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2006年12月13日 (水)

まったくもって人ゴトではない事態。ホワイトカラー・エグゼンプション

Ka  去年、経団連によって提言がされたホワイトカラー・エグゼンプションが、近い将来には現実となりそうな気配だ。労働時間規制適用免除制度、という長い日本語に置き換えられるこの制度下では、労働基準法に基づく8時間の労働時間の枠が取り払われ、仕事の成果をもとに賃金が払われるという。つまり、ある仕事が達成されるまで12時間が費やされたとしても、法定の労働時間規制という考えが適応されないため、「残業代」はまったく発生しない。20時間でも30時間でも発生しない。現在、同案については厚生労働省が素案をまとめている段階。
 民間シンクタンク・労働運動総合研究所によると、同案が素案の内容で成立すれば、年収400万円以上の会社員がなんと年間114万円の残業代を受け取れなくなる可能性があるという。素案では一定以上の年収の会社員が対象になる、としているが、仮にそれを年収400万円に設定した場合、対象となるのは全国で1000万人だという。
 114万もの残業代を受け取れなくなるだけでも「冗談だろ!」と叫びたくなる内容なのだろうが(私は400万円以下なので、関係ないっちゃないんだが)、それよりも深刻なのが労働時間の問題であることは明らかだろう。
 厚生労働省の言うところでは「自由度の高い働き方」だそうだが、「これって、単なるサービス残業の合法化じゃ……?」と思うのは私だけだろうか? 同案を形作る位置にある厚労省、労働政策審議会の分科会では、すでに使用者と労働者の各委員が対立しているという。もともとの提言が経団連であることを考えると、モロに「財界vs労働者」という構図が浮かび上がってくるのだ。共謀罪や道路特定財源の行く末に関心がなくても、こればかりはダイレクトに生活を直撃する問題だ。同法がいよいよ審議の俎上に上がったとき、年収400万以上の彼らは(あくまで他人事、ということではないが)果たして声をあげるのだろうか?

 さて、ヘタをすると労働時間の上限なし、というウソのような状況がウソとも言い切れなくなりつつある現在だが、そんな労働過多日本に警鐘を鳴らし続ける人も、もちろんいる。今回紹介するのは、90年に『過労死と企業の責任』(旬報社)、98年に『過労自殺』(岩波新書)を執筆した川人博氏の『過労自殺と企業の責任』(旬報社)。本書では、長時間労働のみに焦点が当てられているわけではないが、それを主な原因とするうつ病、過労死に至らしめられた人たちに関する記録が収められている。それらのケースで争われた司法判断の紹介・検証や命を絶つ選択をした人が接していた労働実態をもとに、企業が労働者に対してとるべき態度についての提言がなされている。
 いよいよ、ほとんどの人にとって「人ゴト」ではない法案が、国会に登場するのである。(宮崎)

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コメント

14日の更新はどうしたんでしょうか?楽しみにしていたのに・・・・・・。

投稿: まな板五郎 | 2006年12月14日 (木) 09時27分

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