | 2011年8月 2日 (火) 15時13分

おじぎ草のコメントはちょっと信じられないな。

無期懲役になってでも、一生かかってでも償ってほしかった??これだけのことした異常者にに何を期待してるんだ?どれだけ被害者を住民を傷つけるんだ?

過去にどんな辛い体験をしてきたんだととしてもどんなに優等生だったとしても一家をこうも惨殺していいわけない。

信じてる???

あんたがどこのどいつかしんないけど事が起こる前に手差し伸べてやれよ

投稿: 流れ者 | 2011年8月25日 (木) 22時05分

おじぎ草さん


さすがに人の気持ちを逆なでしすぎやわ。


いちはやく刑が執行されることを願います。

投稿: | 2011年12月15日 (木) 16時52分

被害者や遺族の感情をよく考えてから被告人のことを心配するべきでは?
想う相手の順番を間違っていますね。

投稿: 通りすがり | 2012年1月11日 (水) 22時37分

昨日までは普通だったのにね

ある日いきなり家族が死体にされたらね

もう話せないね

犯人も早く死体になればいいね

投稿: | 2012年2月29日 (水) 04時18分

人間てのは、生い立ち次第で、どうにでも育ってしまい、殺人鬼にもなりうると言うのがホントに怖い。
関光彦は自分が虐待を受けて育ったからとか酌量を求めることを抜かしているが、だからと言って見ず知らずの他人をいとも簡単に4人もあっさり殺してしまうことが許されるわけが無いし、然るべき制裁を受けて当たり前だと思う。その上、自分の死刑は回避すべきだとか開き直り発言をしたり、またそれを支持する弁護士も自分の生活の糧を得るだけの、単なる仕事としか捉えていないように感じる。人間的に崩壊しているのではないだろうか。

先日、山口県光市の母子殺害事件で、やはり当時未成年だった犯人に死刑が確定したが、これも強姦目的だけの身勝手な動機で、この事件でも全く抵抗できない幼い子供まで殺されたと言う惨さがあり、死刑は至極当然だろう。これは社会への警鐘を鳴らすことにも繋がり、短絡的な動機による殺人事件抑止効果を生むので、妥当な判決だと思う。

投稿: う | 2012年3月 1日 (木) 13時34分

確かに私たちはマスコミに作られた犯人を知ったように錯覚して偉そうに正義面しているだけ。
おじぎそうさん頑張ってな。

投稿: え | 2013年7月31日 (水) 03時35分

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