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2007年8月 8日 (水)

零細企業主だから怒る事務諸費問題

事務所費問題では心底あきれかえった。自民党は今になって「1円から」の領収書添付を言い出しているけれど本来そんなのは当たり前である。私も含む零細企業主でさえ当然のごとくしている作業なのだから。

「慶弔費はどうする」……確かに領収書はもらいにくい。そうした場合たいがいの零細企業主は自腹を切る。少なくとも国会議員の腹の方が零細企業主より太いはずだ。何しろ憲法で「一般公務員の最高給料額を下まわらない歳費」が保障され、他に公費での秘書3人が宛がわれ、議員会館もある。さらに交通費など諸手当も保障済み。自分の食い扶持(歳費)と社員(秘書)3人の給与と事務所兼宿舎(議員会館)と交通・通信費などが与えられている。零細企業主の多くがこの「自分の食い扶持」「3人程度の社員の給料」「自宅の家賃」「事務所の家賃」「交通・通信費」をやっとこさ自力で稼ぎ出して維持しているのだ。それでプラスマイナスゼロか赤字である。
明らかに零細企業主の年収より多いはずの歳費を受け取っているのだから慶弔費ぐらい自腹で払えばいい。でなければ公費を使うのだからせめて目出度い席の領収書ぐらいもらっても罰は当たるまい

「切符など交通費はどうする」……国会議員はさまざまな場面で事実上免除されている。しかも今はICカードが普及して経路などがすぐ出せるようになった。東日本ならばスイカを購入してチャージの際に領収書を出せばよかろう。ちなみに零細企業ではそれで税務署様にご納得いただけるか心配なので今でも社員の精算で日時と経路を申告させている。

「事務作業が増加して負担が増える」……だって「事務所」なのだから当たり前でしょう。事務所で事務作業をするのはリンゴ園にリンゴがあるのと同じである。零細企業でも大企業でも経理は必要だし領収書の保存は義務だし決算もする。
確かに面倒と感じることもないではない。なぜならば会社のなり(狭いオフィスと雑然とした光景)と経営者のなり(貧乏くさく苦しそう)を見れば豪勢な生活なぞしているはずないとわかりそうだから。でもそれでは税務署は通らない。だから領収書はキチンと取りそろえ帳簿と合うようにする。編集会議の時に食べたコンビニで買ってきたお菓子の領収書をどうしようなどと悩む。経費として認めてもらえると考えれば添付するし、無理と判断すれば自腹である。たいていは後者だ。
幸いにして私はそこまで追い込まれていないものの零細企業主のなかには自腹でまかなえなくて消費者金融に走る方さえいる。商工ローンでなく消費者金融なのだ

「プライバシーが守れない」……そこまでして零細企業主がきちんとした帳簿にしようと努力するのは納税の義務を果たすためだ。結果的に業績が振るわず赤字決算になると(零細企業ではしばしば)法人税の多くは免除されるが、それを申し訳ないと思っている。消費税はどんなに赤字でも支払う義務がある。もちろん税務調査では任意であっても領収書1枚1枚について説明できなければならない。
そうやって国庫などに納められている税金をもとに使われるのが歳費など国会議員の収入である。企業・団体献金も少なくとも出所が民間ならば同じように決済した結果として使われている。だとしたら本来は税務調査と同等か、それ以上の厳しさを求められるのが「政治とカネ」ではないのか。
公金およびそれと同等のカネならば使い道がわかって困るなどといった理屈が論理的に存在しない。すべて堂々と払われるカネであるべきだし、そうでなければならない。もらったり支払われる側も堂々たる者でなければならない。暴露されてまずいカネなどあってははならない。したがってプライバシーを侵害する理由がない

赤城徳彦前農水相は郵便発送費の領収書の二重計上や選挙運動費用収支報告書での「5重」領収書疑惑がささやかれている。本当ならば立派な政治資金規正法違反だ。
零細企業主でも魔が差して架空の領収書を使って経費を水増ししようとする者もいるかもしれない。もちろん脱税行為だからしてはならないし罰せられる。しかし「架空の領収書で水増し」といった「悪質」に類する行為を「してみるか!」と踏み入れようとする悪徳経営者でさえ領収書をコピーして何とかしようとは思いもよらないはずだ。いくらなんでもそれはできないと常識中の常識でわかり切っているから。それが公金の世界でまかり通るとなればこの世はヤミである。
まだ先がある。小社を含む多くの零細企業は「架空の領収書で水増し」する必要さえない。なぜならばキチンと説明できる領収書だけで決算の損益はトントンか赤字になるから。そもそも「水増し」部分がないのである。使い切れない=「水増し」部分が公金で存在し、脱税をたくらむ者でさえ「さすがにそれは」と忌避する領収書コピーなどという最低最悪の手段でごまかすなど考えられない悪徳行為である。大臣を辞めればすむという話ではない(編集長)。

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