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2007年4月

2007年4月30日 (月)

■『記録』5月号発売!

『記録』5月号が発売。

http://www5b.biglobe.ne.jp/~astra/link/test0705.html

[特集]『奨学金制度が告げる経済崩壊の足音』 /本誌編集部
「いざなぎ越え」などと言われる一方で、多くの自治体で生活保護の申請が増えるなど、苦しい生活状況を伝えるニュースが耳に入ってくる。今や大学生の25%が利用する奨学金制度。実はこの数年で奨学金の返済が滞る人が急激に増えているという。この制度に注目すれば、ちょっと変わった角度から現代ニッポンが見えてきそうだ。

■編集後記

 先月から難民をテーマとした連載が2本になった。白川徹さんの『忘れられた国内避難民』が始まったからだ。編集をしながら、これは伝える価値があるものだと思う一方、ちょっとした絶望のようなものを感じることもある。自分の周りには海外の難民に関心をよせる人はほとんどいない。彼、彼女らの心配事や関心事は同僚とうまくいかないだとか体のケアだとか火遊び程度の不倫だったりする。難民は住む場所に不安を持ち、職がない。このものすごいギャップはいったいなんなんだと思う。ただ、現実的に考えて、報道や記事などで難民の様子などを目にして「大変だね」とか「かわいそう」などを超えてより積極的にそれに関わろうとしたとき、具体的に何をすればいいのかは分かりづらい。というかこれを書いてる私もハッキリとは分からない。なにか具体的な物事につなげる視点を持つべきだと思った。でなければ、どんないい記事でもただ消費されていくだけだ。編集者としても、その視点なくしては記事を活かすこともできないだろう。上段の椅子にエラそうに座っている編集者など必要ないのだ。(編集/宮崎)

 

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2007年4月29日 (日)

日曜ミニコミ誌・アメリカンハウスに住む/『うるま』

Uruma  今年もやってきました黄金週間。
 なんでも50万人以上が海外旅行に行くそうだ。たしかに彼らにとっては黄金週間かもしれないが、別に取り立ててココロ踊るイベントなどもない『記録』編集部員はなにが黄金週間だバカヤローとわめいている。ねずみ色に変色している。メッキでいいから黄金の仲間入りをさせてほしい。

 今回紹介する『うるま』は、私たちを海の向こうへいざなおうとしている。沖縄からである。地域モノの刊行物はなぜか表紙から地味なものが多いが、毎号『うるま』の表紙はカラリと晴れた感じで洒落ている。
 最新号の特集は『外人住宅に住もう!』。簡単に言ってくれるな!とここでもねずみに変色しそうになったが、特集が面白かったので持ちこたえた(?)。
 記事によると、沖縄中部の北谷町や読谷村、沖縄市、宜野湾市には外人住宅が集まっているエリアがあるという。1972年の沖縄返還後、駐留していた家の主は一気に帰国しはじめ、後に地元の人がアメリカンハウスを借りることができるようにもなった。老朽化は激しいが、現在ではアメリカ的な家の造りやレトロ感が人気を呼んでいるのか明き物件を探すのが難しいほどだそうだ。
『うるま』は9割以上が写真つきのカラーページという贅沢な紙面で、アメリカンハウスに住んでいる人たちの生活の様子などがばっちり載せられている。どのページに掲載されている人たちも広い部屋にゆったりと暮らしているように見えてうらやましい。

 バックナンバーのページで過去の特集を見ていくと、「華僑が出会った沖縄」「沖縄の装身具」「沖縄の人間国宝」「おきなわ肉自慢」など興味そそれられる題材が多い。手にした号の「外人住宅に住もう!」もそうだが、地域に住む者でなければ知ることのできない情報を、その背景や歴史にも触れ、しかも読み物としてうまくまとめられているような記事、それが地域系の刊行物の醍醐味ではないか。

 加えて『うるま』は写真の多さとレイアウトの簡潔さが心地良い。ずっと眺めていると、行ったばかりなのにまた渡沖したくなるのだった。(宮崎)

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2007年4月28日 (土)

『吉原 泡の底』 第15回 

 吉原。住所で言うと台東区千束の角町町会の通り、キラキラ輝き、鏡のように写し出す太いポールが2本、その豪華絢爛な見栄えは、確かに一見すると来る客を圧倒するだろう。
 地方の安いソープランドや、ソープが立ち並ぶ地方駅前などからすれば、数百ある吉原の夜のネオン看板を見れば、怪しく、どこか男心を刺激され、さすがは日本一のソープ街と思うだろう。
 僕のいたR店は、ブルーがメインカラーだといっていた。はじめ何それ、と思っていたが、店によってはイエローばかり使う店もあった。その店みせで特色があるのだ。
 R店の自動ドア以外の表の壁はブルーで、その壁には、遡って4、5年前くらいまでの保健所からもらった営業許可証のシールが貼ってある。
 どうだ。ほら、ここに許可証があるでしょう。といわんばかりに、わざと目立つところにある。水戸黄門の印籠のように、これで堂々と営業も出来るのだ。お国公認の印だ。
 自動ドアを入ると、真正面にフロントがある。まずはマネジャーが客を睨み、客の戦意を完全に喪失させる。
 もうそうなった時点で、マネジャーの言いなりである。帰るに帰れず、好きでもないのに金を払わされ、女の子をあてがわれ、遊んでいく。

 フロントの脇の廊下を奥に行くと、右手にボイラー室がある。フロントが店の司令塔だとするならば、ボイラー室は心臓であろうか。
 大きなタンクがあり、いつもお湯を沸かしているので熱く、しかも火事の危険のある場所だ。ゆえに、保健所、消防署の人も、くればボイラーをチェックし、いつも怒られるのだ。蒸し暑いが、その分洗濯物を干したり、傘たてをしまったり。業者が持ってきたピンクのバスタオル、小さなタオルもここでボーイが汗だくになり、懸命にたたんでいるのだ。
 ある程度たたんでおかないと、すぐに部屋のタオルがなくなり、トラブルになる。マネジャーがキレないように、ボーイは暇を見つけてはボイラー室で作業するのだった。
 待合室は2つある。入ってすぐが第1である。僕が面接をしたところもここである。トイレからフロントまで壁があり、そこにヤクザのようなボーイが数人立っているのだ。フロントには各部屋から連絡があり、専用の電話があるが、ボーイには滅多に触らせない。
 流しのほうに行くと、待合室の壁があり、フロントから見えない。サボる先輩などはよく流しに行き、ぽりぽりとお客にだすつまみのせんべいなどを食べたりする。が、それも気持ちは分かる。店長がおまえら飯くっていいぞ、となかなか言わないからだ。
 勝手に食べていて、店長が帰ったら。そう考えると、勝手に何かを注文するなど、マネジャーでも出来ないのだ。たまに流しに行ったりすると、Eちゃんが至福の顔でせんべいを食べ、タバコを吸い、僕をキッと睨みつける。
 おまえは10年早いぞ、といわんばかりである。また、流しに入る手前に、ドリンク製造機があるが、それも勝手にEちゃんは飲んだりする。あれは、グラスをスイッチに押し付けると、ドリンクが出てくるのだが、その際、モーター音がして、その機械を使用していることがわかる。が、それもうまくなると、モーター音を出さずに、ドリンクを出すテクニックが身につくのだ。あまり飲んでいると、すぐになくなるし、あれは結構高いので、マネジャーにどやされるから、分からないように飲むのであった。

 待合室のテーブルには、アメもあり、タバコもある。時にふらふら歩いては、そんなものを頂戴するのだ。
 2階へ上がる階段であるが、第2待合室入り口に立ち、階段で女の子が客を待ち、ボーイが○○様、と待合室に入ってお呼びし、そしてご対面となるのだ。
 この階段もとてつもなく急であり、危険なのだ。客が転んだことは少ないが、ボーイがつまづいて作ったドリンクなどをこぼしたり、割ったりするので面倒なのだ。
 1度、階段中腹から、女の子が降りる際、ドカドカドカとすごい音と共に転げ落ちてきたことがあった。
 案内する直前の子だった。フロントからマネジャーも飛び出した。
「大丈夫か、おい」
というと
「はい、いたいよー」
と笑いながら、目は涙で、音もすごかったし、持っていた小さな鞄の中身は散らばった。
「よし、時間ねーからご案内」
客が出てくると、
「あーん、会いたかった」
と何事もなかったかのように振舞うのである。さすがはプロだ、これじゃ口説こうと思って大金払っても無理だね、とおもってしまったのだった。(イッセイ遊児)

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2007年4月27日 (金)

安倍が人権侵害だってさ

 安倍晋三首相の今週の話題といえば、「長崎市長射殺犯と安倍首相の関係」と広告を打った週刊朝日への首相の抗議だろう。
「でっち上げ、ねつ造で憤りを感じる。言論によるテロではないか。報道ではなく政治運動ではないかとすら言いたくなる」と首相は発言。本当なら議員も首相も辞めてやるときた。なかなか強気の発言だが、ここまで強気で大丈夫なのか?と想っていたら、朝日新聞の25日付朝刊に「一部広告の見出しに安倍首相が射殺犯と関係があるかのような不適切な表現がありました。おわびいたします」と週刊朝日の編集長のコメントが載った。

 どうやら今回は朝日側の誤報らしい。

しかし、この編集長のコメントに対して「朝日新聞の朝刊の社会面の隅に分かりにくく、こっそり“広告の一部は間違っていた”というおわび的な記事が出ていたが…。謝るんだったら、はっきりと分かりやすく国民に伝えていただかなければならない。まさに私の人権を侵害している」と発言。名誉棄損で訴えると明言していることには驚いた。

 たしかに謝るならどこが間違っていたのかを明確にすべきで、自社の新聞に編集長のコメントを入れるなんて姑息な謝罪の仕方だ。だとしても「言論によるテロ」、「政治活動ではないか」、「私の人権を侵害している」と一国の首相が騒ぎ立てマスコミを脅すなんてどんな神経だ。

 訪米前に従軍慰安婦問題を沈静化させるためにウォールストリート・ジャーナル紙とニューズウィーク誌の取材を受け、「20世紀は人権が世界各地で侵害された世紀だが、日本にも責任があり、例外ではない。慰安婦として彼女たちが非常に苦しい思いをしたことに責任を感じている」と完全謝罪(たしかに、こうした謝罪の仕方を朝日は学ぶべきかも)。ついでにヤバイ話を書かないように外務省まで動かしたが、そんな「活動」まで報告されて赤恥をかいた。
 朝日と安倍首相とのバトルといえば、従軍慰安婦問題の模擬裁判を扱ったNHK番組に安倍首相が圧力をかけたと朝日が報道した問題もあった。この問題については、高裁がNHKが取材対象者に200万円払う判決が出されている。NHKが何らかの圧力で番組を改編したことを認めたものだ。彼が圧力をかけたかどうかはわからいが、NHK幹部と会って「公正に」と注文したのは、当時官房長だった安倍首相だっことは裁判であきらかになっている。
 首相の頭にあるメディアとは自分の都合のよいことだけ発表してくれる存在らしい。つまりメディアを「政治活動」に引き込もうと必死なわけだ。
 知り合いの記者が政治絡みの取材で公安につけ回されたといこぼしていたのを思い出す。安倍首相に変わってからのことで、こんなことは10年以上の記者生活でも初めてだと。

 政治家とメディアは緊張関係にあるのは当たり前だが、自分の望むとおりの記事を書かせるために圧力をかけ、少しでも間違ったら声高に責め立てるなんぞ政治家のやることではないし、まして首相の活動して恥ずかしい。

 4月20日には首相婦人が山谷地区にある在宅型ホスピスを訪問。涙を流して住居者を励ましたと報道された。しかし、もともと山谷は戦後の治安維持のために上野のはじめとする「浮浪者」を強制的に移住したところから始まり、高度成長期における土木作業の雇用調整を押しつけた場でもあった。山谷の簡易宿泊所に住んでいた人々は高齢化によって、どんどん路上へとはじき出されている。
 このような人々への対策はまったく手つかずなうえ、非正規雇用者が増える「小泉改革」を旦那が指示し続けているのに、妻の涙を感動の大報道……。

 これ、おかしいでしょ。

 暴力団との関係があるとの報道に首相が敏感なら、これまでさまざまに報じられた黒い疑惑にもぜひ答えてもらいたいもんだ。突っついても大丈夫な話だけ声高に脅し、あとはほおかむりで、自分を良く見せる報道だけにご執心とは。(大畑)

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2007年4月26日 (木)

先日のロシア 第2回 健康法の模索でスパイラル

 前回、ロシアの死亡率が著しく低下したことについて書いた。死亡率こそ低下したものの、気になってしまうのはやはりその死因である。死亡原因の一位は食習慣からくる血液循環系の病気、これは他の先進国と同じ。しかし、次点を占めるのがアルコール中毒というのがなんともロシア的な話だ。ロシアと酒とは切っても切れない関係にある。そもそも「ウォッカ」(Водка)という名前の由来が「水」(Вода)の愛称形から来ていることからも、ことの重大さがわかってもらえるだろう。そう、ロシア人はウォッカを生活の命綱として捉えているといっても過言ではないのだ。そしてロシア語で「乾杯」と言えば「До Здоровье!」、即ち「健康のために!」であるし、「こんなことは朝飯前さ」という意味で「どんなに酒を飲んでいてもできる」というスラングまであるくらい、ウォッカは生活に密着しているのだ。むろん、日本の酒の比ではない。

 しかし、である。ロシアでは昨今、ウォッカに替わってビールが人気を呼んでいるらしい。「Новости」誌によると、2002年にはじめて、ロシア国民一人当たりのアルコール飲料消費量が減少し、ビールの消費量が増えた。また、ロシアの平均的家庭でも、アルコール類の購入に費やす金額が減少している。例えば、2001年では家計におけるアルコール飲料の購入費用は9.7%だったが、2002年には8.8%になり、0.9%の減少となった(ただし、この時点ではビールはアルコール飲料としての認可が下りていない。つまり、減少した部分がビールになり代わったという事が十二分にありえる)。古い資料で大変申し訳ないが、これ以降のデータがさしあたり見当たらない。

 この現象をどう捉えるか。医療関係者も、アルコール飲料の度数が強ければ強いほどアルコール中毒の進行が早くなるということを決して否定してはいない。確かにビール愛好家のアルコール依存性は、ウォッカ愛好家のそれよりも進行が遅いようなのだ。ただし、ビールを好むのは主に若年層であり、若者のアルコール依存症の増加が危ぶまれている。まあ、さきの死因についての統計結果を考えれば、結果的に状況は変わっていないとも言えよう。依然、アルコール依存はロシア人の国民病なのである。

 ロシア人が健康について考えるときに、アルコール摂取量と同じくらい懸念しなければならないのが様々な生活習慣病の元となる肥満だ。ロシア人の女性を思い浮かべて欲しい。はじめに18歳の、次に50歳の。想像していただけたであろうか。頭の中の二人の女性、体積が3倍は違わないだろうか。今も昔も、冬の野菜不足、油分・糖分の摂取過多、運動不足が主な原因となり、また生物学的にも寒さに対抗するために志望は必要なのか、25歳程度を境としてロシアの女性は体型が崩れてくることが多いようだ。よってダイエットにいそしむことも、永遠の流行である。このたび、前回同様に「Правда」(「プラーヴダ」)を眺めていたら、摂食についての記事が見つかった。米医学誌「Biological Psychiatry」掲載論文を追いかけているもので、ストレスレベルとカロリー摂取量の相関性についての調査について書かれている。

 自殺の防止に懸命なロシアにとって、「Biological Psychiatry」が大切な精神医学誌だということはよくわかる。このたびの5月号でも、とくに菜食主義や極端なダイエットが深刻な精神疾患を引き起こすことが示唆されている。脂肪と炭水化物は肥満の目の敵のように思われがちだが、不足すればやはり健康によろしくない。当たり前のような話ではあるが、健康のみではなく精神疾患に注目して調査を行っているところが面白いと言えば面白い。

 人に必要な栄養素というのは、体内に蓄えられないものがほとんどである(その点を考えれば、脂肪は優秀だ)。記事によると、特に菜食主義者や摂食を控えるタイプのダイエッターに不足しがちなのがビタミンB1、B2、B12、カルシウム。特に上記3種類のビタミン不足は精神疾患を引き起こしやすい。まず、ビタミンB1が不足すると神経炎を発症しやすい。めまいが起こったりと、さきに精神を蝕むというよりもストレスに抵抗する力がなくなり、実際に神経に疾患が現れる。ビタミンB12も同様に、不足すると神経障害が起こり、貧血が起こりやすくなる。そしてビタミンB2が不足するとホルモンバランスが崩れ、精神的ストレスの元となる。体の奥、神経のほうからダメになっていき、結局はそれがストレスや鬱につながるという構図だ。

 肥満から免れても鬱病になってしまっては仕様がない。鬱から自殺という最悪な結果も考えられる。ロシアにとって深刻である高い自殺率が、また上乗せされてしまうのだ。それを懸念しての記事掲載ではないか。そんな意図が感じられる。
 ちなみに、記事には出ていないが、ビタミンB1、B2、B12を手軽に効率よく採れる食物としては、第一にビールがある。
 До Здоровье!
(臼利つくし)

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2007年4月25日 (水)

松坂大輔とイチローの「日本人対決」

もうすぐ松坂と松井秀喜の「日本人対決」もあろう。テレビやスポーツ紙および時差のお陰で部数がはける夕刊紙が盛んに取り上げている。

どこにニュースバリューがあるのかわからない。むしろ島国根性爆発を見る思いだ。

日本より高いレベルにある米大リーグで日本人投手と日本人野手が「対決」する。メディアはそれがあたかも大リーグを日本人が席巻したかの如く褒めたたえ、視聴者も読者もその気になる。実際は全然どうでもないにも関わらず、また同じ日本人とはいえ自分ではなく赤の他人がなした営みにも関わらず、わがことのように胸を張る。張った胸ならば広かろう。「バカ」と大書した紙を貼ってやりたい気分である。
まず「日本人対決」との騒ぎ方そのものがみみっちい島国根性そのものだ。松坂がアメリカ人など大リーグの主要勢力をバッタバタと倒すのは、イチローが同じくそうした者から打ちまくるのは快挙といっていいが、ことさらに日本人同士で対戦しているのを取り上げて、それが他の国籍の選手と対すると別して大きく扱うのは明らかなフレームアップである。
松坂とイチローは日本のプロ野球でもまみえていた。特にイチローは7年連続首位打者という前人未踏の記録保持者である。その時に日本人はふさわしく彼を遇したか。イチローのいた球団は別の球団と合併し、松坂のいた球団は「裏金」で揺れ、松井のいた球団は1新聞社の拡販材料にすぎない。そんな体質が嫌で出ていった面があるのをすっかり忘れて大喜びする姿はみっともない。
そもそも「松坂vsイチロー」「松坂vs松井」などという図がない。あるのはボストンとシアトルの、ボストンとNYの試合であり、松井も松坂もイチローも属するチームの勝利のために全力を尽くしているのだ。したがっていかなるチーム状態で、どんな局面で、こうしたプレーをしたという点が大事なのであって、試合やチームの状況を無視した「日本人対決」のみに一喜一憂するのは邪道でさえある。
「日本人対決」に酔いしれたければ日本のプロ野球を見ればよろしい。いやアメリカでやっている日本人同士だから気になるという方へ。それを島国根性丸出しという。

百歩譲って野球は投手と打者が1対1の局面で対戦するので「日本人対決」もいいとしよう。でもサッカーはどうだ。欧州各国内リーグのチームにたまたま日本人が居合わせるだけで「日本人対決」とあおり、それに同調する向きも多い。片方の日本人選手がベンチだと「日本人対決が実現しませんでした」などと嘆息さえする。
日本人が出場したら試合内容などそっちのけ。テレビは少しでもよさげなパフォーマンスを見せるとそこだけを繰り返して放映し、実はチームが0対3で負けたという事実があってもわずかに付け足すのみである。それで「欧州勢を呼ぶか否か」とイビツァ・オシムに迫る。オシムの哲学的思索を一層深める価値ある不条理を日本人は日本代表監督に捧げているわけだ。

いきなり居直ってみせる。「愛国心」とやらは、この島国根性と同じテンションではないか。アメリカ人やイギリス人やブラジル人に伍して戦っている日本人、オレも日本人。ああオレは日本人。日本人って素敵だな。伍して戦っているのはイチローや松坂であってオレではないのにオレも素敵。だって同じ日本人だもの。
違うのだ。伍して戦っているのはイチローや松坂であってオレではないから同じ日本人でもオレはダメ人間なのだ。もちろんこの「ダメなオレ」に私も入る。イチローや松坂には及びもつかぬオレって何だと考えるところから何もかも始まる。「元気をもらった」なんて恥ずかしくて言えない。日本人選手が活躍しても自分の仕事は片付かず、もらった「元気」とやらで何も解決はしない(編集長)

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2007年4月24日 (火)

サミット麻雀――洞爺湖は手なり重視の安牌切り

南2局1本場終了

東 関西サミット(大阪府・京都府・兵庫県)代表
  大阪城・京都迎賓館  ……2万7200点

南 開港都市サミット(横浜市・新潟市)代表
  パシフィコ横浜 【俺】 ……2万4800点

西 瀬戸内海サミット(岡山県・香川県)代表
  サンポート高松    ……2万3000点

「流れやないでー、テンパイなしでも南場やからのー。親のまま血吸ったろか~」
 大阪城が自分の冗談に一人笑っている。このうるさい大阪人は俺をイラつかせる。
「そろそろ変わってくれへんと困りますわ~。ウチかて関西サミットの代表どす」
 大阪城の後に座っている京都迎賓館が、またネチネチと打ち手の交代を要求し始めた。
「じゃかましいわ! 今、勝っとるやろが。3人麻雀言うたら大阪の華。そんな簡単に譲れへん」
 首脳会場を争っている2人の争いが続く。互いに相手より上だと思っているだけに始末が悪い。だいたい3万点にも届いてないのに、勝手にサミットの開催地が自分たちだと思い、内輪の争いに力を入れてることに腹が立つ。

「ちょっといいかな。こいつを卓に入れてもらえる」
 いきなり卓に近づき声をかけてきたのは胴元の1人である中川昭一政調会長だった。その後でオドオドした表情の男が俺たちに頭を下げた。
「後出しじゃんけんみたいですまないべー。ザ・ウィンザーホテル洞爺です」
 この男どこかで見たことがあるような……。
「あっ、もかしてホテルエイペックス洞爺! おれの2年ぐらい後に建った。たしか最後のバブルだとか言われた」
 思わず声を上げていた。ずいぶんと贅肉が落ちたが、ホテルとは思えないほどデカイずうたいはそのままだ。ただ当時の調子に乗った雰囲気はまったくない。
「覚えておいでですか。あの節はお世話さなって」

 ザ・ウィンザーホテル洞爺は、はにかみながら答えた。北海道拓殖銀行の破綻を受けての営業停止が、ここまで彼を変えたのだろうか。「ホテルなんてもんわな、高級なら入るんだ。おれのバブルがはじけると思ったら大間違いだべー!」と怒鳴り散らしていた男と同一人物には思えない。
「南2局から参加だ~ぁ! 東場で頑張ってきた俺たちをどう考えているのかのー」
 さっそくかみついたのは大阪城だった。
「まるっきしよ。許されるはずないわ」
 敵がいるときだけは仲良くなれるのだろう。大阪城に続けて京都迎賓館もザ・ウィンザーホテル洞爺をにらみつけてくる。
「まあまあ熱くならんので」
 仲裁に入ったのは瀬戸内海サミットのサンポート高松だ。県庁に専門部署すらなく、予算すらついていないサンポート高松はそもそも勝つ気がない。ただただ平和にサミット麻雀が終わるのを待っているようだ。

 南2局から3人麻雀が4人麻雀に変わるなんてことは認められるはずがない。しかし中川のバックには大胴元の安倍晋三首相が控えている。従わないわけにもいかない。顔をしかめて何がブツブツとつぶやきながら大阪城がサイコロを振った。
「おっ、自7や! ちゃうちゃうトイ7やった」
 サンポート高松の山が割れ、ドラ表示牌がめくられた。4筒。
 と、そのとき大胴元・安倍首相の甲高い声が雀荘に響き渡った。
「くつろいだ雰囲気の中で議論できる場所、『美しい日本』をアピールできる場所がいいですね。あと警備上の問題も重要です」
 警備だと! 俺はぶち切れそうになった。そんなことが重要だとは聞いてない。都市の俺には厳しい課題じゃないか。
 いや、しかしもう勝負は終盤、あえて不得意な警備力をアピールするより、都市の便利さを全面に押し出すべきだ。
 配パイを見た。ダブ南2枚とドラの5筒と6筒、アンコウ暗刻が1つ。
 いける!
 一鳴きで速攻の手作り。都市ならではの交通網を手作りの早さでアピールする!
 2巡目、警戒心なく南を切ったサンポート高松からポン。4巡目には辺張(ペンチャン)3索がずっぽしでテンパイ。牌に勢いがある。符跳ねしないのが痛いが、親を持ってくる速攻での3900点。
 来い! 4、7筒。

「いややー! テンパイやろか。目がぎらぎらしてまんねん」
 麻雀歴の長い大阪城。俺の気配からテンパイを悟ったようだ。しかしまだ4巡目。他のメンツの手は固まっていない。各自、警備力をアピールしたいだけに、ムリに手を作っての放銃はできないだろう。天棒が動きにくい展開だけにノーテンバップ3000点でも十分だ。
 などと考えていたときに、下家のサンポート高松が赤5萬を切った。ダブ南で2飜確定にドラをぶち込むとは正気か? 
 続いてザ・ウィンザーホテル洞爺は安牌の南切り。大阪城は現物の北。さすがに両者は堅い。
 ここから危険牌に関係なく切り続けるサンポート高松と、安牌を切り続ける北海道・関西コンビという膠着した展開がしばらく続いた。状況が動いたのは10巡目だった。
「カンやー! 暗カンやー!」との声とともに大阪城の端牌が雀卓に倒された。俺の当たり牌の7筒!!
「くさいところやろ。出せへんからな~。テンパイにたどり着くためにも」
 そして手だしが8筒。
「分かるか、パシフィコはん。警備が必要なら大阪城で首脳会議を開けばいいんや。大阪城にはカンで作った堀があるしな」
 警備力だけ考えるならドラの増えるカンなどしない方がいい。7筒と8筒での両面待ちを狙えるわけだし。しかし卓を見つめる安倍首相へのアピールを考えるなら、敢えてカン。壁を作って自身の堀をアピールしての8筒切り。
 強い! 大阪城。
「戦は強いんどす。この前の戦争でも焼け落ちておりませんから。あっ、この前の戦争言うても応仁の乱どすけどな」
 歴史をアピールしたいのだろう。京都迎賓館が口を出してくる。本当に食えないオバサンだ。これで2年前に完成したっていうんだから信じられん……。

 当たり牌の1つを消され、かなり気落ちしながらツモ切りすると、サンポート高松が声を上げながら牌を切った。
「できたー」
Photo_33

「これはなんだべ」と、すっかり紳士になったザ・ウィンザーホテル洞爺がサンポート高松にたずねる。
「多島美やわ。これしかアピールないんやんやから」
 たしかに瀬戸内に浮かぶ島の数々のように美しく牌が切られている。しかし、そのために赤5萬切りとは!  紅葉に彩られた小島でも表したつもりか。
 予想以上にサミットにかける熱い思いがあるということなのだろう。

 結局、この局は誰も上がることなく終了。驚いたことにザ・ウィンザーホテル洞爺は俺がテンパッテからすべて安牌を切ってきた。「当たれるもんなら、当たってみれ」と危険牌をバシバシ切り捨てていたころが懐かしい。
 しかし、これは警備力が高いというより、勝負する手が来ないツモの悪さが原因かもしれない。
「ザ・ウィンザーホテル洞爺も堅いね。今はそんな打ち方なの?」
 俺はヤツのしけた面を見ながらたずねた。
「いや、今は手なりだ~。安全牌から投げるから。手なりは環境に優しいし。昔にみたいにやたらリーチもかけないでダマだ。それがリトリート(隠れ家)サミットだべ」
 ウィンザーホテルの言葉に首相がいちいちうなずいていた。もう北海道が立候補した時点で勝敗は決していたのかもしれない。
「そうそう言い忘れました。トップ賞は私が選んだ雀士に付けます。美しい雀士に」
 安倍がいつものぎこちない作り笑顔を浮かべて言った。この麻雀に賭けた俺の努力は何だったのだろう。急速に麻雀への熱が冷めていくのを感じた。(大畑)

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2007年4月23日 (月)

ホームレス取材のこぼれ話②

 新宿などでは多くのボランティア団体が活動し、ホームレスの人々に食事や毛布などを提供している。しかし取材に行くと、ホームレスの人々がプレゼントをくれることも少なくない。
 ホームレスの取材を始めて、僕が最初にもらったプレゼントは貯金箱だった。猫をかたどった黄色い貯金箱は、小銭を放り込むと短い曲を流す仕掛けが付いていた。
「お金は大切にするんだよ。若いの。俺にはもう貯金箱なんて必要ないからやるよ」
 上野公園で暮らしていた男性は、そう言って僕の手に貯金箱を握らせた。
 その貯金箱は、編集部の机の上で2年近くお金を集め続けた。最後には音楽が止まらなくなり捨てることになったが、2000円近いお金を僕に残してくれた。アルミ缶で同じだけの金額を得ようと思ったら、23キロも缶を集めなくてはいけない。そう考えるといやに大金に思え、すぐに銀行に行った。
 今回、記事を掲載した沖縄出身の男性からは、ゴーヤとナーベラーを2本ずついただいた。河原で作ったとは思えないほど立派な大きさで、味も素晴らしかった。特にナーベラーは絶品。なすに近い味わいがあり、味噌炒めで食べるとごはんが進む。
 わざわざテントから脚立を持ってきて、ちょうど食べ頃の実を選んでもいでくれた彼が、どういう気持ちで故郷の野菜を育てていたのか。ナーベラーを食べ終わった後、少し考えさせられた。
「いや、ホントにうまいんだから。ゴーヤは、売ってる店もあるけれど、ナーベラーはまだまだ出回っていないから食べてみてよ」
 楽しい思い出が詰まっているわけではない故郷。それでも彼の心の根っ子には、沖縄があった。沖縄への思いについて、それほど詳しく語ってくれなかっただけに、ナーベラーとゴーヤを手渡してくれたときの笑顔が、強烈な印象として僕の中に残っている。
 荒川のほとりでは、一杯のコーヒーをご馳走になった。気を遣ってくれたのだろう。わざわざ新しい湯飲みを箱から出して、パック入りのコーヒーを注いでくれた。
「氷がないのは勘弁してくださいね」
 暑い日だったからだろう。そう言いながら、彼は湯飲みを手渡した。河原には自動販売機もなく、数時間、何も飲んでいなかった僕にとって、そのコーヒーは何よりありがたかった。
 古本屋に拾ってきた本を売って生計を立てている彼にとって、パック入りのコーヒーを買うのは、それなりの贅沢であるに違いない。そんな貴重なコーヒーを、初対面の僕に振る舞ってくれる。その気持ちに頭が下がった。
 どうして彼らがホームレスにならなければいけなかったのか。やはりわからない。いや、ホームレスを美化するつもりは毛頭ない。とんでもなく性格の悪い人や、本当に怠け者の人だって、ホームレスの中にはいる。
 だが彼らの大半は、やはり善良で大人しい人である。仕事仲間としても悪くないように感じる。いきなり職を失う原因を、性格から探しだすことは難しい。
 彼らからのプレゼントについて考えても、やはり同じ疑問が頭を駆け巡る。彼らの運命を不運と片づけたくない。でもホームレスになる明確な理由など、彼らから見つけることはできない。そんなことを考えている。(編集部)

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2007年4月22日 (日)

日曜ミニコミ誌・状況に返し風を/『けーし風』

Kee 「けーし風」。風は「かじ」と呼ぶ。聞き慣れない言葉なのは当然で、沖縄の言葉だからである。
 頻繁に訪れる台風が過ぎ去った後、熱帯性低気圧への反動のように北から風が吹く。それを沖縄ではけーしかじ(返し風)と呼ぶのだそうだ。
 基地問題や景気の低迷、失われていく歴史観。そんな状況に返し風をと15年ほど前に創刊されたのが『けーし風』だ。
 メンバーは沖縄大学、琉球大学の教授や町役場の方などで、編集部は沖縄大学の地域研究所という施設に設けられた。
 最新号である07年3月の特集は『検証・SACO10年の沖縄』。SACOとは日本語の正式名称で「沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会」とされ、つまり米軍基地の整理・縮小を協議するための場として設けられた。 95年の11月に発足している。その年に起こった米軍兵士3人による少女暴行事件により早急な基地問題解決の気運が高まった。解決を協議する場として設置されたのがSACOだったが、普天間基地をはじめ、10年後の今でも返還がなされていないとは当時の人たちは予想だにしていなかっただろう。今では、SACOの設置は沖縄県民の怒りをそらすための手段だったのではないかとの見方さえあるほどだ。
 いったいSACOが設置されてからの10年てなんだったんだ。それが詳しく書かれてある読みごたえある特集だ。問題が単純ではないだけにサラリと読めるものではないが内容は濃い。対談形式のこの記事に登場するのが地域研究に携わる地元沖縄大学と琉球大学の教授同士だから、内容があるのは当然か。

『けーし風』では決まった政党や指導者を支持しているわけではない。ただ、出口の見えない現在の沖縄の状況をしっかりとらえて伝えようとしている気概のようなものが誌面に表れているような気がする。
 編集に携わる岡本さんは言う。
「編集員たちが考えてるのは、どうしたら健全な沖縄に変わることができるのか、ということですね。基地問題とか経済とか様々な面でです。これまで15年続いてますけど、歴史を継承する場を残していこうという意見は割合的に多く出してると思います。沖縄には有名な平和祈念資料館の他にも、沖縄戦の歴史や伝統を伝える資料館や博物館がたくさんあるんです。地域に歴史を残していこうという考えがあることの表れだと思います」。
『けーし風』でも、歴史を継承する活動を数多く取り上げてきたという。
 ただ、日本の標準的な若い世代がそうであるように、やはり沖縄の若い層も歴史観なわけでもないのではないか。
「若い人たちはまず、失業などが大変な問題になっていますから。といっても最近そうなったのではなくてずっとなんですけどね。沖縄で働いても非正規雇用が多く、本土(本州)でも季節工という、比較的に安定できない人が多いみたいです」。

 私が3月に沖縄に行ったとき、国際通りは人であふれかえっていた。観光客と修学旅行生でごったがえして、昼のいちばんにぎやかな時間帯には歩行路を足早に歩く事ができなかった。ただ、一歩路地を入ったりすると空き店舗が目立ったりした。若い人達のショップがどんどん潰れて大変、とは普天間基地近隣に住んでいる人から聞いた。
 どうも、あの明るい土地柄に暗い話題はミスマッチに思えるのだが、それは住んでないから言えることであるようだ。
 那覇市で乗ったタクシーの初老の運転手が淡々とした口調で言った。沖縄のことについていろいろ話してくれた人だ。「本土の人は、リゾートで来るんだろ、沖縄に。あんま言いたくないけど、本土の人は遊びに来て、基地だけ押しつけてんだ」。(宮崎)

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2007年4月21日 (土)

『吉原 泡の園』 第14回/義指にはめられたステキな指輪

 ある日出会った早朝勤務のボーイは、とても無邪気な笑顔で話しかけてきてくれた。
 その笑顔はまさに癒し系で、とても安心させられたのだった。
 前店長は、この早朝組が気に入らなかった。早朝組も前店長Sが嫌いだった。互いに子供のような陰口や行動を展開していくのだ。
 RグループのRという店がこの店だが、グループ全体のトップは会長という表には出ない闇の帝王が存在し、各店舗の社長達は、我こそが1番の会長の子供であるとがんばっているのだ。そして、S店長は、早朝組の人間が会長にかわいがられていることに嫉妬しているかのようだった。
 いくつになっても、いや、どんな世界にでも、このような嫉妬が渦巻き、そして人間関係があるもんだ、と勉強になった一面だった。
 さて、大した仕事はしないが、とにかくドリンクを運ばされ、僕の1日は終わる。24時、フロントからマネジャーが、
「はい、12時」
 と表の人間に怒鳴ると、表の小さな看板のコードを抜き、それを店にしまう。大きな店にある看板はフロントで消す。自動ドアを閉め、鍵をかける。学校の音楽室のカーテン。あれは光がもれない。あれを表向きに店の中からマジックテープ3箇所でとめ、いかにも店内の電気が消えたかのように細工する。
 当然24時以降の風俗営業は違反である。
 ここまで来ると、大方上がりのお客さん待ちである。片付けながらも、ドリンクをつくり、飲んだり、テレビを見たりしているものもいる。僕とTさんは、マネジャーに見つからないように、コーラとメロンソーダを混ぜ、カルメロと騒ぎながら飲んで、1日の疲れをとっている。すると、裏のドアをドンドン叩く。もう誰よ、疲れているのに。と思いながらフロントの前を横切り裏出口に行く。鍵を開けると、小柄ながらソフトなパーマをかけ、いつもオシャレな派手なシャツとチノパンをはき、クロコダイルのポシェットを抱え、小指に小粋な指輪をはめた、Rグループ幹部の経理のYさんがギョロ目をさらにむき出して僕を見る。
「あっどうもごくろうさんです」
 僕も一層声が大きく出る。
 マネジャーも少し驚き、今日の売上をYさんに渡すのだ。
 売上→縦計が売上。詰金が純利益である。縦金をYさんの鍵つきのポシェットにしまう。
 ダイヤルが3つ。数字があえば鍵があく。Yさんは元極道だったという。小指に指輪をしているが、その小指も義指で、極道時代に何かへまをやらかし、指を詰めた。が、今の時代。良い義指があり、その義指には、指輪までついている。まさか指輪をはめたその指が、義指とは思うまい。僕も、小指に指輪なんて、ステキだし、すこしエロティック。とおもったもんだ。また、暴力団員系の人は、楽な格好だからか、トレーナーをこよなく愛している。まあ、車の運転によし、くつろぐのによし、喧嘩の時、動きやすい、まあそれはどうか知らないが、犬の顔が背中にプリントされているような類のものを、Yさんも好んでいた。たまにだが、そんな格好でも来た。
 また、そんなトレーナーくらい、好きなものをきればいいと思うかもしれないが、ランクなどがあり、マネジャーは、この歳ですでに、○○のメーカーをきてるんじゃ。と自慢していたが、僕にはチンプンカンプンだった。
 ちなみにこのトレーナー、たかだかトレーナーですが、アドバットというものは、3万くらいするのです。(イッセイ遊児)

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2007年4月20日 (金)

中川暴言で気づく安倍首相による親中政策の気味悪さ

 自民党の中川昭一政調会長がほえた。「安倍首相は日本のトップだが、温首相は中国の順列ではナンバー3だ。これは外交儀礼上おかしい」(『朝日新聞』07年4月17日)
 オイオイ、温首相が帰国して2日もたってから言うなよ、と笑った。温首相の晩餐会にもニコニコ出席したが、首相が帰ったなら声高に叫びたい。

 けっこうみっともない図である。

 ただ、そうした批判を超えて「なるほど」とも思った。
 これが安倍晋三首相のホンネだろうと感じたからだ。先週、やはり中川政調会長が中国を泥棒よばわりしたと書いたが、これまでの政治姿勢から考えれば発言自体に驚きはない。いかにも言いそうな人が、いかにものことを話しただけだ。もちろん「外交儀礼上」その発言が適当かという点は問わないでだが。

 むしろ驚くべきは、中国に対する首相の寛容さだろう。
 ナンバー3でもOK、国会での演説も歓迎。ただ安倍首相が「左ウイング」取り込みのために、このような行動しているわけじゃなさそうなところが気持ち悪い。
 今週から来週にかけて、イラク復興支援特別措置法改正案、教育改革関連3法など「安倍カラー」の濃い右よりの法案審議が目白押しになっている。14、15日に行われた内閣支持率の上昇がこの動きを後押ししているらしく、強気の政治姿勢はさらに加速していくはずだ。

 何となく温首相のパフォーマンスに目を奪われ、安倍首相の柔軟な対応に疑問を持たなかった。しかし温首相訪日中の安倍首相は、すでに強気の政治姿勢を打ち出していたのだ。同じ政治思想を持つ中川政調会長と比べると、その差が分かる。首相の方向転換の度合いがクッキリ。本来なら政調会長の代わりに、首相が同じことを吠えても不思議はないのに。

 この謎を解く鍵を与えてくれたのが、元共同通信記者で国際情勢が専門とするジャーナリスト田中宇さんのホームページだ。4月12日にアップされた「改善しそうな日中関係」(http://tanakanews.com/070412JapanChina.htm)によれば、米国からの要請により安倍首相は親中派にならざるを得なかったのだと分析している。たしかに米国からの要請と考えれば、安倍首相の対応は理解できる。

 また自衛隊と中国軍が緊急連絡を取り合うホットライン創設を日本政府が目指しているという驚きのニュースも納得できる。
 国同士のホットラインは必ずしも緊張緩和の産物ではない。緊張が高まるからこそ、偶発的な軍事衝突を避けるためにつくられるケースもある。冷戦期における米ソのホットラインはその典型だ。しかし温首相の「氷を溶かす旅」が大成功に終わったことを考えれば、このホットラインが過度な緊張から生み出されたものではない。
 
 本当に安倍首相が自身の政治信条を捨ててまでも米国の意向に従っているとするなら、政府の息がかかった膨大な政策会議の動きに注目する必要がある。省益に動く官庁や、政党や個人の利益に働く国会議員と「行動規範」が違うからだ。

 4月17日に開かれた政府の経済財政諮問会議は、約1500兆円ある国内家計の金融資産を生かせるような規制緩和が提案された。最近でも不二家事件で外資ファンドが大もうけして話題になった。生き馬の目を抜くマーケットで「ハゲタカ」が個人資産に噛みついたらどうなるかは説明するまでもない。
 
 何となくいやーな感じがしている。(大畑)

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2007年4月19日 (木)

米軍再編下の沖縄で ~前参議院議員・糸数慶子氏に聞く~

 世界最大規模の軍隊である米軍の再編が進んでいる。日本においても沖縄県宜野湾市にある普天間基地の名護市辺野古崎への移転、在沖米軍海兵隊約8000人のグアム移転、神奈川県の座間基地における米軍の司令部機能強化などが日米間で合意に至っている。
 在日米軍の75%の基地が集中する沖縄の民意が反映されるとして注目された去年(06年)11月の沖縄県知事選では約35万票対31万票という接戦の末、自公推薦の仲井真弘多氏が反自公が推す前参議院議員の糸数慶子氏を破っている。新聞やテレビによる報道では、知事選前後で仲井真氏が「基地容認と経済復興」、糸数氏が「基地の国外移設」を旗印として戦い、結果県民が「基地容認と経済復興」を選んだという見方がされていた。しかし“基地のない沖縄”が住民たちの悲願であることには変わりないのではないか? 米軍基地のある読谷村で育った糸数慶子さんに基地と知事選について聞いた。

     *    *    *

■ 糸数さん自身の基地への感情について聞かせていただけますか?

「小学校のすぐ横に国道(現在の58号線)があって、その国道を、米軍がリュックをしょって、顔はペインティングされた状態で、軍靴を鳴らしながら歩いてくのがごく当たり前の光景だった。中学校のときは、パラシュートの降下訓練場を横切って登校してました。風向きが不安定な日なんかは、着地点がそれて、朝礼をやってる場所のど真ん中に兵隊が着地することもありましたね。米軍に対する「おかしい」っていう思いが一気に高まったのは、高校3年生のときでした。パラシュートの落下訓練でトレーラーが吊るされていて、パラシュートが開かないまま落下し小学生の女の子が潰されてしまった(1965年)。近所のよく知ってる子だったんで本当にショックだった。ショックと憤りがないまぜになって。その事件の後すぐ、大規模な県民集会があってそれに参加しました。それが自分としては最初の具体的な活動でした。

■ 集会には当時の高校生たちも多くが関心を寄せた?

 ほとんどみんな集会には参加しましたよ。目の前に基地があり、そこで起こった事故だから。基地があるという現状への異議申し立てですよね。基地の近くに住んでる人にしか分からない恐怖というのはありますよ。社会人になってからも、嘉手納基地の弾薬庫近くにB52が墜落(1968年)したのを、屋根の上から見たりもしました。
その頃は社会人2年目でしたが、高校卒業後からバスガイドの仕事をしてました。バスガイドの仕事をしてよかったなと思いますよ。大学でも教えないような日常的な沖縄のことを、20年も学ぶことができましたから。

■ 県議員を3期務め、04年からは参議院議員を務めた後、沖縄県知事選に出馬。選挙の争点について、仲井真氏「基地容認と経済復興」vs糸数氏「基地の国外移設」と報道されることが多かったですね。

 これを見ていただけますか?(知事選での糸数さんのパンフレットを見せていただく)私の提示する政策として、たしかに1つ目には「平和な沖縄づくりをめざします」として、普天間基地の即時閉鎖・返還を挙げています。ただ、2つ目にはものづくりを含む地場産業の育成、3つ目には農林水産業の振興、それ以外でも福祉政策の充実などを挙げています。当然ですが、私は基地問題のみを扱う者として知事選に出馬したわけではないんです。政策としては基地問題以外にも準備してありましたが、それらを浸透させる時間が足りなかったのだと思います。去年の知事選では、直前まで自公以外の勢力の中で候補を一本化するまでに時間がかかってしまったため十分な選挙活動ができなかった。またそれとは別に、マスコミが政策をちゃんと伝えてほしかったと思っています。

■ 糸数さんが挙げる産業などについての政策について詳しく聞かせていただけますか。

 基地が返還されたとすると、国からの補助金が途絶えてしまいますから、その後にどのようにして国に頼らず生活を成り立たせていくのかを考えなければなりません。まずここで言っておきたいのは、基地がなければ生活ができないという考えがしばしば県民の間からも感じられますが、そうではないことを伝えたいんです。北谷町のハンビー飛行場跡にはショッピングセンターや衣料店が集まるハンビータウンができ、県民の雇用が100人から1000人へと一気に膨れ上がりました。行政としても、国からの補助金の変わりに法人税収入が入ってきます。 基地による収入より観光による収入が上回っていますから、基地がなければ生活ができない、というのは長い間かけてできあがった思い込みでもあるのです。石垣島には基地はありませんが、石垣島はいまものすごく経済的に活性化しています。豊かな自然を利用してダイビングやホテルなど観光産業がうまくいっており、それに伴う雇用増があり、農業や地域の織物などの地場産業も充実しています。沖縄には自然がありますから、その自然に依拠する観光産業をつくり上げていくことを政策にしっかり盛り込んでいるのです。実は、もともと沖縄の中でも肥沃な土地に基地が集中しているんです。肥沃な土地だからそこに基地を置いたかどうかは分かりませんが。
 基地が返還されれば、そこで農業をはじめることもできるでしょう。「糸数は経済や産業を考えない」ということを言われたりしますが、とんでもないですよ。基地返還後の跡地を利用しての産業について現実的な政策は示してありました。仲井真さんは選挙公約で失業者をすぐ半分に減らすなどということを掲げてましたけど4年内での実現も難しいはず。大風呂敷にしか思えないんですが、そこに有権者がなびいてしまった。

■04年の参院選では糸数さんが翁長候補に10万票をつけて当選しています。選挙では翁長候補は自民公認・公明推薦で、糸数さんは自公以外の推薦だった。対立候補者が仲井真氏に変わってはいるが、争点も含めて構造的には去年の知事選は04年の参院選と似ている。しかし、結果は圧勝から敗北へ。これは不思議に思えますが。

 先ほど政策を浸透させることができなかったと言いましたが、それはあると思います。ただ、それは「表向きの理由」です。10万票の差がひっくり返ったのは相手が企業選挙という手法をとってきたからですよ。知事選では11万票の期日前投票があったことが分かっていますが、その7割以上が仲井真さんに投票されています。誰が見ても不自然なことですよね。土木関係をはじめ県内の多くの企業が社員を投票所まで連れて行き、強引に期日前投票の手続きが取らせたんですからね。04年の参院選のときの翁長候補の選挙対策部長が去年の知事選でも仲井真候補の選挙対策を引き受けており、しっかり「対策」を練ってきたということでしょう。私の方の陣営では、あれだけの差をつけて勝ったのだから、今回も同様の戦い方でいけばうまくいくのだと思っていました。が、あんな戦い方をしてくるとは思いませんでした。こんなことがあるのは沖縄だけですよ。

■ ここに来る前に、タクシーの運転手さんに、知事選ではどちらに投票されましたか、とたずねてみると、「仲井真さんに入れたけど、基地を容認するということではない」という返事が返ってきました。

 様々な調査の結果を見ても、決して沖縄の人が米軍基地がこのまま居座り続ける状態をよしとは思っていないのです。しかし、やはり「基地がなくなったら生活はどうなるのか」という不安が拭いきれていません。失業率が高い若い人たちには特に「基地問題より雇用をなんとかしろ」という気持ちがあるようです。生まれた頃から基地がある世代なので、基地に対する価値観も変わってきている面もあるでしょう。「国際交流の場としていいのでは」という意見もあるくらいですから。

■ 最近の活動ではどのようなものがありますか?

 つい先日も「女性のための3.81デー」というイベントに行きました。イベントでは沖縄北部の福地ダムについて取り組んでいます。このダムは私たちの飲み水になっているダムなのですが、米軍がダムの真上で演習をしているため何千発もの弾丸が沈んでいるんです。それをどうにかするべきだということで、安倍首相にも意見書を提出しようとしているところです。全国的にはほとんど報道されることがないのですが、沖縄では米軍による事故や被害が今でも多発してるんです。去年12月にも読谷村付近の漁場として使われている海上に、輸送機から車両が落とされるという事件がありました。現在も、米軍基地があるという危険は続いてるのです。

■ まだ確定ではないが、今年7月の参院選に出馬する可能性があるという。選挙の行方、沖縄の再編から目が離せない。(聞き手:宮崎)       

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2007年4月18日 (水)

「発掘!あるある大事典II」ねつ造問題で怒った愚かな視聴者

「発掘!あるある大事典II」のねつ造問題には驚いた。何がビックリかといって「信じていたのに!」と抗議の電話やメールが視聴者から多数寄せられた点だ。関西テレビは建前上「申し訳ありません」と答えるしかなかろうが、その実は「信じていたのか!」が本音であろう。

検証番組を見て途方もない無力感にさいなまれる。例えば「私の隣人は宇宙人だ」との妄想を抱く者がいるとする。その者が蕩々と述べる「なぜ隣人は宇宙人か」の論理そのものは整然としていて聞く側も思わず「そうかもしれない」との説得力を帯びるほどだとしよう。だったら隣人は宇宙人か。答えはノーである。
同じことだ。「食べてヤセる!!!食材X」こと納豆……という原点が「隣人は宇宙人」と同程度に妄想であるのは常識ある大人ならばわからなければならない。納豆でやせるなどありえないのだ。そんなことは納豆をしばしば食する人には常識以前であろう。

「ヤセる!!!」メカニズムは簡単だ。消費量より多く摂取すれば太る。摂取量以上に消費すればやせる。飢餓状態に陥った際に納豆しかなかったら納豆摂取は何もないより生命維持に貢献する。食べたら飢えがさらに深刻化するはずがない。誰でも知っている。
「食べてヤセる」の「ヤセる」を単なる体重減少とみなせば下剤あたりは当てはまろう。また摂取障害を引き起こす力のある毒劇物でもよろしい。「食べてヤセる」とはそうしたことだ。わからない人は愚かとしかいいようがない。

検証番組を見る限りでは納豆を「食べてヤセる」を信じたとして、その証明に失敗し、にもかかわらずそれらしく装うべくデータ変造などをやってのけたのが問題らしい。先ほどの例になぞらえば「隣人は宇宙人」を信じた上で、そうだと他者に説明する内容に無理や改変があったというわけだ。だから謝ったし視聴者は怒った。でもこの図は根本的に誤っている。「隣人は宇宙人」程度にありえない「納豆でやせる」を信じ込んだ時点で妄想に駆られたというところを。
妄想を原点とする論理はいくら精巧でも成立しない。要するに無理も改変もなく、学識経験者(これも怪しい言葉だが)が正に作り手が要望したようなコメントを発してくれたとしても、「納豆でやせる」をオーソライズできそうなデータが正真正銘取れたとしても、それ自体を疑うのが科学の、というよりまともな人間のまともな対応である。ねつ造の罪は妄想を真正と信じ込んだ罪に比べればむしろ軽い。
検証番組では局のさまざまな立場の人がもっともらしい顔をして問題点や反省を指摘していたが違うのだ。根本が妄想の産物であるテーマにいかなチェックやコンプライアンス?を加えても何の意味もない。無意味な努力めいたことを営々と積み重ねていたこと、そのものが問題の本質なのだ。

ここで疑問が生じる。こんなに下らない構図を難関のマスコミ試験を突破した社員は誰一人気づかなかったのか。気づかなかった可能性はある。そうだったら途方もないバカだ。関西テレビは目下そのように振る舞っている。バカでした。今後は気を付けます、と。
でも私は信じない。そんなはずはないのである。知っていて作ったのだ。納豆でやせるはずはないとわかっていて放映したのだ。検証番組はその点を巧みにすり抜けている。本音は「しょせんバラエティー。そんなことあるわけないとわかっていてもひまつぶしにどうぞ」だったのでしょう。でも「それを言っちゃあお仕舞いよ」だから言わなかっただけなのだ。

自分でも驚くことに私はこの「本音」を支持する。「隣人は宇宙人」と同程度にありえない前提に発しているのだから笑ってすませば終わりだった。少なくとも大人に対しては。だとしたら本物のバカはありえない前提を番組を見て「あるある」と信じ込み、そうでないと知って抗議の電話やメールを発信した視聴者なのだ。
民放地上波はタダである。「やせる」はかなりの人にとって魅力的なテーマである。すると「発掘!あるある大事典II」の内容を信じた人とはテレビがタダで自分にとって魅力的な問題を解決する情報を与えてくれると信じ込んでいる人だ。少し考えればそんなことあるわけないとわかる。それがわからないということは「少し考え」る能力さえない人が日本中にゴマンといるという何よりの証拠ともいえよう。
すなわち「食べてヤセる!!!食材X」を信じて裏切られた人はテレビ局に抗議する代わりに自分がいかに愚かだったか、考える営みをトコトン怠ってきたのか反省すべきである。

では関西テレビに問題ないかといえば1点ある。「あるわけない」とわかって作ったくせに、問題視されるや番組作りの過程に甘さや不誠実があったとすり替えた部分だ。そうされてしまうとすべての報道に同様の疑いが生じてしまって真剣に「ある」「ありうる」問題を追求している者にまで嫌な視線が注がれる。視線で済めばいいが規制を呼び込むきっかけになるから迷惑千万だ。
民放地上派に頼みがある。本気で事実を報じている番組には画面右下あたりに「報道」とクレジットしてほしい。新聞や雑誌が「広告」とすると同じ要領で。それがない番組は基本的にネタだとわかれば誰も信じないし、信じた者がバカだったとできる。そしてそうした番組自体はあってもいい。
そんなことしたらCMが入らないって? 大丈夫大丈夫。江原だ細木だの怪人物による意味不明な言説をたれ流している番組にだってスポンサーはいるのだから。(編集長)

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2007年4月17日 (火)

5年以内に大間のマグロを再び食えるのか!?

 2ヵ月ほど前、大間の本マグロを食べる機会に恵まれた。もちろん貧乏ライターが料亭なんぞに行けるはずもない。知人から刺身をもらったのである。
 この味に本気で驚いた。トロの脂が口に入れた瞬間から香る。それまで口に入れたときとろけるのが最上のマグロだと思っていたが、本当に美味いマグロは香るのですね。38年生きて初めて知りました。
 逆にこれまで絶賛してきたマグロの雑味の多さを知ってしまったわけで、まあ、それはそれで悲惨……。これまで最高の味と思っていたモノが二番手、三番手の味になってしまったのだから。もちろん大間のマグロなんて、もう滅多なことじゃ食べられないし。
 とにかく小社で大ベストセラーを出すしかないだろう!
 
 でも、ここで気になることがある。大間のマグロは僕が金持ちになるまで待ってくれるのか?
 大間ではすでに「大間原発」の建設が始まっている。しかもプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を全炉心で燃やす世界初の原発。
 漁場のすぐ横でこんな原発をつくのはヤバイでしょう。
 事故が起こるかもしれないという不安もさることながら、事故が起こっても公表されないという不信感もある。

 原発が乱立し「原発銀座」ともいわれる若狭湾では、10年以上前の新聞が奇形のハマチやアジが増えてきたようだという漁師の声を紹介している。見えない放射能に風評被害の可能性もある。

 また、海水に流れ込む大量の温水の影響はどうか。
 大間のマグロが美味しいのは寒流と暖流がぶつかる魚の豊富な海域で、マグロが腹一杯食べて泳ぎ回っているからだ。この複雑な潮流に温まった原発の冷却水は影響を与えないのだろうか?
 東京水産大学の水口憲哉助教授が若狭湾沿岸などでブリの漁獲が減少している状況を講演会で報告している。その講演では「原発や廃温水の影響は温度が高いだけにとどまらない。配管内に注入する塩素ガスや摩耗した金気も流れ出る。国の公表資料でも海水に影響があることを認めている」と話している(『南日本新聞』2001年2月21日)。
 原発の関係者は温排水の影響などあるはずないと言うだろう。しかし一連の隠ぺい工作では関西電力や東北電力などで、冷却用海水温度データが不正に改ざんされたことがわかっている。また温排水の環境影響調査についても、改ざんされたデータによって報告されたことも明らかになっている。
 世界初の原発となれば成功をアピールしたくなる。原発関連会社に宿る「隠蔽魂」も燃え上がることだろう。

 最近、大間では脂ののった大型のマグロの漁獲量が減っているとも聞いた。それでも漁師がマグロを追うのは大間ブランドによって、マグロが高値で取引されるからだ。原発の稼働によってマグロの値段が下がるようなことになれば、ギャンブル性の高いマグロ漁を続ける漁師も減ってきかねない。こちらも心配だ。

 2012年3月には運転が開始される予定だから猶予は5年。この間に小社で大ベストセラーを出さなくちゃいかん、と強く感じている。問題は5年以内にベストセラーを出せる確率より、事故や隠蔽の発覚によってマグロの値段が下がる可能性の方が高そうなことだ。(大畑)

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2007年4月16日 (月)

ルポ・普天間飛行場周辺の住民に基地について聞く(下)

122  基地と近隣住宅地との距離があまりにも近いことから「世界一危険な基地」と言われる宜野湾市の普天間飛行場。日米間で2014年までに飛行場を名護市の辺野古沖に移設することが決まっているが、この決定について基地周辺に実際に住んでいる人たちはどんな意見を持つのか。

 しばらく基地を示す金網に面した道を歩くが、すぐに住民とめぐり合うわけではなかった。住宅は密集しているわけでもなく、のどかなのだ。たまに聞える米軍機の離発着の音を除けば。
 周りを歩いてみて基本的なことに気づいたのだが、飛行場は広大だった。2800mの滑走路があるのだから当然といえばそうなのだが、あまりにも広いので施設の移設後をイメージするのが難しい。いったい、移設後の土地は何に使われるのが望ましいのか。

 月刊『記録』の特集記事でインタビューさせていただいた、前参議院議員で去年の沖縄県知事選に敗れた糸数慶子氏は移設後の基地跡の利用について次のように言った。
 現在基地がある土地にはもともと肥沃な土地が多い。基地に土地を貸している形になっている住民は「家賃収入」が入らなくなった後何をしていいか分からないかもしれないが、土地を利用して農業を営むことなどで生計を立てるのは可能。------

121 「家賃収入」とは、現在飛行場がある場所に土地を持っている住民に支払われる土地料のことだ。
 個人宅ではなく、自治体が所有権を持つ土地料が支払われる。また、国からのいくつかの種類の交付金も支払われる。皮肉にも、その収入が自治体や住民を支えている面がある。それらを十分知っているから、話を聞くことができた何人かの住民の心境は複雑だった。

 飛行場から道路一本隔てた場所で商売を営む主婦の談。

※ここから先の記事は…

『あの事件を追いかけて』(本体952円、アストラ刊)にてご確認ください。

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2007年4月15日 (日)

『先日のロシア』 第1回・死亡率バブルもはじけたみたいでなによりです

 例えば、朝一番で見るニュースバラエティ番組。スポーツ新聞の芸能記事を繰っていくコーナーがあったりする。赤枠で囲まれた記事について説明されるわけだが、十中八九、隣の記事のほうが気になってしまうのは私だけではあるまい。注目しろと言われているものに注目したところで、特に面白くないのが人間である。誰も注目しないところをふと覗き見て、ひそやかに笑うことこそ人生の醍醐味であろうと堂々と言いたいがもっとうまみのあることは絶対に存在する。ただ、そう、ちょっと楽しいだけである。小さじほどの窃視願望を満たしてくれるのだ。

 ということで、ここでは近くて遠い国ロシアのニュース記事を紹介してゆく。さらにロシアのニュースサイトの中でも、さくりと軽い記事のみをピックアップしていきたいと思う。翻訳能力が乏しいこともあり、常に最新記事というわけにはいかないがご勘弁いただきたい。翻訳能力が乏しいのならなにも無理にロシアでなくてもよかろうという声も聞こえてきそうだが、ロシア語しかできないのだからしょうがない。本当に穴場ニュースを探るのならばアゼルバイジャンやノルウェーのほうが希少性が高いであろうが、残念ながらアゼルバイジャン語もノルウェー語もできない。本当にすまない。

 最初から話がそれるが、ロシア語漬けになっているとキーボードが正確に打てなくなる。英語では「ピー」と読む「P」であるが、これをロシア語では「エル」(er)と読む。「C」は「カー」(ka)、「X」にいたっては「ハー」(xa)である。それぞれ体感的には「P」は「R」、「C」は「K」、「X」は「H」のように使われると言えば、大体わかっていただけるだろうか。よってロシア語の気分で「ロレックス」と打とうとすると、「ポペックス」とカッコ悪くなってしまう。「リハーサル」は「ピァーサプ」。かわいい。

 そんなこんなで見てました、ロシアのエンタメニュースサイト「News.ru」の雑記事。日付は3月1日とやや旬を過ぎたが、なにやら妙齢の女性が柔軟体操をしているものに目がとまった。下着すらつけていない二、三人の女性が写る写真の下には「フィットネスのニューモード」とある。いわゆる「裸ヨガ」の画像だ。男性陣が素っ裸で行う「ネイキッドヨガ」の映像は米国のサイトで過去に見たことがあるが、女性のものは初めて見た。記事の中にはスライドショーもあり、大変お美しい女性の裸ヨガが何枚となく表示されていく。靴と靴下だけ履いているもの、タオルを肩からかけているもの、砂浜や草原で行っているものと、とってもまじめな映像のようであるがなにかのおふざけなのだろうか。いずれの姿勢も全く伝わってこないのがとても不気味だ。
 しかしニューモードって……

 ちなみに、下がそのニュース記事。ヌーディストたちが後押ししてるみたいです。
 http://newsru.co.il/rest/01mar2007/nude_fitness_103.html

 気を取り直して「Правда」健康面を見る。「Правда」(「プラーブダ」、英語表記「Pravda」)はロシア語の教科書にも出てくるおなじみの新聞で、国際色豊かで明るい記事が多いニュースメディアだ。ちなみに「プラーブダ」の意味は「真実」。同じように人気がある新聞「イズベスチア」の意味は「報知」。乱暴なまでのシンプルさが素敵だ。

 4月4日の健康面、赤ちゃんの画像が添えられた見出しをクリックしてみると、少子化問題についての記事であった。

 昨年の人口動向について、出生率は人口1000人あたり8.5%、死亡率は9.5%と近隣諸国並になり、プーチン大統領は胸をなでおろした、というもの。これは、過去7年の間で最良の結果である。2005年に比べて出生率は1%上昇、死亡率は5%低下したのだ。

 広大な土地を持っているところから見ると意外に思われるかもしれないが、ロシアの人口は日本の約1.1倍、1億4000万人程度に過ぎない。そこからでも住みにくさが見えてしまうのだが、合計特殊出生率は日本より低い1.17を記録している。少子化に頭を抱えるのは昨今の先進国の傾向だが、問題は死亡率のほうだ。ちなみに日本の人口1000人に対する死亡率は、厚生労働省によると現在8.6%。先ほど紹介したロシアの9.5%とあまり変わらないように見えるが、過去のデータをみると、1990年代以降、昨年まではなんと15%という数字を誇っていたのである。そのままのペースでは2025年になると人口の3分の1がいなくなる! という噂があったことは記憶に新しい。

 ロシアではどうしてそんなに人が死ぬのか。死亡原因としては、他の先進国と同じように食習慣からくる血液循環系の病気が最多だが、ある意味ロシアらしくアルコール中毒というのが次に目立つ。「ロシアといえばウォッカ」をそんなに忠実に地で行かなくても。離婚の原因も最多が夫のアル中だそうな。そして自殺率が高い。事態が深刻化しているとされる日本の自殺率は「世界実情データ図録」によると10万人につき24.1人で世界10位とやはり高いが、ロシアは38.7人、リトアニアについで2位である。そしてロシアは事故や殺人で命を落とす者も大変多く、男性の平均寿命は60歳を切ってしまっている。

 そんなロシアが死亡率を5%も低下させたという。「Правда」は主に出生率の上昇を、母親助成金などの福利厚生を充実させた結果と注目して記事にしているが、むしろ死亡率の著しい低下のほうが気になってしまう。もし自殺が減少したということなら、どんなポジティブ精神がロシアを静かに席巻しているのか?
 もしや裸ヨガの影響か? (臼利つくし)

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2007年4月14日 (土)

『吉原 泡の底』 第13回 「今日jも鬼が叫ぶ」

 その日、掃除のときにTさんが言った。
「この部屋お願いしても良いかな、ちょっとやってて」
 そういって僕はある部屋に1人残された。しばらく掃除をしていたら、ドアが静かに開き、僕がそちらを見るとマネジャーだった。
「Tは?」
「違う部屋をやってると思います」
 とマネジャーの目が、一点で止まった。
「なんじゃこりゃ、こんな掃除の仕方、俺は教えてねえぞ」
 見るとヘアリキッドの右と左に置くものが逆だというではないか。
「誰が教えたんじゃい」
 目が血走り、僕にそう責める。
「え、誰ってTさんです、っていうか、Tさんにしかまだ教えてもらっていませんが」
 すると、
「おいTー」
 と店中聞こえる声で騒ぎ始めた。少しすると、腰が抜けたTさんが、驚いた表情で部屋に入ってきた。
「何じゃ、イッセイに掃除教えるんはいいが、てんめぇ適当教えてんじゃねえぞ」
 Tさんは水気を失い、青ざめていた。
「あ、いや、これは」
 間髪入れずに、
「じゃかしい」
 Tさんも1日の始まりでガンガンやられている。これから15時間も仕事をしなければいけないのに、それも、この仕事は毎日動きが違うから、同じ15時間でもまるで先が読めない辛さがある。ガンガンに怒られるTさん、そしてマネジャー、僕は二人の間にあるスケベイスが目にとまった。
 金色をベースに、ラメがちりばめられている。このスケベイスのように、この店が回っているのは、陰ながらTさんのようにがんばるボーイがいて、そして始めて動いているんだ。と、スケベイスを眺めながらそう思った。
「分かったかい、しっかりやれや」
 マネジャーが出ていった。
 Tさんに対し、僕はすいませんとは言わない。何事も無かったかのように振舞うのが1番なのだ。こんなときは謝ると、惨めさが倍になる。相手だって、僕に気を使う。だから、明るく違う話をしてやるのだ。
「うるせえなー」
 Tさんが半泣きしながら僕にそう言ってくる。その顔を見たとき、思わず、そんな強がりいらん。と笑いそうになってしまった。大体、マネジャーの悪口を言ったところで、マネジャーが消えるわけでもないし、問題解決はしない。ならば、与えられた地獄の環境かもしれないが、どう生きやすくするかを考えるほうが生産的だ。
 そうこうしていてようやく全部屋のセッティングと掃除が終わるが、それで終わりならば苦労はしない。今度は、待合室なる部屋の掃除である。
 待合室→来店してくださったお客様が、サービスを受ける前と、後にドリンクなどを飲みながら、テレビをみて待つところの掃除である。待合室は2つ。第1と第2である。第2は小さいから良いが、第1はちと広い。エアコンなどもあるし、新聞も毎日入れ替えである。袋に入れて出すごみも、決して無駄にはしない。ビニールでしばれないまでいれても、ビニールテープでとめる。とにかく備品は無駄にしないのである。
 それくらいのことまで終わると、深夜から早朝まで店を切り盛りしていた、早朝組といわれる人たちも帰る時間である。
 警察に注意し、夜中まで客をたらしこみ、お金を稼ぐのである。
 ヤクザとは、いかに楽して金を多く稼ぐかを極めた集団なんだなあと感じた。その時は皆カタギだったが。それに、そもそもソープ経営はカタギでないと出来ない。組員などでは出来ないのだ。(イッセイ遊児)

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2007年4月13日 (金)

人材バンクも官僚の思いのまま

 本人が望むかどうかは別にして、冷え切っていた中国との関係改善は安倍晋三首相にとって大きなアピールポイントとなっている。「政治家としてのライフワーク」と言い切った拉致問題は動きはなく、従軍慰安婦問題で強気に出れば米国からのバッシングが強まり方向転換&ブッシュホンでの言い訳。もともと、首相になれば支持層を左のウイングに広げていかなければならないだろうとは予想されていた。といってもこんな風な「広げ方」をするとは、誰も思っていなかったことだろう。

 中国の首相としては6年半ぶりとなる温家宝首相の来日も大歓迎ムードに包まれている。さすがにここは勝負どころと首相も踏んだのだろう。来日前には「日中文化・スポーツ交流年」の親善大使・酒井法子さんと福原愛選手に会い、中国との友好ムード拡大に努めていた。
 もっとも酒井さんへの首相の質問は、「酒井さんは中国で人気が高い。前から中国でコンサートをしているのですか」と何とも締まらないものだったが……。
 まあ、まずはめでたい。

 ただし相変わらず側近は思い通り動かないようだ。
 4月4日には東シナ海のガス油田について「向こうの理屈としては、取るのが当たり前。泥棒に入って家族が黙っていたら持って行っちゃう」と、中川昭一政調会長が中国を泥棒呼ばわり。当人は「言うべきことは言っていかなければ」とも話していたようなので、来日前に是非とも「言っておかなければ」ならないと思ったのだろう。
 靖国参拝をするかどうかは明言を避ける一方で年内の訪中を検討すると中国テレビ局のインタビューに答えているのだから、首相も中国への強硬論は封印中。「中川、空気を読め」と首相も言いたいはずだ。

 我を殺した政治運営はまだうまくいくが、張り切って頑張っているときは空回りするのは安倍首相の特長なのだろう。
 新人材バンクなどはその典型。談合などの温床ともなる省庁の息がかかった民間企業や財団法人への天下りを規制しようと考え出された再就職斡旋組織の新設だが、自民党からは大反対の嵐。
 それでも徹底抗戦の姿勢を首相は貫き、とりあえずの争点となっていた「バンク職員に出身官庁職員のあっせんをさせない」「非営利法人もあっせん対象に含める」の2点は政府案通りとなったが、抜け道はバッチリつくられた。「(バンク)職員は人事当局と必要に応じて協力する」という文言が入ったのだ。結局、将来的にバンクが人事当局の言うとおり動くのがほぼ決定したわけだ。
 首相のメンツだけは保たれたと。

 4月15日には緊急時に連絡が取れなくなるという理由で使っていなかった国内線搭乗も始まった。民間機だと携帯の電源を切る必要があるため、危機管理上問題だとして、首相に就任してから飛行機での移動を控えていたそうだ。
 ただし現在でも機内で連絡が取れないという問題が解消したわけではない。『毎日新聞』(4月11日)が官邸の声として報じている通り「連絡が取れないのは短時間だし、東京には官房長官が残っているのだから、それほど気にすることはないのでは」ってこと。
 官房長官いれば対処できるでしょ、別に安倍いなくても。
 そんな空気の中で仕事をこなしている首相には同情するが、強気に出るたびに失敗する首相の行動を追っていると、首相に意見を求めたくなくなる気持ちはよくわかる。
 これでは官僚と闘うなんてできるはずもない。
 今週も日本のお先真っ暗という気分になった「安倍ウオッチ」でした……。(大畑)

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2007年4月12日 (木)

The Western Music ・ Evanescence-The Fallen(前編)

香港でもっぱら視聴していたMTVasia(キー局はシンガポール)で見たのは何年前のことだろうか。
かなり豊満なボディのAmy Lee(Vo.)が、スリップワンピースを着て"Bring me to life"と歌う姿に目が釘付けになった。
ビルの外壁を登りながら「生き返らせてください~」(直訳)と歌う姿には生命のはかなさをみじんも感じさせないほどのパワーに満ちあふれていたように感じたのは、きっと私だけではないだろう。
たぶんそれは、体格の問題ではなく声のせいなのだろうが、あまりの力強い声に一瞬でファンになってしまったのはいうまでもない。彼女の声は本当に、ギタージャカジャカ、ドラムドンドンによく合う声なのだ。
声が魅力的だという話はおいておくとして、冒頭の曲が入ったEvnesceneのデビューアルバム“Fallen”(2003年リリース)にはそのほかに“Going Under”(Jamiroquaiの曲にも似たような名前があったような……)や“Everybody's Fool”“My Immortal”など、ロックやバラードてんこ盛り。
“My Immortal”のビデオクリップはあまりお金がかかってなさそうな仕上がりだが、美しい。曲もピアノの旋律が美しく、Amyの高音に合って良い。
世界で1500万枚売ったそうだが、それが納得できるアルバムであるのが間違いない。
アルバムジャケットも、真夜中に月夜に照らされるとかなりおどろおどろしいし、本当によくできあがっている。ジャケット写真を載せたいが、軽い心霊写真になっているので自己規制させてもらう。
昨年9月にニューアルバムがリリースされたが、レビューはまた次回書くことにする。(奥津裕美)

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2007年4月11日 (水)

加護亜依さんはそんなに悪い子なのか

タレントの加護亜依さんがおおよそ18歳から19歳の時期、2回にわたって喫煙をしていた光景が週刊誌に報じられ、1度目で謹慎、2度目で所属事務所からの契約解除となった。

1900年成立の未成年者喫煙禁止法は第一条で未成年者の喫煙を禁じる。だから法律違反ではある。だが同法は喫煙した未成年本人の罰を定めていない。他の刑法または特別刑法にも見当たらない。すると刑罰を科すと定められていないとの一点で加護さんは「犯罪」行為をなしていない。

周知のように少年法61条は公訴を提起された少年の氏名など本人であることを推知することができるような記事又は写真の報道を禁じている。実際には公訴提起の恐れが出た時点でメディアは同法にしたがっている。だが未成年者喫煙禁止法の定めにより加護さんに公訴提起の可能性はまったくない。だから報じてもいい……そういうことなのか。
だが少年法は非行のある少年の保護を目的の1つとする。未成年の喫煙は「非行」なのか。おそらく最も近い概念は「虞犯」であろうが、そうなのか。それでいいのか。納得いく論説を私は知らない。

いずれにせよ加護さんが受けた社会的制裁は逮捕を実名で報じられるのと同等かそれ以上である。だとしたら彼女がした行為が、そうされても仕方ないほどでなければなるまい。喫煙とはそれほど悪いのか。

まず報道している側に問いたい。あなた方は加護さんのような未成年の有名人が喫煙している光景を黙認した経験が一度もないのか。後輩に囲まれている中で一服している有名高校野球選手、テレビ局の控え室でバンバン吸っている加護さんがかつて属していたアイドルユニットに似た存在を知らないとはいわせない。
加護さんは不特定多数が目撃できるような場所で吸っていたから撮られた。その点でうかつである。ただあえて「犯意」という言葉を用いるならば、うかつをもって犯意が高いとはいえない。むしろ薄いとみなすのが適当であろう。
要するにマスコミ関係者のテリトリーで行われている喫煙を、それゆえに報じず、そうでない場所だったから報じるという構図の、特に前段はおかしいといいたいのである。

次に未成年者の喫煙をことさら個人を特定して叩く意味である。道路交通法は七条で道路を通行する歩行者が信号機の表示する信号などに従う義務を科し、怠った場合は百二十一条で「二万円以下の罰金又は科料に処す」。罰則が付されている分だけ「赤信号無視」は未成年者喫煙よりも犯罪に近い。
では有名人が赤信号を渡っていたら「激写」されて該当者が謹慎だの事務所との契約解除などへ追い込まれるか。おそらく「激写」そのものにバリューがないと報道側は判断して掲載しないだろう。「その程度で悪しざまに報じても価値がない」と。もちろん報道の価値は罰の重さに比例しなくてもいい。賄賂罪の最高刑は窃盗罪のそれよりも軽いが、万引きよりもずっと大きな紙誌面が割かれる。その理由は罰の軽重以上に社会的制裁を受けるに価するからだ。
だったら加護さんは赤信号無視よりずっと重い社会的制裁を受けるべきだとなる。それが未成年者の喫煙だ。ではなぜそうなのか。喫煙に対する社会の目が厳しくなっている背景があるのは間違いない。だとすれば未成年者喫煙は信号無視よりいけない理由があるはずだ。それは何だ。私にはわからない。

赤信号無視は皆がやっているからニュース性がないが未成年者喫煙は珍しいからという点からバリューを探るのもおかしい。報道している側、それを提供されている側で未成年で喫煙した経験がないという人がどれほどいるか知りたいものだ。私は意外と法令遵守の気持ちが強く、大学に入るまで喫煙はしなかった。でも大学に入ってからは吸った。加護さんと同じ時分である。そんな人は多数いるに違いない。
高校のトイレ(「大」の方)でモウモウと煙が上がっていたので生徒指導の教師が有無をいわせず強行突破したら便器にしゃがんで一服中の同僚(教師)がいた……なんて笑い話はどこにでもあった。成人式に禁煙を誓った剛の者も珍しくなかった。私は未成年の喫煙を推奨する気なぞ毛頭ない。一方で以上のような経緯から単に喫煙していたという理由で未成年の少女を叩く風潮にも強い違和感を感じる。

国籍法は十四条で「外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない」と定めるも、実際には22歳以降も外国籍を持ち続ける日本国籍の日本人が多数いる。それを摘発したという事実を私は把握していない。それどころか誰もがペルー国籍と信じて疑わなかったフジモリ元大統領が実は日本国籍を持っていたとしてわが国は保護さえした。加護さんへの社会的制裁は明らかに行き過ぎである。

もっとも、喫煙者として……というより近年の禁煙ファシズムに対抗して喫煙を続けている私としては「加護さん。後1年我慢できなかったの?」という気もある。20歳の誕生日に記者会見して「これで堂々と吸えます」と一服したら日本中にうっ屈している愛煙家を一挙に引き寄せるアイドルになれたのにね。(編集長)

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2007年4月10日 (火)

都知事麻雀――プンリー浅野感想戦――

●都知事麻雀の結果
石原慎太郎   5万3000点  +43
浅野史郎(私) 3万2000点   +2
吉田万三    1万2000点  -18
黒川紀章      3000点  -27

 卓から立ち上がる私に追いすがり記者が質問した。
「敗因は何ですか?」
 しばらくの沈黙の後、私はやっと言葉を絞り出した。
「石原麻雀の実害を被っている人は限られており、一般化しなかった」
 後からは「うわー、ぼくは全然ダメじゃないか」と叫ぶ黒川の声が聞こえてきた。私を「フリーズ、フリーズ」とからかい続けた変人だ。なぜか最後までトップだと思っていたらしい。あんな男に本気で怒った自分が恥ずかしくなった。旧厚生省のキャリアとして課長まで上り詰めた私が……。

 しかし宮城県知事で名君と誉れ高かった私がどうして負けたんだ。少なくとも東2局までは計画通りだったはずだ。

――東2局 6巡目――
 石原攻撃の口火を切ったのは組織頼みの吉田だった。
「庶民の暮らしが大変な時期でしょ。こんなときに大車輪を狙うなんて、大型の役満事業によって荒れた場を作るのが本音じゃないのか」
 萬子、索子の中張牌(チュウチャンパイ)を序盤から切り捨てる石原にかけた言葉だった。
「大車輪をするには配稗が必要。無理しなさんなというのが私の忠告だ」
 黒川も続く。だが、石原は悪びれることなく五萬を切って捨てた。
「人間、国家は夢がないと生きていけない。大車輪はパトス。これはエロチシズムなんです」
 あくまでも大車輪を目指すつもりらしい。
 しかし言ってることは、すでに意味不明。息子とコンビ打ちをして息子に勝たせた疑惑。雀荘で安いタバコを禁止する通称「ディーゼル規制」ぐらいしかない過去の実績。
 私が負けるはずはなかった。
 石原の大車輪計画に対する現実的な提案をぶちあげる。
「大車輪をストップというの、ゴーというのも早い。基本に帰ってよく考えよう!」
 大車輪への対抗を示すために三筒を捨てながら、すべてに反対するわけではないところを見せたつもりだった。計画を白紙撤回することに元官僚として納得できない部分もあった。
 もしかすると、この言動が私のツモの勢いをそいだのかもしれない。

 しかしここから2巡後、私は二五八萬三面待ち、タンヤオ、ドラ1をテンパイ。
「弱者に光を当て、ガラス張りの麻雀にする。徹底した情報公開を進めます」と宣言し、4萬を切ってオープンリーチ。
 この攻撃には雀荘の見物客からも感嘆の声が上がったんだ。しかも3巡目には、きっちり積もってマンガン。
「あんまり江戸っ子向き、東京っ子向きの手じゃないねーという感じがしますね」なんて石原は負け惜しみを言っていたが、この東2局まで私は石原を追い込んでいたはずだ。
 
 いや、しかし……。もしかすると東1局から、私の麻雀はうまくいってなかったのか。
「手はフリーズしたまま。何も変わりません」とブラフで手を進め、「多くの稗の声が、卓をドンドン叩く音が聞こえてきた」とリーチ。5巡後にリーチ東の2600を黒川に直撃。

 市民の声を盛り上げるブラフが無党派のツモの流れを殺したか……。

 本当に流れが変わったと感じたのは南場に入ってからだった。とにかく石原が謝り始めた。息子とのコンビ打ちについても「説明不足だったと反省している」と謝罪。
 また批判された大車輪狙いについても「最重要課題ではない」と争点を潰してきた。自民党に土下座したのが効いたのか、見物客からの通し、いわゆる「組織票」によって放銃をなくす。
 私も一度は断った「組織」に応援を頼んだが、すでに南3局。間に合わなかった。その南3局も石原の白をポンしようとして認められなかったとして、黒川が猛然と抗議。
「この麻雀は不公平! 8時まで歌い続ける」
 そう言い放ち「銀恋」を歌い続ける暴挙に出た。こんな異常な場で、反撃などできるはずもない。結局、この局も石原がツモって終わった。

「大車輪狙いの何を見直せっていうの。あなたは何を見直したいんだー!」
 勝負に勝った石原は、もう元の「失言」野郎に戻っている。勝利者インタビューで記者を怒鳴りつける声が聞こえてきた。

 私の争点が見えにくかったそうだ。やはりオープンリーチを増やすべきだったか……。(大畑)

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2007年4月 9日 (月)

ミニコミ誌・草野球場を作った男の視線/『球場巡礼』

Kyu_1  私が通っていた福井県の中学校のすぐ傍には県営球場があって、年に1度あるかないかのペースでプロ野球の試合が行われていた。今でも多分行われていると思う。
 あまりにも球場と学校の距離が近かったためか、プロ野球が来た日は学校側が周辺の混雑ぶりを予想して部活動をすべて休みにした。
 外野応援席は芝生。典型的な地方野球場なのだが、それでも、たまにしか行われないプロの試合見たさに押しかけた満員に近い観客、大旗やラッパ楽団を従えたチーム専属の応援団、生ビールの売り子、夜を昼に変えてしまうナイター照明に包まれた球場は、なんというか、田舎町に突如出現した特別な空間だった。

 私が観た試合は中日×阪神で、まだ落合博満が中日の4番打者をはっていた。何人かの友達と待ち合わせて勇躍駆けつけ、「ここに陣取ろう!」と外野の比較的空いていた場所に居座ったが、その後からやって来た応援団に回りを陣取られ、試合の後は金管楽器でつんざかれた耳がその日のうちは聞こえが悪かった。
 試合の内容はいま思い出せないのだが、テレビ中継のマイクでは拾われることのない観客席からのド汚いヤジにビビッたことは鮮明に覚えている。
 ウィキペディアによると、あの世界のバント王・川相昌弘がプロ初犠打を記録したのは福井県営球場である。
 今回紹介させてもらうのは『球場巡礼』。
 著者の堀治喜氏が全国の球場を文字通り巡り歩き、そこで見たものや印象を文章と写真で記したミニコミである。手にした第2集で紹介されているのは広島市民球場、鴨池球場、ナゴヤ球場である。
 広島市民球場に関する記事では、近年の球場建て替え問題や、資料をもとにした1957年当時の球場の成り立ちの様子などが書かれてある。

『球場巡礼』を発行している堀さんにお話を聞いた。
 著書に『カープ猛者列伝』(ブックハウス)などがある広島県在住の堀さんは、10年ほど前に、なんと仲間内で草野球の球場を作っている。段々畑を整備して作り上げられ、本格的な天然芝も設けられた球場は「ドリームフィールド」と名付けられた。
 もともと野球好きだったがそれが高じて球場まで作りあげた。もしかして野球好きの最終到達地点はプレーすることを超えた「球場作り」なのかもしれない(?)。もしくはそれが赤ヘルの心意気なのか。
 堀さんは言う。
「野球っていうと、選手のプレーが注目されるでしょ。でも、球場を作ってたら、球場そのものがなにか特別なものに見えてきたんですよ」。
 球場作りから、堀さんの球場に対する視線は変わった。なくなってしまうことが決まった球場があると聞けばその野球場に駆けつけるようになった。『球場巡礼』の始まりである。

 野球場が好きだからこそ、「こうあってほしい」という理想はある。こだわりは芝である。
「地元の広島市民球場は、好きな球場のひとつではあるけれど、いちばん好きな球場ではないんです。名前を挙げるとすれば、御存知ないとは思いますが、熊本県の藤崎台県営球場ですよ。芝生がとにかくきれいなんです。芝生は手入れするのが難しいんです。『ドリームフィールド』を作ってから、きれいに手入れされている球場を見ると、ああ、ここは熱心に手入れされているんだなというのが分かるようになりましたよ。あと、ナゴヤ球場(97年のナゴヤドーム完成まで中日ドラゴンズの本拠地だった球場:宮崎注)です。あの球場も芝生がすばらしかった。後で聞いた話なんですが、ナゴヤ球場のグラウンドキーパーさんは、手入れの腕が日本一だと言われているそうです」。
 深い。そんな視点で球場を見たことがなかった私には感心しきりの話である。
 
 仲間と作り上げた「ドリームフィールド」は、去年、事実上「閉鎖」となった。堀さんが「実は一番好きな球場」と自身を持つ球場だが、「時代の流れもありまして……」と詳細は語られることはなかった。
 時代は変わる。天然芝から人工芝へ。近年は球場にもネーミングライツが持ち込まれることが一般的になった。スポーツニュースでは企業名を冠した「ヤフーBBドーム」や「グッドウィルドーム」と呼ばれ、その球場がどこにあるのかも分からなくなってしまった。

 今年もプロ野球が開幕している。今シーズンは天然芝の球場に足を運ぼう。

(■お問い合わせ 文工舎)(宮崎)

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2007年4月 8日 (日)

閣下のファシズムか、凡夫の民主主義か

 都知事選がいよいよ明日となった。各新聞社の調査によると、石原慎太郎が頭一つ抜けた形になっており、それに浅野史郎、黒川紀章と吉田万三が続くという構図だ。
 「また」である。
 石原がこれほどまでに人気を得ているということが、私にとって、数年来の大いなる謎であった。私が、石原慎太郎の連想ゲームをすると、以下のおぞましい単語が次々と思い浮かぶ。
「人種差別主義者」「国粋主義者」「右翼」「ポピュリスト」「歴史修正主義者」「性差別主義者」
 別にとっぴな連想だとも思わない。世界最大規模のネット辞典であるWikipedia(http://en.wikipedia.org/) の英語版で、石原慎太郎の項目を見れば、すくでも飛び出してくる単語である。日本以外から見れば石原など、誇大妄想のファシスト以外の何者でもない。しかし、なぜ彼が二度も再選され、三期目にも当選しかけているのだろうか。摩訶不思議としか言いようがない。
 なぜ私が、一介のジャーナリストが、ここまで言うかというと、石原に関しては都知事というより、人間として問題があるのでは、と疑っているからだ。ニュースではすでにおなじみだが、石原の妄言は世界水準に達していると私はにらんでいる。イラク戦争が始まってまもない2003年に『ブッシュ妄言録』(ぺんぎん書房、フガフガ・ラボ著、村井理子訳)という本が書店で随分と売れていたが、私も機会を見て「イシハラ妄言録」という本を出版しようと密かに計画している。
 石原の妄言を(私はオゲレツなものをあまり紙面に載せたくないのだが)少し紹介しようと思う。一つ目は、先日の柳沢伯夫厚生労働大臣と非常に似通っているので、多少インパクトは低いが、妄言の名にふさわしい一言である。

「これは僕がいっているんじゃなくて、松井孝典(東大教授)がいっているんだけど、“文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババア”なんだそうだ。“女性が生殖能力を失っても生きてるってのは、無駄で罪です”って。男は80、90歳でも生殖能力があるけれど、女は閉経してしまったら子供を産む力はない。そんな人間が、きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害だって・・・・。なるほどとは思うけど、政治家としてはいえないわね(笑い)」(主婦と生活社 『週刊女性』 2001年11月6日号)
 
 女性は、閉経を迎えて以後、生きるのは罪であると石原はのたまう。なかなかエキセントリックではあるが、このようなことを平然と言ってのける男に少子高齢化社会の舵取りを任せるのは、不安極まりない。私的感想ではあるが、これを読んで尚石原に投票する女性は、よっぽどのマゾヒストか、心が太平洋よりも広い人間であると思う。
 多少長くなるが、もう一つ紹介しよう。

「ただね、人を殺してみたかったから殺したとか、田舎で子供を監禁するっていうのはただの異常者です。異常者っていうのはどんな社会にでも必ずいます。異常者ほど遅れた社会では淘汰されてしまう。動物でもホモっているんだよ。オス同士しか好きになれない、メス同士とか、そういうのは必ず群れからキックアップされて死んじゃう。日本も先進国になって、欧米のデモクラシーをそのままとりいれると『異常な人間だけど、人格はある』ということで、裁くわけにはいかないから監禁しましょうって。3年なら3年ででてくると、また同じ犯罪をするわけ。これはきちっと罰しなきゃいけない。当人のためにも社会のためにも、っていうのがアジアのデモクラシー。 精神異常者にも人格があるって言ったらきりがない話だから」(宝島社 『スマート』2000年7月24号)

 石原慎太郎が、都知事としてどうのこうのの前に、人間としていかがなものか、と私が言いたい理由が分かっていただけると思う。この発言や、石原の政策を通して、見え隠れするものは、石原の中に時代錯誤な社会ダーウィニズム論が存在しているということだ。
 社会ダーウィニズム論というのは、人間の社会も進化の過程同様に、適者生存、優勢劣敗の法則にしたがい、資本主義社会においては富める者のみ生き残り、弱者は消えいくという思想だ。平たく言えば、同性愛者や精神病者、派遣社員やフリーター(石原の性格からして女性も含まれる)などの社会的に弱い立場の人は全て切り捨てて、社会的に立場の強いものだけを優遇するということになる。ちなみに、社会ダーウィニズム論は帝国列強の植民地支配を正当化する思想の根幹であった。
 社会学をかじってきた私にすれば、社会ダーウィニズム論など古典中の古典で、すでに歴史上のカビの生えた思想に過ぎない。しかし、石原の政策は明らかな弱者切捨て、強者優遇の倒錯的社会ダーウィニズム論の焼き直しでしかない。事実、八年間の石原都政において、精神病者に対する援助は減らされ、非正規雇用社の数は天井知らずに上がっている。富める者はますます富み、貧しき者は困窮にあえいでいる。畢竟、格差社会である。
 しかし、この社会ダーウィニズム論にのっとった弱者切捨ての政治は石原が元祖ではない。じつは、石原の手法は、彼の大嫌いなアメリカの専売特許であった。アメリカはその派手な外見とは異なり、すさまじい格差社会である。国民の六人に一人が貧困層であり(OECD調べ)、国民のたった1%の人々が国の資産の半分を牛耳っている。数十万人規模のホームレスを抱え、国民健康保険がないため、プライベートの健康保険に加入できない人は、医療さえうけられない。派遣社員の数だって半端ではない。日本では、最近派遣社員を短く「ハケン」と言うが、これもアメリカ式の流れである。派遣社員は英語でtemporary workerであるが、最近は縮めてtempと呼ばれている。石原流の政治が続くなら、日本もいずれアメリカの様な超格差社会になるのかもしれない。
 問題は彼の後釜であるが、私は浅野史郎を押す。「なんだ」とため息をつく前に、少し聞いてほしい。私が彼を押すのは、彼が福祉の専門家だからである。
 実は、福祉とは社会ダーウィニズムと対極をなす思想である。平たく言えば、貧乏な人も、金持ちな人も、助け合って生きていこう、という考えである。社会ダーウィニズムはひたすらに富める者のみを優先的に保護するが、福祉は全ての人を保護する。アメリカとスウェーデンがよく比較されるが、スウェーデンは福祉の国である。医療は全て無料、学校だって大学も含め、全て無料。チャンスは全ての人に平等に与えられ、社会的に弱い人でも公正な援助を受け、自己実現が可能な社会である。低収入の人が、手術代を払えないばかりに医療を受けられないこともなければ、自分の子供のためにうん千万という学費を払わなくてもいいのだ。
 確かに、浅野史郎は地味な人間かもしれない。凡夫かもしれない。石原慎太郎みたいに装甲車で都内を走り回り、眼を血走らせて大演説はしないかもしれない。オリンピックを東京で開きたいがために、都庁や東京タワーを税金を使って、五色のライトでデコレートしないかもしれない。けれど、根本に返れば、政治家の役目とは何であろうか。
 市民から集めた税金を公平に分配し、それを明示すること。これが大命題である。
 石原の言葉は、強く、格好よく響くかもしれない。しかし、それは社会ダーウィニズムの向かう適者生存・優勢劣敗の不毛な世界である。
 投票所に行く前に、少し考えて頂きたい。(白川徹)

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2007年4月 7日 (土)

『吉原 泡の園』 連載第12回 「花魁が忘れていったパンティ」

■ボーイの朝の仕事は掃除である。店の隅々まで回って日々の掃除の掃除をこなす。さて、サービス料金6万5000円の高級ソープ店の内部・設備はどのようなものなのか。

      *      *      *

 備品庫から各部屋を回り、減ったものを補充する。かといって、好きなだけアバウトにやればいいわけでもない。
 1階には1,2号室と部屋がある。
 2階には3,5,6,7,8,10とあり、4と9は縁起が悪いからない。
各部屋にはリモコンもそれぞれ2個ずつ入れるのだが、ひとつはエアコンのリモコン、もう一つはライトのリモコンだ。
 例えばお客と抱き合いながらも、それとなしにライトが徐々に暗くなっていく。そんなことが出来る。リモコンを天井にむけ、スイッチで↑、↓を押すと、明るくなったり、暗くなったりする。今度ソープに行く機会があれば、高級店ではそんな細かい細工もあるし、それを毎朝点検しているボーイもいるので、是非試しに暗くしたり明るくしたりとやってみていただきたい。
 暗くしているのに、明るくしたりすると、女の子が恥ずかしがったりする。それで、
「いやーん」
 などとひと盛り上がり出来たりもする。
3階部分にある在庫に、ボディソープ、ローション、シャンプーも営業用サイズで確保してあり、毎朝それらも各部屋のボトルを持ってきては入れるのである。

 2階にはお客さん専用のトイレと、女の子専用のトイレがある。ボーイがそれぞれのトイレにペーパーを置くが、女の子が勝手にお客さん用のトイレからペーパーをとり、女の子の専用のほうに勝手に持っていってしまうケースもあり、そこで怒られるのはボーイなのである。
 部屋は1番広い部屋が1号室で、狭いのが5号室だが、広さの違いはあるものの、基本的には備品や構造は同じである。
 部屋半分が風呂、半分がラブホテル的要素を含んでいる。風呂にはきちんとミニサウナというべき、スチーム機もある。
 ソープランドというのは、さまざまなお風呂道具や、タオル、シーツなどがある部屋と、想像するかもしれないが、一応保健所視察の基準で、ソープランドの部屋にあるとされているのは、きちんと使用できるスチーム機のみである。
 が、ソープの雑誌一つとってみても、部屋の中の写真などには、ベッドにはふわふわの布団、風呂にはスケベイス。などが写っている。7不思議である。
 とにかく半分が風呂である。風呂だから、ボディソープや簡易スポンジ、空気マットなどがある。何故風呂に空気マットがあるのか。ベッドに行くまでにそれがベッドになる場合もあるし、サービスの流れの1つにマットプレイというものもふくまれている。
 そして換気扇である。これが結構重要で、湯気をすばやく逃がしてくれる。たまに調子が悪いと、音はうるさいし、雰囲気も台無しになる。
 ラブホテルの要素を含むベッドの部屋と、風呂の部屋は、特別仕切りはない。ただ、濡れた体では仕方が無いので、ベッド側にはタオルを2重にひいて足の水を吸い取り、そこで体をふいてもらうのである。
 もちろん、拭いている最中も、何かしらのサービスはある。それが高級店なのだ。
 ベッドの前には、よく女の子が嫁入り道具などで持っていきそうな鏡セット、そこにドライヤー、ヘアリキッド、耳かき、ティッシュなどがある。銭湯などに置いてある服入れの籠もある。本棚のような棚には、白シーツと枕カバー、布団の下のシーツが常時完備してある。朝、掃除などをしていると、女の子の超ハイレグパンティなどの忘れ物がある。忙しいのでそのままポッケにしまいこみ、1階に行ったときなど、マネジャーに、
「忘れ物がありました」
などとポッケからパンティを取り出すと、
「てめぇそんなもん持ち歩くんじゃねーや」
 とどやされる。かといって手に持って歩くのはよけい危ない人のように思えるのだが。
 3階には備品庫のほかに、花魁皆で使える待合室がある。6畳位だろうか、テレビ、コタツ、レディースコミック、お茶、ロッカー、女の子の備品などがある。ここでお客さんのついていない子や、暇なときは、女の子が飯を食ったり、携帯をいじっていたりする。
 掃除の時、一応ここもチェックする。ここにもパンティ、ブラジャーがあったりする。ハイヒールもたくさん置かれ、ピンクのドレスなども多くある。(イッセイ遊児)

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2007年4月 6日 (金)

「足元がおぼつかない首相」に哀れみを感じてしまった

 4月2日発売の『週刊現代』では10年前に安倍晋三首相が語った以下のような発言がトップで取り上げられた。
 「(従軍慰安婦には)明らかに嘘をついている人たちがかなり多くいるわけです」
 「実態は韓国にはキーセン・ハウスがあって、そういうことをたくさんの人たちが日常どんどんやっているわけですね。ですから、それはとんでもない行為ではなくて、かなり生活の中に溶け込んでいるのではないかとすら私はおもっているんです」
 
 もともとの彼の主張を考えれば驚くべき発言とはいえないかもしれないが、従軍慰安婦問題でどうにか海外からの批判をかわそうとしているだけに、首相は頭を抱えたかもしれない。
 世界各国に売春婦はいる。日本にだって合法的な売春地域「赤線」が存在していたし、現在でも吉原などのソープランドでは本番行為が行われている。だからといって「かなり生活の中に溶け込んでいる」と他国の政治家に言われたら怒る人も多かろう。

 この従軍慰安婦問題については首相なりの歴史観がある。そのため米国議会に従軍慰安婦動員に対する非難決議案が提出されたと報じられた当初は、「(米下院で採決されても)我々が謝罪するということはない」と強気の発言に終始していた。ところが3日の夜にはわざわざブッシュ大統領に電話して「これまでの政府の立場を踏襲し、辛酸をなめられた元慰安婦の方々に心から同情するとともに、極めて苦しい状況におかれたことについておわびを表明している」と語ったようだ。
 NYタイムズやワシントンポストなどで、かなり辛辣に首相が批判されていることを考えると火消しに走り回るしかない。米下院の決議案の共同提案者もどんどん増えているし……。
 冒頭で紹介した発言のように「かなり生活の中に溶け込んでいるのではないかとすら私はおもっているんです」とは口が裂けても言えない状況だ。一部で「対米従属」となじられている岸信介元首相の「DNA」が発現したようだ。遺伝恐るべし。

 内政でも問題は多い。特に党内基盤の脆弱さには頭を痛めているようだ。
 2日には高村正彦元外相と会談。16人の派閥を率いる元外相から「今後の政局、政策運営について、全面的に協力していく」という言葉をもらったらしい。
 読売新聞(07年4月3日)によれば、「首相が高村氏との会談内容をすぐに記者団に明かしたのも、この時期の協力表明がうれしかったため」ということだ。
 クラスをまとめられない委員長に「おれが味方してやるよ」という少人数グループのリーダーが現れたと。大喜びした委員長は「おれの仲間ができたんだぜ」と自慢したわけですな。それを見ていた噂好きの生徒が「なんか仲間ができてスッゴイ喜んでいるよね、委員長」と解説したと。
 そんな感じでしょうか。

 うーん、党内の安倍政権批判がけっこう効いているのね。支持率も一向に上がらないし。
 ついでに3月26日には首相公邸内で足をぶつけて右足をねんざしている。28日には記者団に「大丈夫ですね。皆さんもよくくじくんじゃないの?」(毎日新聞3月29日)と復活をアピールしたようだ。
 って、「よくくじく」ものなのか50代ともなると! 違うだろ!?

 文字通り「足元がおぼつかない首相」の活躍を今週も追ってみたが、何となく気の毒な存在に思えてしまうのは私だけか?(大畑)

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2007年4月 5日 (木)

ホームレス取材のこぼれ話

 自慢じゃないが酒にはめっぽう弱い。ところがこの手の取材で酒を勧められたら、まず断れない。貴重なお酒を分けてくれるのだから、ありがたく、そして豪快に、ただし彼らの酒を減らし過ぎないように飲むのが礼儀である。

 昨年の秋にホームレスと飲んだ酒は、なんとカクテルだった。
「おー、取材なら飲んでいきな」と笑顔で迎えてくれた彼は、テントから1.5リットルの焼酎ボトル、そしてテント脇に積み上げてあった食器類から湯飲みを2つ取り出した。もちろん湯飲みがいつ洗われたかなんて聞けるはずもない。湯飲みの底が黒いのは茶渋だと思うことにして、とにかく乾杯する。
「あ、そうだ、グレープフルーツがあるぞ。それで割るか」。焼酎を口に含んだ途端、彼が言った。焼酎を湯飲み1杯飲んだら、私の肝機能では間違いなく倒れてしまう。アルコールが薄まるなら、水でもグレープフルーツでも大歓迎だった。二つ返事で答えると、河川敷に転がっていた青いリュックから2つのグレープフルーツを取り出し、例の食器の山から少し錆びた包丁を抜き出してきた。
「米国の学生は、カネがないからウォッカをグレープフルーツで割るんだよ」と言いながら、半分に割ったグレープフルーツを思いっきり絞る。真っ黒い手を伝わり、果汁は湯飲みに溢れるほど注がれていく。
「塩を付ければ、ソルティードッグだろ」と、彼は豪快に笑った。
 よく飲み、よく話す人だった。米国に留学した話、大学の広告研究会で大儲けした話、そして大学時代の友人がいかに立派になったのか――。2時間ほど話し続けただろうか。
 酒の肴につまんでいた鳥のささみを、欠けた歯列のすき間から飛ばしつつ、陽気にまくし立てる。酔いが回るまでは、その白い弾丸を私も避けていたのだが、1時間もたつころには、さすがにどうでもよくなっていた。
「もっと飲んでけよ。暇なんだろ」と言われたとき、私は取材を諦めていた。彼の話には整合性がない。どこかに、あるいは全部に大きなウソが交じっている。これまでの取材経験がそう告げていた。
「編集部に帰らなくちゃいけないので、これで失礼しますよ」と言って立ち上がると、「おー、これからオレも女がくるからな」と彼も立ち上がり、川へと歩いて行った。
 夕日を映した川面に向けて、彼の小便がキレイに放物線を描く。いつも独りで飲んでいるんだろうな。ふとそんな思いがかすめた。彼の背中には、先ほどまでの陽気さが消えている。人との会話に飢えていた反動が、あの陽気さを生みだしていたのだろうか。
 コンクリートで固められた護岸を四つん這いで登り切り、金網を乗り越えたところで私はダウンした。街灯の傍らに座り込み、河川の夕日を見たところまでは覚えているのだが。
 1時間ほどのささやかな睡眠は、無機質な携帯電話の音で破られた。
「今、何してんだ」
 大学時代の友人からだった。
「川で夕日を見ながら、塩抜きのソルティードッグを飲んで、うとうとしていた」
「本当にお前の商売は気楽だな。羨ましいよ」
 確かに返す言葉もなかった。私の意識はホームレスと一般人のどちらに近いだろう。取材中、よくそんなことを考える。言うまでもなく、私はホームレスに近い。大学時代の友人より、ホームレスの話に共感を覚えることも多い。数十年後の私はどうなっているだろう。(大畑)(『記録』01年2月号掲載記事)

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2007年4月 4日 (水)

「人殺しの練習」発言は問題か?

 あー、すみません。私、すっかり曜日を間違えておりました。で、昨日遅ればせながら更新しようと思ったらメンテナンス中でした。
 読者の皆様、申し訳ございません。
 というわけで1日遅れながら更新させていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。

 最近ちょっと気になっているニュースが、上田清司埼玉県知事の発言である。
「自衛官の人たちは大変だ。分かりやすく言えば平和を守るために人殺しの練習をしている。国民の命、財産を守るためだから偉いと褒めたたえなければいけない」
 入庁式の式での発言らしいが、まずどこが問題発言なのだろうか?
 「人殺しの練習をしている」か「偉いと褒めたたえなければいけない」か??
 
 世界でもトップクラスの軍事力を誇る自衛隊は軍隊である。軍隊である以上「人殺しの練習」をせざるを得ない。災害救助の訓練だけで軍事訓練をしていないというなら、さらに大きな問題だろう。

 
 湾岸戦争あたりからだろうか「誤爆」という言葉がしきりに使われるようになった。正しい的に命中せず、民間施設などを間違って爆破してしまったときに使われる。これはミサイルなど命中精度が上がったことで生まれた言葉だろうが、報道に便利な単語でもある。空からステルス機がそっと近づき、狙ったポイントだけを攻撃する。スマートなクリーンアップ。これこそ米国の戦争継続に必要なイメージだった。だから不必要な空爆は「誤爆」とカテゴライズされた。まるでほとんどの爆弾が正確に目標施設だけを破壊したかのような誤解をまき散らしながら。

 しかし実際の戦争はそうそうキレイなものではない。ミサイルが命中すれば近隣の民間人も血だらけになって転げ回る。もちろん空爆される側もエグイ映像で世論に訴えるため、軍事施設を病院の近くに置いたりする。悲惨さを訴えることが大きな武器になることを、ボスニア紛争は証明しているのだから。
 「誤爆」という言葉を多用する米軍も、本気で民間人の死傷者を減らそうとは考えてもいない。セルビアやイラクに埋まる大量の劣化ウラン弾が、それを証明している。民間人を犠牲にしたくないなら、砲弾で放射能を撒き散らそうとは思わないはずだ。ただしきりに報道が流れる戦闘中だけは残虐ではない軍隊のふりをしたいということだ。

 で、自衛隊である。
 彼らの訓練は「人殺しの練習」ではないのだろうか。知事は冒頭の発言の後に語った「殺傷なら良かった」という文言も訂正しているから、「殺傷の訓練」も“不穏当な発言”なのだろう。
 もちろん自衛隊は災害復旧などでも活躍している。しかし自衛隊の「本来任務」の「主たる任務」とは国防出動である。災害派遣や治安出動は「本来任務」ながら「従たる任務」でしかない。「国防」というのはどれだけオブラートに包んでみても「人殺し」や「殺傷」の延長にある。防衛力が抑止力として機能するためには引き金を引かなければならないし、ミサイルのボタンを押さなければならない。
 たしかに自衛隊は「殺さない」ために努力している希有な軍隊かもしれない。ただし極限になれば「殺す」。最終的に敵を殺せるからこそ防衛力を保つことができるのだから。

 海外の取材で軍隊に自動小銃を向けたられた経験がある。このとき絶対に怪しい動きはできないと感じた。彼らが引き金を引くのに、それほど躊躇しないと感じたからだ。これがもし撃たないと分かっている軍隊なんてものがあるなら、ここまで緊張はしないかったはずだ。
 
 自衛隊は軍隊ではない。そんな「デマカセ」が状況をややこしくしているような気がしてならない。自衛隊の海外派遣にも反対だし、軍備の拡張も間違っていると思うが、イラクに派遣される隊員が装備の少なさを嘆いていたとの報道を目にしたときは気の毒だと感じた。
 ここ数年の自衛隊の活動はより軍事色が強まっている。それなのに「自衛隊は軍隊ではないから」と装備や行動に縛りをかける。苦しむのは現場じゃないのか。イラクは雪祭りじゃない。

 例えば、すっごく高度なホームページを上司から要求されたのに、ウィンドウズ98のパソコンしか与えられなかったらどうする。それも「君はシステム開発の人間ではない」とかいう理由で。

 作れませんって!

 軍隊は人を殺す。そうした当たり前の前提に立って、自衛隊の必要性の有無を考えるべきだと思う。軍備を増強するにせよ、縮小を目指すにせよ、こうした認識は必要じゃないか。違うだろうか?(大畑)

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2007年4月 2日 (月)

ルポ・普天間飛行場周辺の住民に基地について聞く

Kiti1  在日米軍再編の内容について、日米間は去年5月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)での最終報告で合意に至った。
 その内容のひとつに、去年大々的に取沙汰された宜野湾市にある普天間飛行場の移設がある。合意では飛行場を2014年までに、名護市の辺野古沖に移設することが目標として定められている。

 基地と近隣住宅地との距離があまりにも近いことから「世界一危険な基地」とも言われるこの飛行場をめぐっては、これまでにも基地の移転がなされるかと思いきや実現しなかった経緯がある。
 95年には米兵による少女暴行事件をきっかけとして大規模な基地返還運動が起こった。それがきっかけで発足した日米特別行動委員会(SACO)の最終報告では5~7年のうちに基地は返還されると決定されながらも、事実上、実行されないまま破綻してしまった。04年に米軍のヘリが沖縄国際大学に墜落し、さらに事後の米軍による地元警察締め出し問題もからんで大きなニュースとなったのもこの普天間飛行場のヘリである。

 去年、官房長官を務めていた頃の安倍首相は、飛行場の移転について「地元との合意が得られればいいが、日米政府間で協議していることでもあり、協議が合えばそれが最終合意になる」と述べている。
 このコメントからも、政府の立場としては地元である沖縄の意向を視野に入れずに決定されることは十分にありうるとの意思は示されていた。06年の決定を覆すような大きな決定はないかぎりは基地は辺野古に移されることとなる。
 ただ、地元・沖縄の「頭ごなし」の決定に基地負担の軽減を願う沖縄が黙っているはずもなく、前稲嶺知事は05年から計画として持ち上がっている「辺野古沖V字形滑走路案」をめぐって政府には「容認せず」の姿勢をとってきた。

 アメリカと日本政府、そして地元沖縄の思惑が錯綜する基地移転問題について、では直近の当事者といえる基地周辺の住民はどのような意見を持っているのだろうか?
 あれこれ調べるより直接聞け、である。先月(3月)、普天間飛行場周辺の住民に話を聞いてみようではないかと基地に向かった。

 那覇市のバスターミナルから30~40分、宜野湾市の長田というバス停で降りる。ヘリが墜落した沖縄国際大学が間近にあるが、当然、現場には墜落後の形跡はまったく残っていなかった。バス停から歩いて住宅街を10分も歩けば普天間飛行場にたどり着く。バス停から基地の敷地を示す金網まではコンビニなどもなく眠ったように静かだが、ときおり飛行機の発着する独特の金属音のような音が空を裂いて聞こえてくる。3月とはいえやはり沖縄で、半ズボンにサンダルの子どもが見受けられた。

 基地の金網までたどり着くと、そこが米軍基地であることを示すプレートが備え付けられてあった。

「US MARINE CORPS FACILITY 米軍海兵隊施設 無断で立入ることはできません 違反者は日本の法律に従って罰せられる」

 日本語の最後の部分の語調が「罰せられます」ではなく「罰せられる」であるあたりに、なにかただならぬものを感じてしまった。スキあらば金網の中に入ってウロウロしてみようと思ったが、罰せられるのはイヤなので計画は中止となった。

Kiti2  たしかに、基地と民間住居とのスペースはあって無きがごとしである。写真のように金網のすぐそばで遊ぶ子どもがいた。キィィィン、という飛行機発着の音が聞こえてきても平然として動じる様子もない。基地には2800mの滑走路があり、5平方キロメートルと広大な敷地を有している。これは宜野湾市の面積の4分の1にあたる。
 金網のすぐ近くに訓練場があるわけではなく、視界の手前には倉庫のような建物が並んでいた。高い場所から基地を見ると、滑走路といくつかの建物の向こうに海が見えた。■後編につづく■(宮崎)

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2007年4月 1日 (日)

■月刊『記録』4月号発売!

『記録』4月号が発売。

http://www5b.biglobe.ne.jp/~astra/link/test0704.html

[特集]『米軍再編下の沖縄で』 /前参議院議員・糸数慶子氏に聞く
  世界最大規模の軍隊である米軍の再編が進んでいる。在日米軍の75%の基地が集中する沖縄の民意が反映されるとして注目された去年(06年)11月の沖縄県知事選では約35万票対31万票という接戦の末、自公推薦の仲井真弘多氏が反自公が推す前参議院議員の糸数慶子氏を破っている。新聞やテレビによる報道では、知事選前後で仲井真氏が「基地容認と経済復興」、糸数氏が「基地の国外移設」を旗印として戦い、結果県民が「基地容認と経済復興」を選んだという見方がされていた。しかし“基地のない沖縄”が住民たちの悲願であることには変わりないのではないか? 米軍基地のある読谷村で育った糸数慶子さんに基地と知事選について聞いた。糸数氏の基地への感情から、知事選での仲井真氏側の企業選挙という暴挙までが明らかに。

 

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