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2006年9月22日 (金)

飲酒運転と新聞記者

朝日新聞甲府総局の27歳の記者が酒気帯び運転の容疑で甲府警察署に検挙されていたと報じられた。
武内健二朝日新聞東京本社編集局長のコメントは「飲酒運転による事故の悲惨さを伝え、紙面を通じて運転手の自覚を促している報道機関の一員として、情けないとしか言いようがありません。深くおわびいたします。私たち自身をさらに厳しく律し、社会的責務を果たしていきたいと考えています」とある。

まことにお気の毒というしかない。武内健二という人は知らないが記者上がりであれば私より年上であろうから忘れたとはいわせない。そう。あの頃を。

朝毎読の記者は採用されると一部の例外を除いて全国の支局(朝日は最近「総局」というが)に出される。華やかなりし時代は支局の警察回りでもハイヤーが使えたと先輩から聞いたが少なくとも私が入社した1980年代半ばからは自分の車を運転して取材をしていた。
私なぞ「あんな殺人兵器」と忌み嫌っていた自動車の免許を内定が出て取らねばならなくなった。もっとも会社が確か10万円を補助してくれたのはうれしかったけど。

さて支局といえば社内でも記者クラブでも夜は酒盛りというのが習わしである。夜な夜な飲む。これは仕事でもあり弁護士さんやらお巡りやら地検とも飲む。その場合は文字通り酔いつぶれた後でソースが何ごとかを漏らしたら落としてしまうので酔ったような酔わないような精神状態を保たねばならない。
嫌いだったのは社内での飲みだ。これは人によって違おうが私は嫌いだった。怒られるか自慢話かだし強制的だし……。これがトラウマになって学生時代あれほど好きだった「飲み会」は今や大の苦手である。したがって酒は家で1人で飲むようになった。
ただし最も嫌な理由は飲んだ後に短い距離とはいえ自宅まで運転しなければならぬ点だった。何しろ支局配属後1ヶ月経つか経たないかのうちに単独物損事故で車を大破させ、多少上達した後もアチコチぶつけて車をデコボコにしていた類い希な運転技術の持ち主だったからね。
警察署によっては事故で大破した車を証拠として署の駐車場に一時期とどめ置くのだが、その横にわが愛車が並んでいても全然見劣り?しない。多分共同の記者と記憶するが(あんたはハイヤーだったね)「毎日クラッシャーズ」と名づけてくれた。「ズ」という以上は複数だったわけだが相棒の件は名誉のために秘する。

であるから当然酒気帯びでの運転は怖いわけだ。しらふでも走る凶器のオレ様が……という自覚は当然あった。

まだある。「記者さんが酔って帰って寝ているから」という理由で殺人犯は柳刃包丁を振り下ろすのをためらったりはしない。したがって真夜中に電話やらポケベルやらで叩き起こされて現場に急行する羽目になる。場合によっては警察署に直行して状況を確認する。わかります? 酔っ払いが所轄に車で乗り付けてお巡りと会うんだよ。
今回の甲府総局記者の場合、報道から確認できる範囲では飲酒から約半日(12時間)経っている。夜半まで飲んで未明に叩き起こされたよりずっと醒めていたはずだ。

確かに時代が違う。わずか20年ほど前とはいえ万事おおらかで適当であった。それが厳罰となっていく風潮も一般論としてはどうかとも思う。ただし飲酒運転は別だ。少なくとも私は酒は好きだが酒気帯びの可能性がある前提での飲み会など以ての外と当時から腹が立っていた。特に当然視する先輩には。飲兵衛は酔った勢いで「オレは酔ってない」と飛び出すけれども、そもそもそれが酔っている証拠なのである。
きっと現代は私の時分と違って飲酒運転を避ける指導が新聞社でも行われていよう。だからそれを破った記者が最悪懲戒免職になるのも仕方がない。ただしそうするならば、というか飲酒運転禁止キャンペーンを張る以上は、かつての悪癖を反省する記事も合わせて掲載すべきであるし、それを踏まえての現在の取り組みをも各社紙面で紹介すべきだ。

「時代が違う」で片づけてはいけないのは新聞の戦前の戦争翼賛姿勢が戦後厳しく糾弾されたのと同じだ。おそらく新聞社ほど飲酒運転を前提とした業務態勢を取っていた業種は運転そのものを扱う仕事を除いてなかったはず。だから昔話をした。今も昔も飲酒運転の罪も危険も大きい。不幸中の幸いで大事に至らないまま幹部になっている記者上がりも大勢いようよ。いや実は……という過去に傷がある人だっている。逃亡兵の私でさえ何人かは実名を挙げられる。そうした者は一度過去に立ち返って身震いして反省しなければ脇の甘さが組織に永遠に残るであろう。
増してそうした枠組みであるのを知りながら飲み会を主催して嫌そうな後輩や部下を引き連れて「今日はオレのおごりだ」と風を吹かした者、さらにはそうだったとの認識さえ当時でもなかった者、そうだったと忘れている者、皆が思い出さなければならない。築地だけではない。大手町も竹橋も同じだ。
気高き当ブログ読者の皆様も今後の紙面に注目していて下さい。私見ではこの過去を率直に謝罪した新聞が最も良心的と判断していい。(編集長)

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