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2006年12月17日 (日)

日曜ミニコミ誌! 広告から読み取れ!/『なまえのない新聞』

 今回は『なまえのない新聞』。「新聞」とあるが、時事のニュースを追いかけるわけではなく、主に環境、健康、民族文化、食生活などに関する内容が多い。「有機的な生活」といったイメージだろうか。
 かと思えば、最新号である11月号にはいきなり「心霊について」なる記事が収められていたりする。
 通巻139号まで積み上げられてきた『なまえのない新聞』だが、いっこうに核となる編集方針が見えてこない。ひとつの印刷物を作り上げるという行為はブログを書くという行為よりもはるかに手間がかかるものなのだが、そこまでして『なまえのない新聞』の発行を続ける動機についてまず聞いてみたかったのだが、編集部はどうやら留守の模様。
 もうひとつ気になる点がある。普通、ミニコミの広告といえば、同じような内容を扱っているミニコミ同士で「交換広告」を掲載しあう形態が多いのだが、『なまえのない新聞』の場合は商用広告、しかも一風変わった広告が多い。
 たとえば、こんな広告。
「太陽光発電をやってみませんか!」
 と誘いかけてくる広告の主は埼玉県の「エルガ」という会社。これは珍しい。これも『なまえのない新聞』の環境問題に関しての姿勢ありきで掲載できる広告なのだろうが、どんな経緯で「エルガ」の広告を掲載するようになったのか、そういう過程を聞いてみるのはけっこう面白いものなのだ。(今回はできなかったけど)
 太陽光発電の隣にある広告は、こうだ。
「印刷のことならおばちゃんにおまかせ!!」
 いきなり「おばちゃんにおまかせ!!」と突っ込んでくるメンタリティもなにかすごいものがあるが、この「あらばき協動印刷」のスゴいところは、なんといっても印刷に「大豆インク」を使っている点だろう。いったい大豆インクってなんだ。これについてはしっかり説明がされている。イラストの「おばちゃん」が言う。
「大豆インクって言うのはネ、石油のかわりに大豆油を主成分にしてつくったインクのことなの。地球にも人にもやさしいってこと。それにネ、仕上がりが何となくなんだけどやさしい感じがするんだよネ。」
 うーん、仕上がりが「何となくなんだけどやさしい」ときたか。広告なんだから「やさしい仕上がり」と書けばいいのに、なんて正直な広告なんだろうとちょっと感心してしまう。
 ほかにも、理容師が開発した石鹸、ヨガセラピー、『パパイヤうぽー』というナゾのCD(地球にやさしい音楽らしい)と、広告に関しては収集がつかない感があるほどだ。
『なまえのない新聞』のことが書いてないじゃないか、と言われそうだが、それはちょっと違う。先のいずれの広告も、『なまえのない新聞』のコンセプトなしには掲載されることもなかったものである、つまり、広告が媒体の性格をかなりダイレクトに反映しているのだ。
『記録』の広告にトヨタの広告が載る可能性が限りなくゼロに近い(ていうか、頼んでも出してくれない?)。掲載広告の視点から読み取れる媒体の性格、というのは案外面白い着眼点なのである。(宮崎)

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