mixiについていけない
一言でいえば気持ち悪いのである。
最初の報道はソーシャル・ネットワーキング・サービス「mixi」の「踏み逃げ」報道だった。mixiでは自分の持つページに他人が訪れれば、「足あと」(アクセス履歴)が残る仕組みになっている。この足跡を残しながら、つまりページに公開している日記などを読んだのにコメントやメッセージを残さない行為が「踏み逃げ」や「読み逃げ」と呼ばれる。
もう2ヵ月以上も前になるだろうか、この「踏み逃げ」に怒る人が増えているという報道に、正直ゲッソリした。僕自身mixiに入ってはいるが、もうほとんどアクセスすることはない。異業種の友人が集まるときの掲示板にもなっているが、僕が読まないのを知って携帯に連絡が来るほどである。
もともとマメに連絡を取るのが苦手だ。携帯メールでさえ面倒くさければ返さない。着信履歴が残っていても折り返さない。業務連絡すら吹っ飛ばす。
そんな性格だから友人の日記にいちいちコメントを付けるなど耐えられなかった。ましてよく知りもしない人の日記にコメントを残さなくちゃいけないなど驚天動地の出来事だ。
おそらく僕はルーズなのだろう。でも、それでいいと思っている(おかげで友達も少ないが)。携帯が鳴っても取らない自由ぐらいあってもいいし、緊急でなければメールを放っておく自由があってもいいと感じるからだ。
次にいやーな感じがしたのはmixiの日記で飲酒運転を告白した人が職場を解雇されたと報じられたときだ。日記を読んだ人たちが騒ぎ出し、しまいには職場にまでメールを出す人が出て解雇にいたった。
さらについ1週間ほど前にも「モーニング娘。」の熱狂的なファン、いわゆる「モーヲタ」が大挙して訪れたファミレスの店員が持つmixiの日記で彼らを「キモイ」と罵倒して炎上。この店員のいるファミレスが特定されて、mixi退会に追い込まれた。
もともと下戸なので、マスコミが先導した飲酒運転追放キャンペーンに異を唱えるつもりはない。もう十分にオヤジとなりオタクじゃなくても「キモイ」と言われるようになっただけに、罵倒された「モーヲタ」の気持ちも分からんではない。
それでも、この不寛容さは耐えられない。正論をたてに個人にワッと群がる様子はアリの攻撃を思わせる。飲酒運転は悪いが職を奪われるほどの犯罪なのか? 特定の集団を「キモイ」と書くのは、個人が吊し上げられてコミュニティーから排除されるほどの行為なのか?
おそらくネットは私的な要素と公的な要素を同時に持っている。というより公的な要素が強いわりに、私的に見えるというべきか。特にソーシャル・ネットワーキング・サービスは、その傾向が強い。自分だけの日記のつもりで書いたつもりなのに、日本中から非難を浴びた。それがネットでの炎上を経験した人の本音だと思う。
その一方「踏み逃げ」に怒る人たちにとっては、自身のページが思いっきり私的な空間になっている。私道を無断で歩くぐらいなら許すけど家に入ってくるなら声ぐらいかけろ、てな感じか。
私的な気軽さと公的に発言できる力がネットの面白さだと感じている。どちらかに傾けば、とても居心地の悪い空間となる。これはmixiだけの話ではない。ネット全体にも通じることだ。
そろそろ、そんな転換期なのかとも感じている。(大畑)
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