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2007年7月 5日 (木)

月刊『記録』とはこんな雑誌である

 今回は、月刊『記録』に連載する執筆者について少しずつ紹介させていただく。全国の書店に手広く置かれている雑誌ではないからwebに毎月ラインナップを掲載しているが、タイトルだけでは内容が分からない。
『記録』の特徴として挙げられるのがまず文字ビッシリ。ノンフィクション色が強く、執筆者の年齢層は20代から70代まで幅広い。創刊は1979年、一時休刊を経て94年に再刊。歴代執筆陣は本多勝一氏、石川文洋氏、松井やより氏に始まり多数。毎月の掲載記事は約8~12本である。
 パッと見、昔の運動機関紙を思わせるコワい印象だが、特に支持政党や支持思想はない。コワ面が原因で新規読者が寄り付かず損をしているのでは、という指摘から最近はクマのイラストなどをムリヤリ載せたりするけれど(名を「キロクマ」と言う)、どうもまだ間違った場所に連れてこられたようで、クマも居心地が悪そうな感じである。

 前置きが長くなった。
 まず鎌田慧氏。説明不要だがもう、この人は、すごい。戦後ルポライターの草分けのような存在で、決定版『自動車絶望工場』はじめ数多くの著書があるが、まだ筆は衰え知らず。年齢でいえば60代後半だが担当の大畑氏が電話をかけると常にどこかへ飛び回っているバイタリティの持ち主である。生命力がルポを書くとでも言わんばかり。『記録』で連載の「現代を斬る」では時事ニュースを分析。特にトヨタに対する舌鋒はますます磨きがかかる。

 中村一成氏、「『国民の歴史』の外で」。現役新聞記者である氏が京都府・ウトロの在日一世たちの戦後史を聞き書きを中心にまとめる。在日一世たちにとっては終戦は「解放」であるが、その後も朝鮮には帰らず日本で暮らし続け、日本人のための日本史には描かれることのなかった彼らの戦後を、じっくりと聞き取り記事にまとめている。食べるものがなかった、働き詰めだった、貧相な家だった、語りを通してその情景が見えてくるようだ。

 鍋元トミヨ氏、「チェチェン、死と瓦礫を乗り越えて」。鍋元さんはチェチェン人の難民キャンプがあるアゼルバイジャンの首都・バクーで難民の支援を続けるNGOの代表を務める。94年の第1次チェチェン戦争以来、国を負われることを余儀なくされた人々の現在の生活を捉える。アゼルバイジャンの強烈なインフレ、兵隊になろうとする息子とそれを止める母親、崩壊した教育制度、そしてチェチェンを叩き潰したロシアの姿などはここでしか読めない。

 神戸幸夫氏、「ホームレス自ら語る」。タイトルの通り、毎月ひとりのホームレスに神戸氏が取材し、普段は聞かれることのない彼らの過去と今の生活が一人称形式で綴られる。衒うことのない誠実な手触りの文章を通して、読者はホームレスの人たちの人生を「読む」。連載回数は100回を超えており、これまでの取材をまとめた『ホームレス自らを語る』『新・ホームレス自らを語る』がアストラから出版されている。

「忘れられた国内避難民」、白川徹氏。まだ23歳の氏が、というか白川君がアフガニスタンの難民取材を書く。2年間のオーストラリア留学語、昨年始めてアフガンに渡った。若いが文章の力強さと「読ませる」力は十分。なによりもこういったものを書く人にあるべき狂気のようなものが備わっている気がする健全な青年で、これからに大いに期待が持てる。 現在アジアプレスに所属。今月5日、再びアフガンに飛んだ。地方によっては現在連合国の空爆が行なわれているアフガンは現在も戦禍にある。

 奥津裕美「靖国神社」。もうすぐ奥津嬢は26歳の誕生日を迎えるそうだ。最新号7月号のタイトルは「靖国デートはこう回れ!」。その筋の人からは「ナメとんのか靖国を!」とスゴまれそうなタイトルだが、実際近年の靖国は小泉前首相の起こした波風の効果で観光スポット、デートスポット化しているのである。日中関係に影響を与える存在と伝えられはしたが、日々、靖国には中国人を満載した観光バスがやって来る。実は楽しく矛盾いっぱいの神社である靖国を、他の気合の入った執筆者に比べるとややチェンジアップ風の力が抜けた文章で綴られている。

 塩山芳明氏「奇書発掘」。エロ漫画編集者。時には名誉毀損スレスレ、執筆陣のジョーカー的存在である塩山氏が毎回「奇書」を取り上げて分析(といっても発行されたばかりの新書なども取り上げます)。「書評」でもなく「紹介」でもない。好き嫌いがハッキリ分かれそうな筋金入りの本読みの視点と直截な塩山文体でガガーン!と奇書にアタック。驚くほどハッとする切り口で本を切り開く手腕は見習うべきものが多い。ファン多し。

 斉藤典雄「サイテイ車掌のJR日記」。現役JR車掌。「昇進を諦めてJRを告発する」がキャッチフレーズの『車掌に裁かれるJR』含め3冊をアストラから刊行。ユーモアと温かみある文章で車掌のお仕事や職場の雰囲気が書かれている。が、なんと言ってもメインは民営化時に起こった旧国鉄職員1047名の不採用事件から20年以上続く闘争の行方である。不正とは断固戦う姿勢、温かみのある人柄から「人間、斉藤」と呼ばれる。最近は山形に住むお母さんの様子を見にたびたび帰省。お体に十分気をつけて下さい。

 と、駆け足に著者と内容を紹介させていただいたが、これに毎月特集記事が入る。これがラインナップである。記事の持込み等は随時受け付け中。たびたび送られてくる原稿すべてを掲載するわけにはいきませんが、間違いなく目は通しております。(宮崎)

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