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2006年9月14日 (木)

レバノンとイラクの悲惨を知らずに平気な恥知らず

早稲田、慶應義塾、明治、立教といった大学はまあ頭の良い子が進むだろう。首都圏の中高一貫私立高校の多くは進学校で中学受験もヒートアップしている。
ではそうした学校に通っている人が先般のイスラエルによるレバノン侵攻や、現在進行形のイラク人のテロなどによる大量死を知っているか問うた。100人以上にである。するとその大半が知らなかった。ヒズボラの何たるかを知らないのではない。レバノン侵攻そのものを、である。

もし日本で起きたら数年に一度の大事件として報じられるような大量死がレバノンで起きたしイラクでは毎日発生している。見逃すわけにはいかない人道上の基本知識であろう。かつてカントは倫理観は単に持ち合わせているだけでは意味がなく実践せよと説いた。ところが今の若者は「単に持ち合わせているだけ」がない。
当初「この人たちはなんとまあ・・・」とあきれかけたが、すぐに思い直した。彼ら彼女らに罪はない。そうした問題を教えたり伝えたりする大人が本当は悪いのだ。

そういえばマスコミや教育現場で伝えているとの反論があろう。現に私自身は新聞、雑誌、単行本、ネットなどから情報を得ている。そこから何らかの意味ある実践をしているかと責め立てられれば自信ないが少なくともヒズボラの何たるかは最低限知っているつもりだしイラクの現状には怒り心頭に発している。
だが現に知らない人が多数いるということは伝えているつもりで伝わっていないと答えるしかない。
私はテレビをほとんど見ないが多くの人はテレビから情報を得てもいよう。そしてテレビもまた上記の問題を報道していないわけではない。でも伝わっていない。なぜか。
ここで受け手の知的レベルに言及してしまったら送り手の自殺行為だから止す。要するに覚悟が足りないのだ。なぜ大問題なのか。イラクでは1日に何十人も死んでいるんだぞと知らせればいい。死体のヤマを映像や写真で流せばいい。1955年に惨殺されたエメット・ティル少年の無惨な死体写真が公開されなければ後の追及が続き人種差別問題がクローズアップされただろうか。残酷だとの抗議も来ようが残酷な事実が現に起きている以上ためらうのはおかしい。使い古された言葉だが残酷とのためらいは「偽善」と呼ぶしかない。

さらに深刻な疑問がある。メディアの非力はあったにせよ大人が子どもに口頭でも伝えていれば大幅に改善する。しかしそれをしない。残酷だから? きっと違う。おそらく伝える立場にある大人さえ知らないのだ。核心はここにある。「外交は票にならない」と政治家は平気でいう。これもまた恥知らずだが一面の真実を言い当ててはいる。票は20歳以上の大人が持つ。その人たちの支持が国際問題では引きつけられない。ということは興味がないからである。
興味のあるなしは個人の自由であるがレバノンやイラクで起きている大惨事に興味を持たないのは人非人だ。「人非人」とは嫌な言葉だが嫌な現実を言い当てるためにあえて使用する。
何度でも書くが今まさに我々と同じ人間が理由もなく大量に殺されているんだよ。

冒頭の子ども達(私の世代からすると子ども達なので)に戻ろう。一方で昨年当初の中国での反日デモや北朝鮮の拉致問題、さらにすでに5年過ぎた9.11米国同時多発テロは大半が知っていた。日本人に限らず自国が関わる問題がそうでないより数段興味を抱きやすいのは世界共通であろうからそれはいい。
考え込まざるを得ないのはそうしたテーマから人の死とか国際紛争はなぜ起きるのかという段階に進まず反日とかテロといったレベルで堂々巡りをしてしまう今日の状況である。東京裁判の細部を検討する人はいてもイラクのフセイン元大統領や旧ユーゴのミロシェビッチ元大統領が裁かれている法廷を知ろうともしない。米国同時多発テロの淵源をイスラエル・パレスティナ問題を素通りして探りうるとは到底思えないが場所すら地図上に指し示せない日本人が多数いる。子ども達が、ではない。この国の民すべてに、だ。

お前高いところから偉そうに説教してるな嫌なやつという反発も出るかもしれぬが、ここは譲らない。もしあなたがそう感じたとしたら私が高いのではなくあなたが低いのだ。しかも獣かバカかというレベルである。私とて十分に低い。胸を痛めつつも解決のための積極的努力はせず拱手傍観している。何かしようと思っても日々の雑事を優先させている。その程度の私の論説が「高いところ」に感じたらお仕舞いなのだ。

日本は島国だから海岸線より内側の国土の出来事だけを気にする風がある。身近であればあるほど大切な問題という社会心理学の初歩の状態に他愛なくはまってしまうわけだ。一方で海の向こう側が気になって仕方ない性分もある。それが大陸雄飛なんてテンションになるのも困りものだが今のように他愛ないはまり方をしているとダメ人間の巣窟になりかねない。
靖国問題を「国内問題に中国が干渉するな」と怒る。それで終わると他愛なくはまっただけ。そう怒った後に「ところで中国の方は抗日戦線勝利に導いた勇士をどう祀っているの?」とつながらない。つまらない脳細胞の並び方じゃあないか。(編集長)

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コメント

前半部分のみにコメント。

> レバノンやイラクで起きている大惨事に興味を持た
ないのは人非人だ。

怒られるのを承知で書きますが、私は中東情勢に特に
興味はありません。なぜなら彼(女)らは双方どちら
にもそれぞれの譲れない理由があり、それゆえに殺し
合っているのであり、その理由を本質的に理解できな
い異教徒の私としては「やりたいだけやればいい」
以上の感想を持つのはかえって無責任であるようにも
感じるからです。いくらテルアビブ空港で銃を乱射
したり英仏大使館を占拠したりしても所詮日本人は
当事者ではなく、それこそ偽善にすぎないのではない
でしょうか。

> 今まさに我々と同じ人間が理由もなく大量に殺され
ている

お高いところから説教とは思いませんが、ちょっと
ロマンに浸りすぎだと感じます。

投稿: 国家の犬 | 2006年9月15日 (金) 02時27分

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