■実録・コールセンター ~派遣の時代~ call1「入社」
積滞ランプが1時間以上も点灯したまま。
SVは次々に持ち込まれる難度の高い案件に追われっぱなし。
僕の隣のオペレーターは頭を掻きながら必死にナレッジ集を探し続けている。
そして、僕の受話器の向こうのお客は、キレまくって僕に怒鳴りたてている。
僕が特に悪い事をしたわけではないが、受話器の向こうの客は、こちら側がしでかしたらしい手続きの不備についてキレまくっている。
僕に投げかける言葉は罵詈雑言に近い。「あんたら」と言われてもハッキリ言って困る。だからといって、激高したオバハンにキレ返すわけにもいかないのだ。忍耐。ここは忍耐だ。
僕は派遣社員として東京の某プロバイダのサポートセンター(通称サポセン)に数ヶ月前から派遣されている大学生。なんとか就職も決まり残された単位も少ないので、しばらくお金を稼ぐため派遣会社に登録した。現役合格じゃなかったから派遣の面接でも学生だと思われずに済んだ。
早々に派遣先が決定し、配属されたのは西新宿にある某プロバイダのサポートセンターだった。もともとコールセンター志望だったのは、決まった就職先がコールセンター運営に関する業務も受注しているから、なにかの勉強になるかと思ったからだった。
これから数回にわたり、『記録』編集部のブログの場を借てコールセンターの実態について書いていこうと思う。コールセンターに勤務された経験のない方にはピンと来ないと想定されるけど、僕はこの現場に足を踏み入れて、
「コールセンターとは実際こんな世界だったのか!」
と軽くカルチャーショックを受けた。
センター内の環境と電話をかけてくる顧客、それにカスタマーサポートという仕事について書こうと思う。一般の人からは声だけでのみ接する相手だけに、その内部からの様子を描く事はそれなりには面白いモノとして読んで頂けるのではないかと思う。
僕は、もともとあまりコールセンターについていい印象を持っていなかった。僕自身HPを作っているので、たまにカスタマーサポート(あるいはユーザーサポート)に何かをたずねてお世話になることは度々ある。けれど長時間待たされる、たまに要領を得ない案内をよこす担当者にぶつかる等でハッキリ言ってイライラさせられる時があったからだ。
就活が上手くいかない時、コールセンターの担当者にやけに高みから見られているような、怠慢な態度を取られてる気がして、
「どうせ俺はお前の在籍するような大企業には入れないよ!」
と内心イラついてたこともあった。
けれど今回派遣された先は、僕のHPスペースを提供しているプロバイダと同じくらいの規模で、トップ10には必ず入る会社だった。急に、たずねる側から「たずねられる側」に回る事になったのだ。
はじめに驚いたのが、カスタマーサポートの担当者はプロバイダの社員ではなかったことだった。ずっと大手プロバイダ社員だと思って話していた人は、派遣会社から派遣されてきた社員だった。
研修の同期として他の派遣会社から派遣されてきたが一緒になって6人で業務研修を受ける事になった。皆僕より年上で男と女の比率は4対2。中にはどう見ても40歳以上に見える人が男女一人づつ。口に出したりはしないが、自然と「リストラに遭った?」と思ったりした。
僕は、研修期間は時給1300円、常勤後は1500円という契約だ。
他の人たちの契約が気になった。他の人たちがもし1800円の契約だったらやりきれないじゃないですか。
初めて天井の高い大きなフロアのコールセンターに足を踏み入れた時の印象は、
「たくさんの人がいる割にはやけに静かだな」
だった。
大勢でハキハキした態度で喋りまくってるイメージがあったのだが違ってた。後から気付いたのだが、フロア全体が奇妙に静かなのは大声で対応していると周りの対応者の邪魔になるからだ。
次回からコールセンターについてより詳しくレポートします。(浅野)
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コメント
はじめまして。
どこの会社(コールセンター)かすぐにわかったような気がします^^;
投稿: nankurukuru | 2007年3月31日 (土) 21時40分