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2007年5月18日 (金)

イタリアワインで心ホクホク

 わたしは下戸である。
 とにかくビール中ジョッキ一杯で、場所がどこであろうと寝てしまう。レストランでテーブルにつっぷして寝てしまい、サービスが飛んできたことも1度や2度ではない。歩いているとき信号待ちで寝てしまい、ツレに置いていかれたこともある。

 というわけで酒の味なぞさっぱりわからないのだが、どうしてもワインを頼みたい店がある。代々木上原にあるイタリアン「カーサ・ヴェッキア」だ。

 そもそもイタリアワインはフランスワインほど厳格に作られているわけではないらしい。A級のの畑とBの畑の値段が違い、それがしっかりと値段に反映されるフランスなら、その年のブドウの状態を把握すれば昨年の実績に従ってワインを選べばいい。
 ところがイタリアワインになると、年によってラベルが変わったり、どれがA級の畑で何がB級なのか分からなかったり、同じメーカーのワインなのに味がガラッと変わったりすることがあるそうだ。つまりよく言えば大らか、悪く言えばいい加減。

 もちろん超有名なワインならしっかりしているのかもしれないが、さまざまなイタリアワインから美味しいモノを見つけ出そうとすると大変だ。特にレストランのソムリエは苦労する。なんたって前年の実績が通用しないのだから。一本ずつ味わい、その年の味が気に入れば購入して客に勧めていく。そんなことを毎年繰り返していかなければならない。
 下戸にとっては考えるだけで頭の痛い作業だが、カーサヴェッキアのソムリエにとって、その仕事の楽しさは格別らしい。

 まず、カーサ・ヴェッキアに行ったら、おすすめのワインを何本が持ってきてもらい1本ずつ説明してもらう。どんな環境でブドウが育ち、味はどうなのか、昨年と何が違うのか。ソムリエの女性が、そのワインを買い付けるにいたった根拠と情報を丁寧に教えてくれる。
 その話がすこぶる面白い。言葉の端々にそのワインを見つけた喜びと、そのワインへの愛情が感じられる。しかも、そのワインから見たイタリアの風土も知ることができる。ただし、連れはワイン一本を一人で開けなくちゃいけないけど……。

 何かを偏愛している人の話はたいてい面白い。
 友人にさまざまなフェチの話を聞くのが好きな人がいて、フェチを見つけると話を聞きに行っていたが、その気持ちは分かる。自分には理解できない好みでも、その惚れ込んでいるワクワク感はこちらに伝わってくるものだから。

 少し遅め、あるいは早めの時間にカーサ・ヴェッキアに出かけ、3本分ぐらいワインの説明を聞くと、3日感ぐらいはけっこう幸せだ。心がホクホクする。
 今、元気のない人がいたら、ぜひ。(大畑)

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