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2006年12月12日 (火)

編集者から筆者に転じてみると

ここ2・3年もっぱら編集者をやっていたが某版元からオファーが来て筆者になった。雑誌の連載ではなく単行本の書き下ろしである。魅力的な企画だったので乗ってみたのだ。筆者になった以上は書かなければならない。当たり前だ。元来の出身が記者なのでどうってこともなかろうと甘く考えていたようだ。実際には編集者とは180度違う感覚に少々とまどっている。

編集者も筆者も詰まるところは締め切りだ。「締め切り」。おそらくこれがなかったら漱石はいまだに猫を書き終えていないだろう。名作駄作を問わず世に書物が送り出せるのは締め切りのおかげである。
と同時に最大のやっかいでもある。編集者としての締め切りは城攻めに似る。何しろ筆者の大半は締め切りを守らない。新人さんは出版の行程がわからないから遅れる。何冊も出している方は出版の行程がわかるから遅れる。つまり版元が設定した締め切りは余裕を含んでいるので、つまり編集者が徹夜に徹夜を重ねて命を削って校了と同時に死んでしまう限界、要するに本当の締め切りがいつかを知っているので、そのXデーから、せめて死なないよう2日ばかり早く出稿する。
締め切りを守らない筆者はうわさにならない。当たり前だからだ。締め切りを守る筆者はうわさになる。漫画家の横山まさみち氏や作家の吉村昭氏が有名だ。どちらも故人だが亡くなった際の評伝では代表作と並んで「締め切りを守る人だった」が「功績」として加えられる。さほどに偉大で稀少である。

城攻めには多種多様な戦法を用いる。何とか締め切りを守らせるべく、その日までに落城させなければならない。探りの電話を入れる、押しかける、缶詰にするとソフトな手法から拉致監禁まがいまでさまざまだ。というのも編集者は締め切りが迫ると「彼(彼女)はもしかしたら本気で落としてくるのではないか」との不安がよぎるからだ。両者とも落としていい理由は1つもないのにせめぎ合う当たりなかなかに滋味。
その点、私は版元の経営者であるから自分のところから出版するならば融通無碍である。だが今度は他社からである。久々に城を守る側になったわけだ。

編集者の呼吸は知っているわけだから筆者に徹する場合は編集者の催促が督促になり哀願に変わり憤怒の相に達するまで放っておけばいいとわかっている。でも普段は城攻めに四苦八苦している側なので城主となっても攻め手の気持ちをつい察してしまう。
今回は進行管理も校閲も印刷屋さんの見積もりもデザイナーやカメラマンの手配もしなくていい。ただ書いて放り込めばいいだけだとわかっている。わかっているが気にかかる。気にかかるが案の定、筆はなかなか進まない。ブログの文章はスラスラ書けるのだが……。

ところで。実は当ブログのアクセス数が土日になると急減する。アクセス数自体は気にならないが急減は気になる。これは土日を私が書いている頃からずっと続いている傾向だ。
ということは当ブログは土日には読みたくない何かがあるのか。それとも大半の気高き読者は会社でアクセスなさっているのか。それともブログのアクセスとは当欄に限らず土日は減るのが一般的傾向なのか。久々に筆者の側に戻ったら急に気になり出した。教えて下さい原因を!(編集長)

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コメント

>実は当ブログのアクセス数が土日になると急減する。
>久々に筆者の側に戻ったら急に気になり出した。教えて下さい原因を!

一般的傾向かどうかは分かりませんが、私の場合は平日限定になります。なぜか?それは会社のパソコンでブログを読んでいるからです(笑)。

調べ物をしたりメールを送ったりで、会社員はパソコンに向かう時間が一番多くなったと思います。そして調べ物ついでにエクスプローラーをもう1つ立ち上げて、こうしてアクセスしながら仕事をするのです。

さすがに勤務中にエロサイトを見る事はしませんが、新聞社のサイトや個人のブログを読む事はあります。私はしませんが、女性はネットショッピングをしたりエステの予約をするつわものも!まあ、どなたも「ちょっとだけ」という感覚のようですが。

ついでに言うと、家庭ではゆっくりネットをする時間が取れません。子供がまとわり付いてくるし、どこか連れて行けとうるさいし、家事を手伝わないと妻が怒るし・・・。ほら、土日にアクセスしている場合じゃないでしょう(笑)?

投稿: やや右より?のベル | 2006年12月12日 (火) 11時04分

一般的傾向かどうかは分かりませんが・・・
たぶん週末は「ブログのテーマ」が決まっているからでは
ないでしょうか?
土曜日は「吉原シリーズ」、日曜日は「ミニコミ誌」。
内容の問題ではなくて、「今日はこのシリーズだ!」と
分かっているからではないでしょうか?
平日は、編集部の方々が思い思いに書かれていますよね?
今日が何のテーマなのか分からない。
だから「今日は何について書いてあるの?」っていう興味と期待が
湧いてきて、週末に比べてアクセス数が多いのでは?と思います。
追伸:私はいつも開いていますよ♪

投稿: 青山三保 | 2006年12月13日 (水) 01時32分

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