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2007年4月22日 (日)

日曜ミニコミ誌・状況に返し風を/『けーし風』

Kee 「けーし風」。風は「かじ」と呼ぶ。聞き慣れない言葉なのは当然で、沖縄の言葉だからである。
 頻繁に訪れる台風が過ぎ去った後、熱帯性低気圧への反動のように北から風が吹く。それを沖縄ではけーしかじ(返し風)と呼ぶのだそうだ。
 基地問題や景気の低迷、失われていく歴史観。そんな状況に返し風をと15年ほど前に創刊されたのが『けーし風』だ。
 メンバーは沖縄大学、琉球大学の教授や町役場の方などで、編集部は沖縄大学の地域研究所という施設に設けられた。
 最新号である07年3月の特集は『検証・SACO10年の沖縄』。SACOとは日本語の正式名称で「沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会」とされ、つまり米軍基地の整理・縮小を協議するための場として設けられた。 95年の11月に発足している。その年に起こった米軍兵士3人による少女暴行事件により早急な基地問題解決の気運が高まった。解決を協議する場として設置されたのがSACOだったが、普天間基地をはじめ、10年後の今でも返還がなされていないとは当時の人たちは予想だにしていなかっただろう。今では、SACOの設置は沖縄県民の怒りをそらすための手段だったのではないかとの見方さえあるほどだ。
 いったいSACOが設置されてからの10年てなんだったんだ。それが詳しく書かれてある読みごたえある特集だ。問題が単純ではないだけにサラリと読めるものではないが内容は濃い。対談形式のこの記事に登場するのが地域研究に携わる地元沖縄大学と琉球大学の教授同士だから、内容があるのは当然か。

『けーし風』では決まった政党や指導者を支持しているわけではない。ただ、出口の見えない現在の沖縄の状況をしっかりとらえて伝えようとしている気概のようなものが誌面に表れているような気がする。
 編集に携わる岡本さんは言う。
「編集員たちが考えてるのは、どうしたら健全な沖縄に変わることができるのか、ということですね。基地問題とか経済とか様々な面でです。これまで15年続いてますけど、歴史を継承する場を残していこうという意見は割合的に多く出してると思います。沖縄には有名な平和祈念資料館の他にも、沖縄戦の歴史や伝統を伝える資料館や博物館がたくさんあるんです。地域に歴史を残していこうという考えがあることの表れだと思います」。
『けーし風』でも、歴史を継承する活動を数多く取り上げてきたという。
 ただ、日本の標準的な若い世代がそうであるように、やはり沖縄の若い層も歴史観なわけでもないのではないか。
「若い人たちはまず、失業などが大変な問題になっていますから。といっても最近そうなったのではなくてずっとなんですけどね。沖縄で働いても非正規雇用が多く、本土(本州)でも季節工という、比較的に安定できない人が多いみたいです」。

 私が3月に沖縄に行ったとき、国際通りは人であふれかえっていた。観光客と修学旅行生でごったがえして、昼のいちばんにぎやかな時間帯には歩行路を足早に歩く事ができなかった。ただ、一歩路地を入ったりすると空き店舗が目立ったりした。若い人達のショップがどんどん潰れて大変、とは普天間基地近隣に住んでいる人から聞いた。
 どうも、あの明るい土地柄に暗い話題はミスマッチに思えるのだが、それは住んでないから言えることであるようだ。
 那覇市で乗ったタクシーの初老の運転手が淡々とした口調で言った。沖縄のことについていろいろ話してくれた人だ。「本土の人は、リゾートで来るんだろ、沖縄に。あんま言いたくないけど、本土の人は遊びに来て、基地だけ押しつけてんだ」。(宮崎)

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コメント

こんにちは。私も本号をじっくり読んでいるところです。これからますます重要な問題になっていくので必読ですね。

投稿: 齊藤 | 2007年4月24日 (火) 08時14分

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