« 女だけの郵政復党麻雀  | トップページ | 日曜ミニコミ誌! サントリー発・バーテンダー着!/『WHISKY VOICE』 »

2006年11月18日 (土)

『吉原 泡の園』 連載第2回 マネージャー&店長との対峙

 その日は朝から雨が降りそうだった。早く荷物を車に移そう。ソープで働くため、吉原に向かう準備をしていた。レンタカーを借りてきて西船橋のアパートの軒下に停め、荷物を載せていた。
 汗びっしょりで荷物を運ぶ僕を見て。
「何、引っ越しかい」
そう聞いてくる隣人に笑顔で答えた。
「はい。そうです」
「住所は?」
「後で教えます」
「そうか」
 嘘いっちゃって、ゴメンなさい。僕はそう呟いた。
 荷物を車に移動した。荷物が外に剥き出しの平ボディなので、ホロをかぶせた。
 車のエンジンをかけ、いざ台東区千束に。ポツリポツリとフロントガラスに雨がぶつかる。今の自分の気持ちそのものだった。昔の恩師の顔が浮かんでは消える。友達はとうになくしていた。
「あー、とうとう来る所まできたな」
 千葉県から東京都に入った。風景がモノクロに見える。人々の表情も、はっきりしない。もう涙も出ない。覚悟は出来ている。
 吉原のメーンストリート。
 ここに僕の働くことになったR店はあった。1tの平ボディ車に、TV、カバン、服、炊飯器、その他家財道具を満載した車で、マネージャーにあいさつに来たのだ。マネジャーの目が、点になっていた。
「こんな荷物あるのか、寮に入らねえぞ」
 僕は殴られるのではと、ビクビクしていた。するとそこに、マネージャーをさらにパワーアップしたような極悪人風の大男がきた。
「どうしたんや?」
 マネージャーがピクッとする。
「ああ、店長。こいつが荷物ぎょうさん持って来まして」
 僕は、今この時が、幻であってほしいと思った。パンチパーマの2人に詰め寄られ、緊張で汗がポタポタとまらない。
「平気や、グズグズせんと、荷物入れて、はよ店の方へ戻って来いや」
見物していたR店のボーイが。
「ゴメンね、仕事中だから、引っ越し手伝ってやれなくて」
 ニッコリ笑ってそんな一言をかけてくれる先輩ボーイがいた。
「いいえ」
 少しホッとし、僕は一時間ほどかけて、荷物を寮に入れ終えた。寮は、店の裏手にあり、徒歩30秒程の所にある。急な階段をのぼり三階部分。洗濯機、風呂、トイレ共同で、フローリングの床の部屋に、二段ベッドが置かれ、エアコンもある。
 無一文の男が、ゼロから始めるのだ。まあ文句も言えないと思った。
 引っ越しが終わり、汗だくで店に行くと、店長がどっしり構えて待っていた。(イッセイ遊児)

|

« 女だけの郵政復党麻雀  | トップページ | 日曜ミニコミ誌! サントリー発・バーテンダー着!/『WHISKY VOICE』 »

『吉原 泡の園』」カテゴリの記事

コメント

デンジャラスな冒険の始まり始まり!!!。

投稿: スナフキン | 2006年11月25日 (土) 16時30分

冒険・・・。そうですね。アドベンチャーストーリーのプロローグなのです。

投稿: イッセイ | 2006年11月26日 (日) 12時18分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/122338/12722553

この記事へのトラックバック一覧です: 『吉原 泡の園』 連載第2回 マネージャー&店長との対峙:

» 「おまとめローン」問題あり 金融庁警告 [消費者金融調査室]
消費者が借りている複数のローンを一本化する「おまとめローン」が多重債務の温床になりかねないと、金融庁が地方銀行の頭取らに警告していたことがわかった。「おまとめローン」問題あり 地銀頭取、金融庁から警告受ける2006/12/ 2 J-CASTニュース 消費者が借りている複数のローンを1本化する、いわゆる「おまとめローン」が「多重債務の温床になりかねない」と、金融庁が地方銀行の頭取らに直接、「警告」していたことがJ-CASTニュースの取材でわかった。 銀行のおまとめロ...... [続きを読む]

受信: 2006年12月 2日 (土) 15時46分

« 女だけの郵政復党麻雀  | トップページ | 日曜ミニコミ誌! サントリー発・バーテンダー着!/『WHISKY VOICE』 »