日曜ミニコミ誌! 見知らぬ街から……
地域情報を発信するミニコミ誌は少なくない。『神楽坂通信』や『深川』、『日向時間』などはよく見かける。
いちミニコミ読者として、それらに期待するのは“濃厚な地域臭”である。個人的に。どこか知らない地方の強烈な訛を聞くと思わずニヤリとしてしまうが、それと同じように誌面から地域臭がかぎとれる、そういう地域モノのミニコミを読むとやはりニヤリとしてしまう。
たしかに、方向のとり方を誤れば、外に対して閉じられた単なる内輪ものになってしまうという危険もある。そのへんのバランスは確かに難しいのかもしれない。
そういう点では、金沢の街を扱った『そらあるき』はうまくコントロールされた誌面づくりになっていると思う。
金沢の豆腐店を特集したもの、いくつかの銘菓の紹介、商店街の小話が並んだと思えば、金沢出身の創作家の紹介や普遍的な題材を扱ったエッセイもある。
パラパラめくって様子を見るつもりが(この時点でまだ買ってなかったんです。立読み御免……!)、手を止めて思わずじっくり読んでしまったのは「夜の新天地 歩き飲み散歩」というコーナー。
「……そんな訳でボクが2週に渡って飲み歩いたお店を紹介してみます。しかしここに載せるお店は本当は誰にも教えたくないお店ばかりなので、なるべくなら行かないでください。行くなら僕を誘ってください」
という偏屈な見出しにいざなわれて本文に。「『みやちゃん』は早い時間だったためかボクが一番乗り。早速、日本酒を2合とトビウオの刺身とあん肝を注文。やっぱり金沢の冬の魚は最高だな、なんて思いつつ店の釣りの話を聞く」。なにが“ボクが一番乗り”だ、と思ったのも束の間で、基本的に金沢に対する愛情をもって書かれてるので、印象は悪くない。すごいと思ったのは、いわゆる有名人がこういうオイシイもの巡りの文章を書くパターンはいくらでもあるが、これを書いてるのはタダの、と言っては失礼だが一般の人だ。そして、この書き手がこの後も引っ張りまくる。さまざまな店を紹介しまくって、店主とのやりとりも交えて食いまくっているようだ。しかも、その中にもちゃんと金沢情報が盛り込まれている。
金沢住民でないのにけっこう引きつけられたから、地元人が読んだらかなり面白く、且つ入れ込んで読めるのだろう。
この類のミニコミ誌は、その街を旅行する人にとっては最高のガイドブックになりうるのではないか。地元人たちが面白いと思ったものが抽出された誌面には、他に向かって発信したい、しかも地元臭が漂う内容が満載なのだから。(宮崎)
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コメント
初めまして、宮崎のフォトメッセージマガジン『日向時間』の主幹やってます、藤木と申します。(主幹といっても、一人で作っているのですが・・・)
2行目に出てくる『日向時間』は、宮崎のフォトメッセージマガジン『日向時間』のことなのでしょうか?そ~だったら嬉しいな~と思いましてメールさせていただきました。(私のブログで紹介させてもらおうと思います。)
参考までによかったら、ご覧下さい!
『日向時間』ホームページ・ブログ
http://www.hyuugajikan.com/index.html
東京在住のプロの編集兼ライターの山本さんが書いてくれた書評です。すげー良いことが書いてあります。ピカ一。
http://reikoyamamoto.blogzine.jp/ynot/2006/05/post_f967.html
それでは、関東の方に台風が近づいているようなので、お気をつけ下さい。
突然のコメント失礼しました。ありがとうございました。
投稿: 『日向時間』 藤木です! | 2006年9月 5日 (火) 11時40分