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2007年8月 2日 (木)

参院選・伝えられなかった異色候補者の主張/神田敏晶氏・和合秀典氏

参院選が終わった。有力各候補者の主張や動向などは新聞などに掲載された。当然のようにマスコミの多くは「主な候補者」のみ扱ったが、少数者の味方である本誌が伝えられなかった「異色候補」の主張を皆様にお届けする。神田敏晶氏と和合秀典氏は東京選挙区から出馬したが落選に終わっている。インタビューは選挙前に行ったもので『記録』8月号に掲載したものである。

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■神田敏晶(かんだ・としあき……ビデオジャーナリスト。IT系のフリーペーパー編集長、デジタル放送局KNN.comを起業。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』(ソフトバンク新書)など)
 テンガロンハット、見る者を引きつける笑顔、こちら側に差し出されたマイク。クリーンで誠実な人柄を演出する選挙ポスターの中でも異色ぶりが目立つ。
 だが、最も目立つのは彼の掲げる公約。今回はじめて国政選挙において立候補した神田敏晶さんが掲げるのは年金政策や格差是正や憲法論ではなく「政治2.0」である。ピンと来た人はお分かりだろう。選挙制度や情報公開制度の面で、神田さんはインターネット時代に合わせた法整備を訴えている。
「コンピューター誌の編集や取材を通して日本におけるITを眺めているうちに思うようになったのは、インターネットの技術が政治や行政においてうまく活用されていないことです。インターネットを取り入れた投票制度や選挙運動の是非などが議論されてはいますが、現状はまったく変わっていない」
 選挙制度を規定する公職選挙法が制定されたのは今から60年近くも前の昭和25年のこと。同法は当然、インターネット社会を想定されたものではない。“ドッグイヤー”という表現があるように情報技術は驚異的なスピードで発達し、ケータイ、ネットを中心に社会へ多大な影響を与えた。今や企業社会は情報技術への適応なしに生き残ることはできないのが、国を牽引するはずの政治や行政だけが旧世界を引きずっているのが現状である、と神田さんは言う。
「例えば行政でいえば情報公開。行政が行うことについての透明性がこれほど求められているのに、ネットでアクセスしても考えられないくらいサイトが見づらい。ユーザビリティが全く考えられてないんですよ」
 行政のサイトであっても簡易明瞭に目的のデータを手に入れることができること。さらに、透明性ある社会を目指すのなら、土木事業であれば「行政からの発注先企業は○○でいくらで請け負うことになった、またROI(費用対効果)はこのくらい」という部分まで国民が知ることができるようにすべきだと訴える。
 国会の構造についても疑問がある。“良識の府”などと言われる一方で存在意義についても議論が絶えない参議院だが、神田さんの見方はこうだ。
「衆議員で決めたことが、同じような政党で占められた場でもう一度是非を問われる。それはおかしいでしょう。思うに、参議院に政党は必要ないんですよ。任期も長いですよね。1、2年のサイクルで、政治参加したい人材をどんどん回すくらいのことはしないと」
 既存大手マスコミの煽動型メディアのあり方にも否定的。閣僚の失言について、言葉尻だけを取り上げておもしろおかしく書き立てるような方法論が果たして実のあるものなのか、そしてその内容に影響を受ける国民性を疑問視する。
「失言にあたる言葉だけをクローズアップするよりも、発言までの文脈の流れが重要なはずですよね。例えばyoutubeのようなメディアで、いつでも個人が会見の様子などを見れるようになれば、発言の内容について自分で判断出来る。力を持った者だけが発信する内容に流されるといったことが起こらなくなる。そういったメディアリテラシーも培われるはずですよ」
 神田候補のビジョンは率直に言えば説得力があって興味深い。ただ政界での認知度の低さとパッと見て特異に映る政策から、地球は回ると説いたガリレオを見る心境にも似たものがあった。だが確かに地球は回っていたし情報技術は確実に新しい時代を創る。
 目には見えないITユーザー層が神田さんに激しく同調している可能性は大いにあり得る。

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■和合秀典(わごう・ひでのり……新党フリーウェイクラブ党首。1941年生まれ。71年に(株)和合ダイカスト代表取締役。86年には(株)ユニティー代表取締役に就任。87年に任意団体フリーウェイクラブの代表となり、06年に解散)
 久しぶりに会った和合秀典さんは、ちょうど昼食を食べているところだった。
「おー、遠いとこ悪いねー」
 力強い笑顔と張りのある声。元気過ぎるほど元気な姿に、正直ホッとした。昨年9月、和合さんは道路整備特別措置法違反で逮捕された。新聞などでは通行料金を払わなかったかどで捕まったかのように報じられた。
「違うんだよ。世間の人はオレがカネを払わなかったから逮捕されたと思っているの。でもね、カネを払うか払わないかは民事事件。民営化された会社のカネを警察が回収するわけにはいかないでしょ」
 たしかにかつての道路公団は株式会社となっている。「来月からタダになるよ」と宣伝していた通販の商品を、翌月に申し込んで受け取ったら有料だった。抗議してお金を払わなかったら逮捕された。こんなことが起こるはずがない。民事事件には警察は不介入だからだ。
 では、なぜ和合さんは逮捕されたのか?
 料金所で一時停止をして、「発進の承諾」に当たる「ありがとうございました」と声をかけてもらっていないからだという。そもそもフリーウェイクラブのメンバーは、必ず係員に無料通行宣言書を手渡している。料金所の係員も黙って宣言書を受け取ることが習慣化していた。つまり、もともと逮捕の理由がメチャクチャな上に、今回の逮捕はその要件さえ満たしていない可能性が高い。
「オレはね、裁判になりさえすれば、こんなおかしな理由の逮捕なんて無罪になると思っていたの。この年になるまで、司法の正義を信じていたからさ。でもね、違うんだな」
 そう言うと和合さんは豪快に笑った。「選挙はね、高速道路の無料化実現の最終段階なんだよ。これまでは子どものケンカだった。でも、国が逮捕してまで運動を潰そうとするなら、大人のケンカをせざるを得ないでしょ」
 あまり知られていないことだが、和合さんはただ高速料金を払わなかっただけではない。これまで何度も官僚や政治家と話し合い、無料化への道筋にさまざまな角度から迫ってきた。彼の豪快な性格が一部の官僚を魅了していたことさえある。政治活動は彼の得意分野といってもよい。
「政党の党首として立候補したことで、官僚なんかの対応も違うんだから。これでまかり間違って当選でもしたら、1年以内にオレは道路を無料化できるね」
 しかし当選となると、かなり難しいのが実情ではなかろうか。「大丈夫、オレは無駄なことはしない。今回の選挙は、次の選挙に向けた前哨戦だよ。別に有名になりたいわけじゃない。テレビ出演なんて断っていたぐらいだからな。ただ、高速道路を無料化したいだけだよ」
 信念に裏打ちされた「大人のケンカ」なら、仕掛けなくちゃいけないときもあろう。面白いケンカになりそうである。

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