建築が危ない!を詳細解説/『建築紛争』
昨日、一昨日と、ハッキリ体感できるほどの地震が続いた。半月ほど前に引越したばかりの今の家が軽量鉄骨でできているからなのか、やけにゆらゆら揺れているような気がした。まあ、崩れることはないだろとは思っていたが、何となく落ち着かなかった。
そういえば、不動産屋さんと物件を見てまわっている車の中で、その時点で住んでいた家が3階建ての軽量鉄骨であることを伝えると、「あれぇ、軽量鉄骨の3階建てなんて珍しいなァ」と不動産屋さんは言った。そのとき私は自然と、「耐震強度、というやつは問題ないのだろうか」と思ったのだった。
耐震強度などという硬質な言葉が瞬く間に知れ渡ったのだから、やはりあの一連の事件というか偽装発覚の連鎖は「日本中を揺るがせた」という表現に足るように思える。たまたま「グランドステージ藤沢」に入居が決まっていた知り合いは一家で祖父の家に移ることになり、「買った家が危険だから住めない」という意味不明な事態に怒る、というよりはその状況にただぼんやりしてしまっているようだった。
未だに「あぁ、あの姉歯っていう人の事件ね」という認識がされているのを耳にして最近驚いたが、当然だがこの耐震強度偽装事件は「姉歯の事件」などではない。
『建築紛争』ではまず05年11月に問題が発覚してからの一連の動きを改めて追い、民間検査確認機関、国土交通省、建築業界、建築士などが取ってきた行動と発覚後の対応を描き出す。
読み進めるうちに、98年の建築基準法改定による「仕様規定」から「性能規定」への変化により安全性のワクがぼんやりしはじめ、検査機関の民営化により建築業界自らが安全性のジャッジを下す構図があぶりだされてゆく。建築業界の制度的な側面や建物の評価の規定などに触れるため多少複雑な部分もあるが、その側面が問題の核心にあるのだから当然だろう。(宮崎)
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