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2006年10月12日 (木)

金正日総書記のアイ ドント ライク マンディ

オレはクラス(国際社会)の中でシカとされている。大げんか(朝鮮戦争)した弟(と北朝鮮は見下しているであろう韓国)が自分より成績優秀というのも癪だ。親父(旧ソ連)とお袋(中国)は夫婦げんか(中ソ対立)の挙げ句に親父は家出してしまって時折会ってはくれるが養育費もよこさない。
お袋はさすがに見捨てはしないがアレコレ注文をつけてきてウザイ。クラスの番長(アメリカ)は名指しでオレを嫌っている。かつてオレと弟をテカにしていた奴(日本)に至っては番長とつるんで大金持ちだ。
たまにカツアゲ(マネロン)してウサを晴らしていたが番長が目ざとく見つけて出来なくなってしまった。

ああ面白くない!

もし私がそうなったら今さらクラスメートに頭を下げたりお袋の「少しは仲良くしなさい」との小言を受け入れたりはしない。代わりにこう願うだろう

もしライフルが手に入ったら世界は変わるぜ

と。

だから10月9日の月曜日(ここ伏線!)にあった北朝鮮の核実験の報には驚かない。むしろ核開発から「7連発」までの経緯を考えたら核を放棄したとの発表がある方がビックリする。その意味で核実験は正しい論理的帰結である。あくまで北朝鮮の論理に乗っての話だが。
「核保有国」とは第二次世界大戦の5大戦勝国のみに認められた特権だった。つまりこれさえあれば誰もオレをシカとはできないと考えておかしくないし事実として大騒ぎである。
ライフル(モデルガンの可能性もあるが)を振りかざした途端に注目されるオレ。どんなもんだいと気分がよくなるのは当然だ。
意外と対抗措置もない。国連が制裁決議をしたとしても元々いじめられているとの認識があるから新たないじめの文言が加わったくらいにしか感じまい。
しかもお袋は決してオレを見捨てない。朝鮮戦争の時も毛沢東は激怒したが結局は助けてくれた。古来より中国大陸にある国家は朝鮮北部を重要な戦略拠点と位置づけてきた。近年の高句麗論争は図らずもその意識が示された例といえよう。
一部に中国が北朝鮮を見放すという論者もいるが歴史的には決してあり得ない選択だ。

北朝鮮が核を持つならば日本も……という議論が起きるかもしれないが難点がある。まず日本の核保有は北朝鮮以外の国家にも訝られる。また日本が保有したから北朝鮮が放棄するという話でもない。
現実問題として非核三原則の最後を改めれば在日米軍が核を持ち込める。というか既に持ち込んでいる可能性もある。にも関わらず北朝鮮は核を持とうとした。日本の核保有で北朝鮮の問題は解決しない。東京に北の核が落とされた報復に平壌に一撃を食らわせても東京の惨劇が旧に復するわけでもない。

制裁決議で北朝鮮が軟化する可能性は上記の理由でゼロである。経済制裁で萎えるどころか燃え上がるのは戦前のわが国を思い出せば容易に想像がつく。次にケンカするまで抱き合っておこうという独ソ不可侵条約に代表されるドライな芸当は東アジアのお仲間にはできない。「火中に栗を拾え」「虎穴に入らずんば虎児を得ず」みたいな実は非論理的な欲求が澎湃としてわいてくるに決まっている。

番長アメリカの及び腰も直ちには改まるまい。北朝鮮が怖いからではなく別のところでのケンカで消耗しているからだ。といって番長は番長だからライフル持って粋がっているはぐれ者と「ライフルを持った」という理由で態度を軟化させたり話し合いに応じたりは格好つかないからできない。

となると今後の動向も専門家がああだこうだという必要なく想像がつく。ライフルにタマを込めて実射できるよう誰が何といっても努力する。核弾頭に積めるようミサイルともども改良する。経済制裁はお袋が最低限支えてくれているうちはしのげるから「火中に栗を拾え」まではいかない。彼の要望は「オレの居場所を保障せよ」だから核を日本に打ち込んで重い腰のアメリカが立ち上がらざるを得ない状態は避けるだろう。
最大の問題は北朝鮮が「お袋が最低限支えてくれている」というラインをどこに設定するかだ。お袋も頭には来ているから少々は締め付ける。むろん息子が死ぬようなビンタは打たないが痛いか痛くないか、我慢できるのか我慢ならないのかは北朝鮮の主観次第である。将軍様が「我慢ならねえ」と感じちゃったら何をしでかすかわからない。
インドとパキスタンの核保有は良くも悪くもどこに対して何の理由で使うか使わないかハッキリしている点で安心できる部分がある。だが北朝鮮はわからない。案外と北京にぶっ放したりして。むろん日本もわからない。乱射の先は北朝鮮の胸三寸。不快だが事実である。

The Boomtown Ratsの大ヒット曲は“I don't like Mondays”という理由だけで少女が学校でライフルを乱射(“I want to shoot”)した事件を扱った。それで“The whole day down”となっては堪らない。ライフルでも大変なのに核兵器だから。金正日君。月曜日も案外と悪くないのだよ。(編集長)

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コメント

>だから10月9日の・・・
これ以降は、編集長の感想でよろしいですね?どこまでがオレ(北朝鮮)の発言か少し分かりにくかったのですが、言わんとする主旨は共感出来ます。というか、すごく妥当な推理と言えるでしょう。

ところが反体制ブログを見ると、安倍総理の訪中・訪韓に合わせて北朝鮮が核実験を行ったのは「タイミングが良過ぎてアヤシイ」そうです。
つまり北朝鮮が自分の立場を危うくするカードを切ってでも中国・韓国に米国・日本と同調するなと警告した・・・という受け止め方はせず、日本政府が(もしくは米国政府が)将軍様と裏取引をして、日本が右寄りに舵を切れるように援護してくれたに違いない・・・と言う理屈です。

月刊「記録」編集部が右寄りブログとは全く思っていませんでしたが、今回のエントリーは反体制ブロガーからは支持されないと思いますよ(笑)。

投稿: やや右より?のベル | 2006年10月12日 (木) 10時28分

シカと→シカト?
火中に→火中の?
火中の栗を━━。
他人の利益のために危険を冒すの意。

ときどき表現者の域にまで踏み込んでいて、
ジャーナリストとして凡庸を超えていると
思います。

あと大畑氏の文章には微妙な色香がたちのぼっていて
ウマ味を感じさせられます。

投稿: 巻田労 | 2006年10月12日 (木) 13時17分

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