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2006年11月25日 (土)

『吉原 泡の園』 連載第3回目 職場の流れについて行けない!

■吉原のR店で働くことになり、「ソープ業界入り」を果たしたイッセイ。極悪人風の店長とマネージャーにビビりつつも、引っ越してきた寮に荷物を置き終えて、再び店長の元へと急いだ。

   *   *   *

「お前、汗だくでくせえな、フロ入って来い」
 まあソープとはフロ屋である。空いている部屋に案内された。一人で部屋の中で裸になり、鏡にうつる自分を見た。不安そうな男が一人、そこに立っている。シャワーを浴び、また店長の元へ戻る。2002年当時、僕はアゴ髭、ハナ髭を伸ばしていた。店長がギョロリと僕を見る。
「喧嘩ばかり…してたんか?」
 そう聞いてくる。僕の頭の中は、?でいっぱいになっていた。
「目の上に、キズがある」
 確かに僕の右目の上にはキズがある。でもそれは昔、ドラえもんの映画を見に行き、そこで転んで切ったキズだった。
「あ、いえ、これはですね、その…」
 ぐずぐずしている僕に。
「スーツはねえのか?」
「ハイ」
 答えると、店長はマイカーに僕を乗せた。日本車で、特別高級車ではない。ただ、運転に関してはソープ関係者はどういうわけかあらい。あらい=カッコイイ。とでも言わんばかりのあらさである。

 あっという間に、洋服のA山店に着く。
 スーツと靴を買ってもらう。店に戻ると、マネージャーが天にも届くような大声で、
「ハイ、お供一台!」
 明らかに、僕に向かってそう言ったのである。
 僕の頭の中は?でまた一杯になる。
「おいテメェ、どういう了見しとるんじゃい」
 やはり僕に向かっていっていた。いきなりお供と言われ、グズグズしている僕に。
「もういいわい」
 そう叫び、マネージャーは、両手でバシッとカウンターを叩くと、自分で店を出て、タクシーを停め、女性をそれに乗せた。
 お供をおおともと聞こえたので、おもわず。 
「タクシーのことをおおともというのですか」
 と聞くと。不機嫌にフンッと鼻を鳴らし、行ってしまった。
 入ったばかりだと言うのに、ボーイのイロハも知らないというのに…。洗礼を受けた感じだった。 
 早くも、うすうす気づき始めていたが、このR店、吉原ソープの中でも悪名店だったのである。
 ほっとしたのもつかの間で、電話が鳴る。マネージャーが出る。受話器を置くと、またもや大声で叫び出した。
「まもなく!」
何の事やらさっぱりだが、それもまた僕に向けて言っているのだった。(イッセイ遊児)

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コメント

自分の拳にも傷がある。でも優しい奴である。穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めた伝説の戦士スーパーサイヤ人!!!。

投稿: スナフキン | 2006年11月25日 (土) 16時21分

スナフキンさん。毎度コメントありがとうございます。そうですか、スナさんは心がやさしいのですか。人間、見た目じゃわからないですよね。スナフキンさんに元気をもらっているので、面白いものを書いて、それにこたえられるように集中したいとおもいます。
 「『頑張る』とは言いません。集中します」

投稿: イッセイ | 2006年11月26日 (日) 09時12分

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