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2007年6月10日 (日)

東京のイスラム・ビルの中のモスク/経典はただひとつ、神はアッラーのみ

 トルコから日本に来たという男性が、熱心なお祈りを済ませてからこちらに加わった。まず、ビルの中にあるこの場所について聞いてみた。
「実は以前ここに来たことがあるんですけど、そのときは誰もいなかったんですよね。この部屋はいつも鍵がかけられていないのですか?」
 トルコの男性は名前をファートさんという。ファートさんは相手の目をじっと見て誠実な態度で話す。
「そうです、ここはいつでも空いてます。朝からお祈りに来る人もいますから。お昼ごろに来ると、誰もいないときもあると思います」
「このビル、というかこの部屋はいつごろ、どうやって借りたんですか?」
 何となく、住居でもない物件をイスラムの人たちに対し、不動産屋が簡単に貸すものなのだろうかと思っていたのだ。
「ああ、この部屋はですね、前にオフィスとして使われてたんです。借主がイスラムの人で、彼がオフィスを引っ越してからも、ここを礼拝所で使うことに決めたから、こうやって使えます」
 なるほど、そういうことだったのか。
 ファートさん以外の2人の国籍をたずねてみると、若いメガネのほうがパキスタン、初老のほうがファートさんと同じトルコだ。どこの国の人でもここには来れるのですかと聞くと、「モスクに来る人の、国は関係ないです」と、キマジメな態度でファートさんは言う。
「というか、どこの国の人だということは、よく知れば言い合うこともあるかと思いますけど、だいたいは別に『構わない』という感じです。自分からもどこの国からだ、なんて言いませんし……」
 国籍より気になっていたのは宗派の存在だ。イラクではスンナ派とシーア派が血の抗争を繰り広げている。その2大宗派以外にもイスラム教にはアラウィー派やイスマーイール派などがあり、それぞれバラバラな宗派の人たちがうまくやっていくことは可能なのかと思ったのだ。
 もしかしてそのあたりには敏感になっているのだろうか、などと思ったが、ファート一同はこともなげに「関係ない」と答える。
「ここではどの宗派かなんて、国籍と同じでまったく気にしない。なぜなら、私たちはみな同じコーランを読んでいるから。信じている神様も同じ。宗派が違ってもそれは同じなんですよ」
 承知ではいたが、彼らに問うてみた。
「神とは……」

「アッラー」
 初めて3人が声を揃えて答えた。にわかに3人の目が確たるものになったのだった。(宮崎)

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