日曜ミニコミ誌! ミニコミ界の雄・中洲通信
ミニコミなんて出回っているすべてが異端児のようなものなのだが、その強烈すぎる個性やテーマゆえに、いわゆる「メジャー」な存在になることは少ない。
マニアックな炎を取り囲むようにして、酔狂な作り手と読み手が好きなように盛り上がったしているのが大半の娯楽系ミニコミのありようなのだ。
しかし、「人生を楽しむダントツな人の雑誌」という旗印と、ホントに楽しんでるだけ、というスタイルを保ちながらどんどん拡大・発展してきたのが『中洲通信』である。
音楽、映画、芸能、スポーツとエンターテイメント色が強い記事がほとんどだが、社会問題を取り上げるページもある。特集は豪華である。11月号のメインはもはや説明不要の久石譲へのインタビューだ。
「R25」に近いイメージだが、より「ガッツリ読める感」があり、文章好きに向いていると言えそうだ。
今から15年以上も前、福岡、中洲のリンドバーグという1件の飲み屋で『中洲通信』は生まれた。今でこそB5でカラーページが多い堂々たる佇まいだが、店のレジの横に置かれはじめた誕生時の同ミニコミはタテ15×ヨコ10センチほどの小冊子だったという。
作り始めたのはリンドバーグのママである藤堂和子さんである。店のちょっとしたアクセントになればいいと作り始めた同誌では、店に来ているお客さんなどに1ページ1万円で誌面を買ってもらい、ページ主に好きなことを書いてもらうという試みなども取り入れた。店には有名人や企業のオエライさんがよく訪れることもあり、広告主探しには都合いい環境といえた。
今でもその頃の面影を感じさせるページが「私の履歴書」だ。福岡のラインビルディングという会社がこのページの主なのだが、「私の履歴書」ではこの会社が所有するビルに入っているスナックやバーのママやホステスによる自筆の履歴書が顔写真付きで掲載されている。
たとえばこんな感じである。名前、お店の住所と電話番号、営業時間が書いてあり、随意記入の欄には
「この度○月○日にメンバーズ○をオープンすることが出来ました。すばらしいスタッフに恵まれ、初心に戻り一日一日の出会いを大切に営業致しております!……」とのメッセージ。ホステスさんの顔写真付きで、手書きの文字である。ついつい隅々まで目を通してしまう引力があるのだ。
今は『中洲通信』のカントク的な存在である藤堂さんは「雑誌で遊びなさい」とよく言うそうだ。そのメンタリティは誌面に実にハッキリと表れている。
「ミニコミ界の雄」の快進撃は止まらないのだ!(宮崎)
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