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2007年6月20日 (水)

スパムトラバはティシュ配り

連日のように我がブログにスパムがやってくる。気高き読者に迷惑をおかけせぬよう削除をせっせと行っているも減る気配が一向にない。「ニフティに通知して削除」しているのに押し寄せるスパム。そこでニフティなど主だったプロバイダーに事情を聞いてみた。

それによるとスパムは毎日毎日新種が誕生して撲滅隊とイタチごっこの様相らしい。今年は5月の大型連休に大発生し撲滅隊も奮闘して、その頃につかんだIPアドレスはもちろんキーワードやら何やらで捕縛するアルゴリズムを構築して当時のスパムは8割方跳ね返せているのだという。
でもでさえ、スパムらが攻め寄せる図が改まらないのはスパム側も巧妙になっているからだ。部分的には明らかにまずい文言が盛り込まれてあっても全体としては問題ないように装う。何しろ偽装にかけては粉飾決算から姉歯まで世界に冠たる日本人ゆえ専らにそれを行う者の能力は高いようである。
それにしてもなぜ大型連休なのか。どうやらそのころはスパム作成者も大型連休で(当たり前だ)ヒマだから。次は夏休みが危ないと各社すでにZ旗(メンテ)掲げて臨戦態勢へ突入している。
ところでスパムには英文も多い。スパム作成者は英語が得意なのかというのは愚問で単にネーティブが送り付けているという。原発地の多くはアメリカらしい。そこで疑問。アメリカには大型連休はないはずだ。なのになぜ日本のお休みに攻め寄せるかと。どうも海外の「スパマー」は日本の大型連休を知っていてねらいを定めるらしい。日米スパマー同盟軍ではやそうというわけだ。
大型連休などまるドメ(まるでドメスティック)の極致である。死んだ天皇の誕生日と子どもだけをたたえる日と制定日がやはり死んだ天皇の誕生日だから施行日を無理やり祝う憲法記念日と……。それを知るアメリカ人がいるだけで彼ら彼女らの執念を感じる。

ここで根本的な不可解を問うてみた。そこまでして削除されるのが分かり切っているスパムを知恵を駆使して作り出し情報を捕捉してばらまきまくるエネルギーは何ぞやと。最良の解答は「いたずら」。
ホイジンガの論を援用するならば、こうした遊戯はもうけを度外視するというかもうけとの概念自体を嫌うから十分楽しかろう。また自発的に行い日常性を排除する傾向があるとの定義通りだ。そうか。スパム作成者は合目的的行動を指向するホモルーデンスだったのか……なんて無論まじめに考えてはいない。
プロバイダーによると作成者の当初は迷惑メールを目標としていたが各社の迎撃態勢強化により大部分が捕虜になる事態となり作戦変更。トラックバックやコメントに遊び場を移したというのがことの真相に近いようだ。
それでもなお釈然としない。しがない我がブログにまで押し寄せるほとんどが「遊びをせんとや生まれけむ」とは到底信じられない。この「遊びをせんとや……」は梁塵秘抄にある有名な歌だ。この歌にある「遊び」「戯れ」を遊女が自らを投影したと解釈すれば見過ぎ世過ぎの売春を嘆くとも読める。このように遊びの裏側に実利的動機は潜んでいないか。重ねて取材するとあるという。

構図はサラ金(消費者金融なんて言い換えたくない)がやっているティシュ配りと似ている。その効果はまったくわからないし実際に「○○です」(○○にサラ金会社の名が入る)という連呼とともに受け取るも、その大半は勧誘自体はムーディー勝山ばりに右から左へ受け流す。
このティシュ配りはムーディーが受け流し始めたよりずっと前から存在していて今もある。広告業でしばらく生計を立てていた経験から推しても費用対効果は万分の一以下であろうし、その辺が採算分岐点のはずである。多分果たせていない。
それでもティシュは配られる。ということは配るだけの価値があると信じている者がサラ金会社にいる。現に某社の元トップは固い信奉者だったと聞く。スパムの行き先はたいてい出会い系とか押し売りとか後ろ暗い。その点でサラ金と同じである。すると「スパムでもばらまけば効果がある」と信じている後ろ暗い業者がいて、それらがサラ金会社がティシュ配り隊に払う程度の資金を用意する。ばらまく者はそれに群がって収入となる。

「幻の効果を信じている後ろ暗い組織が用意するみみっちいカネを目当てにスパムを半端なくまき散らすオタク」

という意味不明な構図がどうやら確固としてあるらしいのだ。ビジネスモデルが成り立っている。いや成立していない? でもそこで得たいくばくかでコンビニ弁当を買った瞬間に実体経済へ組み込まれる。となるとGDPとの関連はどうなるか。微々たる誤差か。にしてはスパムは多すぎる。

人は必ず死ぬ。したがって人生は無意味である。ならば無意味な行動を人生のなかで取るのは合理的だ。そして何より驚くのはそうやって生きている=死んでない人がいるという不条理である。バカバカしいほど毎日くっつくスパムには遊びの深さと妄想のやっかいさが同居しているのだ。(編集長)

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