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2006年10月15日 (日)

日曜ミニコミ誌! 実力派・日本キノコ協会が放つ!

 以前NHKで、どこか外国の森に生きる生物の番組を放送していた。
 その中にキノコが出て来た。キノコも森に生きているわけだから取り上げられても何ら不思議ではないのだが、その生態にはド肝を抜かれてしまった。
 普通、キノコは胞子をバラまいて子孫を残していくものなのだが、そのキノコは胞子を有効にバラまくために、ちょっと想像もつかない手段をとっていたのだ。
 まず、昆虫がそのキノコを食べる。すると、昆虫はその時点で自分の意のままに行動できなくなってしまう。要するに、意識をキノコにコントロールされてしまうのだ。意識を乗っ取られた昆虫はふらふらと背の高い植物の葉先に歩いてゆき(歩かされ)、そこで魂を抜かれるように絶命する。すると、昆虫の骸を苗床にしてキノコが急激に育つ。高い場所から風に乗せて、より遠くに胞子を飛ばすことができるという恐るべき繁殖法をテレビの映像で目の当たりにして、ビビッてしまった。
 たかがキノコ、と思っていたわけでもないが、雑多な形態に共通する、あのなーんにも考えていなさそうな佇まいにも、なるほどそれなりの複雑な云々が内包されてるんだなぁ、と思い直したのでした。

Kinoko  前置きが長くなってしまったが、そんなキノコの魅力を、「私たちは知ってたぜ」とばかりに余すところなく伝えてくれるのが日本キノコ協会が発行する『きのこ』である。
 表紙には「きのこをめぐるカルチャーマガジン」とあるが、その文言通り、最初から最後までほぼキノコ一色の内容だ。

 日本キノコ協会が発足したのは15年前。
 事務局長の扇さんは、当時から日本のキノコ研究は生物学的な分類などの点で欧米に比べて劣っていたと言う。日本キノコ協会の前身の「キノコ星雲」という団体では、アマチュアによるキノコの生物学的な分類などの活動をしていた。
 だが微生物学の観点などからの専門的な研究を続けるよりも、キノコ・シーンを楽しみながら盛り上げていこうと、方針に若干の修正を加えて日本キノコ協会は発足。キノコは単細胞生物で器官の優劣がないことから、協会内でも上下関係のないフラットな組織体系が取られているそうだ。だから扇さんの「事務局長」も名前だけのものであるという。ユニークである。

『きのこ』は、より多くの人にキノコの魅力を伝えるために隔月で発行されている。キノコの神秘的な写真、キノコをモチーフにしたアート作品、イラスト、キノコ研究家のコラム、また海外の研究家の翻訳など、どの内容もハイレベルである。
 これまで4号を発行しているが、どの号もなんと売り上げ2000部を突破、在庫が尽きかけている号もあるという。

 特に引き込まれたのは堀博美さんが書く「毒キノコ事件簿 中毒実例から」なる特集。
「キノコの秋ということで、日本での中毒事故件数ワーストワンキノコ、ツキヨタケを取り上げます」というリードに続き、暗い場所で青白く発行するなどの特徴を説明。食べると嘔吐、下痢、けいれん、ショックを引き起こすことがあるという。平安時代にもツキヨタケで中毒を起こしていたという文献も残されているほど事故が多いのだが、どうやら外見がシイタケなどの食用キノコとそれほど違いないのが多発の原因なのかもしれない、とのこと。
 気になる「中毒実例」なのだが、こんな感じで紹介されている。

■2004/9/9
 宇都宮市保健所は、同市在住の男性(32)と女性(31)が毒キノコのツキヨタケを食べて食中毒を起こしたと発表した。(中略)自宅で油いためにして食べたところ、嘔吐するなど食中毒状態となった。2人は栃木県内の病院に入院し、治療を受けたが症状は安定しているという」。

 こんな感じで報告例が取り上げられ、これに対し堀さんが、ツキヨタケを油いためにすれば毒が消えるのは迷信、とちょっとしたアドバイスも返す。いくつか報告例があるが、総菜屋の店主がシイタケだと勘違いしてヒジキと煮付けして販売し、客が中毒を起こすというどこかユーモラスなエピソードもある。

 
 扇さんが興味深いことを教えてくれた。
「10年前までは、キノコといえば若者の反応は『気持ち悪い』がほとんどだった。でも、5年前あたらりからなぜか『かわいい』『おもしろい』というリアクションが多くなってきた」。
 キノコブームが目に見えて現象化するかどうかはまだ分からない。ただ、もしそうなるのであれば、その中心に『きのこ』があるのは間違いない。(宮崎)

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投稿: e-アフィリ | 2006年10月15日 (日) 15時01分

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