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2006年10月21日 (土)

『吉原 泡の園』 第2回 この地で40年のラーメン屋

 さえなく暇な吉原で今日も一生懸命仕事に精を出す人々がいる。それが吉原の弁当屋兼飲食店だ。
 お客は風俗譲に寿司をご馳走し、風俗譲はサンドイッチを配達してもらい、ボーイは長い1日をうまい飯を食べ何とか体力を維持し、仕事をやり抜く。吉原の中だけで数十軒の飲食店があり、それぞれの店の特色を生かして吉原に寄生して生きている。僕の働いていたR店の裏に○楼という中華屋があった。老夫婦が営む小さなラーメン屋である。10月のある日の夜、僕はまた吉原に向かった。

 7日土曜日からの連休の最後でもあり、暇な毎日にあるものの少しはお客さんの流れもあるようだった。○楼の取材にいくつもりだったので、道中店が休みでないことを祈った。遠くから、○楼の明かりと、暖簾が見えたのでホッとする。
「ごめんください」
店に入るが、テレビの音だけが奥から聞こえて厨房には人がいない。
 老夫婦(推定70代)がテレビを見ていて客が来たことに気づかないのだ。首を伸ばしてもう一度言うと、慌てておばさんが出てきた。3年程前とちっとも変わらない、いつもの割烹着姿で厨房に入る。僕はラーメンを注文した。500円玉を1枚カウンターに置く。
 以前R店にいたことを告げ、今日はおばさんの話しが聞きたくて来た事を言うと、照れくさそうに微笑んだ。

 吉原で40年前から中華料理屋を夫婦でやっているのだそうだ。遊郭が消え、赤線と呼ばれる国公認で売春を行なう赤線地帯だった頃も知っていた。来たばかりの頃は、今のようなソープランドの店でなく、旅館がズラリとあったそうだ。その旅館で売春させるのである。旅館の前や道路に売春婦が立ち、少しでも目があった人に。
「お兄さん遊ぶ?2万でいいよ」
 などと声をかけていた。吉原はそんな場所だった。昭和33年、売春禁止法が出来て、トルコ全盛になる。当然○楼のおばさんもトルコに出前に行った。ところが、トルコという名称に対し、トルコ人青年からの抗議を受け、1984年12月19日名称をソープランドとし、吉原は日本屈指のソープランド街に成長していった。
 トルコ大使館などに、客がタウンページなどで調べて電話するのだが、本物のトルコ大使館をトルコの店と間違えて電話する人が多く問題にもなっていた。
 バブルがはじけたことや、オリンピックに向けた都知事の風俗嫌い、偏ったエイズなどの知識、長年に渡る吉原のお客さんを愚弄する商売方法などさまざまな要因が重なり、今や閑古鳥が鳴いている。そんな吉原の今を嘆いていた。
  ソープ店との関係については、今まで出前に行って怖い目にあったことはないそうだ。つまり、吉原ボーイが、おばさんを必用とし、母のような存在で見ている人もいたのだろう。ボーイは家庭的にも恵まれないものも少なくない。どこか母とかぶるおばさんを見て、安堵していた人もいるのかもしれない。ただ、良いことばかりではない。吉原に遊びに来た客が、○楼に飯を食べに来て、食べ逃げされたことも何度もあるそうだ。  
 また以前は風俗譲などの出前では、突然風俗譲に仕事が発生したりするとお金の回収が出来なくなったりもしたそうである。今はフロントで立て替えてくれるので問題はないという。

 僕が注文したラーメンが出来た。カウンターにのせ、「お待ちどうさま」と微笑む。なつかしい支那そばである。○楼の人気メニュー1位がカツカレー2位がチャーハン3位が日替わり弁当だそうだ。それなのにあえてラーメンを注文したのは、当時1番安いラーメンをよく食べていたからだった。写真を撮らして欲しいとお願いすると「撮るほどのもんじゃないですよ」そう照れていた。 多くのボーイや風俗譲を癒し、おいしく安い料理を提供する、吉原の縁の下の力持ちであることは間違いない。食べ終えた後、「また来るかもしれません」と言うと。
 「機会があったらまた来てください」
そう温かい言葉をかけられた。

 懐かしくてボーッと○楼の窓から表を見ていると、大急ぎで自転車をこぐKちゃんをチラリと見た。なぜ、大急ぎだったのかは「記録」に詳しく書いてあるので、あわせて読んでもらえれば意味が分かる。なお、Kちゃんとは同じ寮に住んでいたボーイだった人だ。随分と禿げあがった頭以外は、スケベな顔は変わらなかった。当時のメンバーがまだまだ吉原に生息して活躍していることが、何だか我が事のようにうれしかった。当時鬼マネジャーだった人について聞いてみたが、よく分からないと言われた。
 客1人だけの店内で食事中、注文の電話が1本も鳴らなかった。祝日なのに。
 これから冬の寒さは厳しいだろうが頑張ってくだい。(關一星)

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コメント

ラーメン・チャーハンは、大好物だ。
お店無くならないでほしいですね

投稿: スナフキン | 2006年11月 7日 (火) 16時08分

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