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2007年6月29日 (金)

『あの頃』(小林高子著)出版にあたり編集部から

Ko_1  7月下旬に発行される小林高子さんの『あの頃』の編集を部分的に受け持たせていただいた。そんな宮崎からこの場を借りてこの本を紹介させていただく。
 小林高子さんはとにかくまあ実に様々なことを経験してきた人である。詳しい事は今月21日の小林さん自身による記事↓
http://gekkankiroku.cocolog-nifty.com/edit/2007/06/post_1fef.html
 にあるので省くが、物語は嵐の後にまた嵐。ときには出口としての自死を考えるほどだったが、どうにかして前方を見据えて足を踏み出そうとする。タフなのだろうか? いや、そうとも言えない。買い物依存症、恋人の死、離婚、その度に“どん底”を味わって打ちのめされている。立ち直る力は自分の強さだけではなく、周りの仲間や家族からの声から得たものでもあった。
 実際に小林さんの身に起こった出来事であるのに加えて出来事のひとつひとつが重みがある。しかも気分が重くなってしまう出来事が多い。ヒザつき合わせるようにしてじっくり作業に取りかかったが、文章を推敲し練り上げていく中で、この体験を最良の形で読者に伝えようとする、この本にかける気合いをビシビシ感じたものです。
 この本にはそんな小林さんが“どん底”を味わった状態から、ギラリと前方を捉え直し力強く歩き出すプロセスが書き込められている。

 編集作業を進めていく中で小林さんはこうも言っていた。
「ドラマとか映画でも、登場人物に大変なことがあって、それでもなんとか立ち直っていくストーリーってあるじゃないですか。それはそれでいいんだけど、私が気になってたのは、登場人物がその後どうなっていったかっていうのが分からないんですよね。作品が終わってしまうから。『あの頃』では、自分が立ち直った後に、具体的にどういう風にして生活していってるのかまでを書かなくちゃって思ったんです」
 鋭い意見だと思った。
 確かにこういった物語の多くは、物語が完結した時点で消費されてしまう。読み手は「あー、読んで良かったな」というところで本を閉じてしまう。でも小林さんの場合は違う。物語を物語として完結させるのではなく、現在の小林さんの姿の生活を書きながら、ちょっと執拗なほど「あなたは今、周りの人たち、そして自分自身のことをしっかり見ることができていますか?」と問いかけてくるのだ。
 これも小林さんに聞いたのだが、最初にガガガッとこの原稿を書き上げたとき、感想を聞こうと知り合いに読んでもらったところ、読み終えて「ありがとう」と泣きながら原稿を返してきたという。それだけ受け手にとっても力のある内容なのである。
 タイトルは『あの頃』でこれだけを見れば過去の物語のようだが、この本のメッセージはまっすぐに現在を生きる人たちに結びつく。
 本の形態としてはいわゆる「ブログ本」に近い。文字が横組みで少しばかり行間が広い。ただ、読者への迎合ではなく、より多くの若い人たちにこの本を手にとってもらえたらとの希望からこの形態を取っている。ブログ本は内容が薄そう? 否。嘘のない質実な内容だと編集部が保障する。

 ところで、小林さんはかなりの美人である。はじめ原稿を読んだとき、なんでこの人の身にはこんなに次々と災難が?と疑問に思ったりしたが、そういえば美しさゆえの受難と考えれば腑に落ちる箇所もある。何度か妹さんと編集部にいらしたが、部屋全体がなにか妙に晴れやかなので、「ここはどこだよ」と戸惑ってしまったものだ。

 小林さんは今、とても明るく元気である。
 沈んだ時期を経てなんとかやって来た過程を知っているから、余計に明るく強く見えるのだと思う。苦しい時期を乗り越えた小林さんだからそんな苦境を生きる人に伝えたいことがあるという。この本に詰まっているのはまさにそのメッセージである。気合が入った内容になっている。本屋でこの表紙を見かけたら、ぜひぜひ手に取っていただきたい。(編集部)

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