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2007年4月25日 (水)

松坂大輔とイチローの「日本人対決」

もうすぐ松坂と松井秀喜の「日本人対決」もあろう。テレビやスポーツ紙および時差のお陰で部数がはける夕刊紙が盛んに取り上げている。

どこにニュースバリューがあるのかわからない。むしろ島国根性爆発を見る思いだ。

日本より高いレベルにある米大リーグで日本人投手と日本人野手が「対決」する。メディアはそれがあたかも大リーグを日本人が席巻したかの如く褒めたたえ、視聴者も読者もその気になる。実際は全然どうでもないにも関わらず、また同じ日本人とはいえ自分ではなく赤の他人がなした営みにも関わらず、わがことのように胸を張る。張った胸ならば広かろう。「バカ」と大書した紙を貼ってやりたい気分である。
まず「日本人対決」との騒ぎ方そのものがみみっちい島国根性そのものだ。松坂がアメリカ人など大リーグの主要勢力をバッタバタと倒すのは、イチローが同じくそうした者から打ちまくるのは快挙といっていいが、ことさらに日本人同士で対戦しているのを取り上げて、それが他の国籍の選手と対すると別して大きく扱うのは明らかなフレームアップである。
松坂とイチローは日本のプロ野球でもまみえていた。特にイチローは7年連続首位打者という前人未踏の記録保持者である。その時に日本人はふさわしく彼を遇したか。イチローのいた球団は別の球団と合併し、松坂のいた球団は「裏金」で揺れ、松井のいた球団は1新聞社の拡販材料にすぎない。そんな体質が嫌で出ていった面があるのをすっかり忘れて大喜びする姿はみっともない。
そもそも「松坂vsイチロー」「松坂vs松井」などという図がない。あるのはボストンとシアトルの、ボストンとNYの試合であり、松井も松坂もイチローも属するチームの勝利のために全力を尽くしているのだ。したがっていかなるチーム状態で、どんな局面で、こうしたプレーをしたという点が大事なのであって、試合やチームの状況を無視した「日本人対決」のみに一喜一憂するのは邪道でさえある。
「日本人対決」に酔いしれたければ日本のプロ野球を見ればよろしい。いやアメリカでやっている日本人同士だから気になるという方へ。それを島国根性丸出しという。

百歩譲って野球は投手と打者が1対1の局面で対戦するので「日本人対決」もいいとしよう。でもサッカーはどうだ。欧州各国内リーグのチームにたまたま日本人が居合わせるだけで「日本人対決」とあおり、それに同調する向きも多い。片方の日本人選手がベンチだと「日本人対決が実現しませんでした」などと嘆息さえする。
日本人が出場したら試合内容などそっちのけ。テレビは少しでもよさげなパフォーマンスを見せるとそこだけを繰り返して放映し、実はチームが0対3で負けたという事実があってもわずかに付け足すのみである。それで「欧州勢を呼ぶか否か」とイビツァ・オシムに迫る。オシムの哲学的思索を一層深める価値ある不条理を日本人は日本代表監督に捧げているわけだ。

いきなり居直ってみせる。「愛国心」とやらは、この島国根性と同じテンションではないか。アメリカ人やイギリス人やブラジル人に伍して戦っている日本人、オレも日本人。ああオレは日本人。日本人って素敵だな。伍して戦っているのはイチローや松坂であってオレではないのにオレも素敵。だって同じ日本人だもの。
違うのだ。伍して戦っているのはイチローや松坂であってオレではないから同じ日本人でもオレはダメ人間なのだ。もちろんこの「ダメなオレ」に私も入る。イチローや松坂には及びもつかぬオレって何だと考えるところから何もかも始まる。「元気をもらった」なんて恥ずかしくて言えない。日本人選手が活躍しても自分の仕事は片付かず、もらった「元気」とやらで何も解決はしない(編集長)

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