ハンカチ王子に我ら「もてない男」は嫉妬する
私は「東洋太平洋もてない男連盟」の会長である(会員1名)。齢43に至るまで一度ももてたことがない。したがって「もてる男」は入金して下さるお客様を除いて敵である。8月になって新たな敵が登場した。早稲田実業野球部の斎藤佑樹投手=ハンカチ王子だ。
私はハンカチ王子と監禁王子(懐かしい)の区別がつかない・・・・はずはもちろんないが被るものは感じる。それは両方とも「もてる」点だ。
私は汗かきなので夏はハンカチどころかタオルを持ち歩いてヒマさえあれば頬に当てるどころか顔中を拭いている。ハンカチ王子より数段上のパフォーマンスといえよう。ところがそれで一度たりとも「素敵!」と言われたことがないどころか冷たい視線すら感じる場合がある。「汗拭いてんじゃねえよ」みたいな。オレが汗拭いて何がおかしい。電車の空席に座ってタオルを用いていたら隣席の女性が逃げていった経験もある。タオルをもっていなくて汗ダラダラで着席して逃げられたこともある。何か。私は汗を拭いても噴いてもダメなのか。誰が決めたそんなこと。聖書には書いてないぞ
私は「生徒」と呼ばれる未成年のみぎりより野球部やサッカー部の者たちを敵視していた。同時に彼らを持ち上げるマスコミも嫌いだった。何だか自分は「青春の傍観者」のように位置づけられているようで。それが何を血迷ったのか長じて新聞記者となって高校野球の記事を書き連ねた。生涯消せない汚点である。
私は同じ人気者でも亀田興毅君は許そうと思う。ハンカチ王子が出てくるまでは批判的だったが今は違う。亀田君は口の利き方も態度もなってなくてバッシングされている。よいではないか。ハンカチ王子は言動さえいちいち爽やかである。亀田君は疑惑のチャンプだがハンカチ王子は正々堂々だ。亀田君は次に負けたら後がなさそうだがハンカチ王子は希望すれば早稲田大学に進学確実という。早稲田といえば私が進んだ青山学院より上とされている大学だ。
私はちゃんと受験勉強をしなかったから青学にはよくぞ拾ってくれたと感謝している。とはいえ「もてない男」の習いとして勉強はそこそこはできた。その上を内部進学でスッとハンカチ王子は抜けていく。
私は亀田君のように申し分のある人気者ならば我慢ができる。だがハンカチ王子には申し分がない。そこが耐えがたい。許せない。もちろん斎藤投手に何も瑕疵がないのはわかっている。だから怒りをもっていく場さえないのだ。
私は前に書いたように高校野球の取材をした。その際に選手になぜタオルやハンカチをプレー中に使わないのかを尋ねたことがある。理由は投手の場合は不正投球を疑われる危険があるからだった。これが統一見解かどうかは知らない。だがハンカチ王子には許されている。なぜかというとハンカチ王子が不正投球をするはずがないからだ。なぜそう言い切れるかというとハンカチ王子だからだ。これってトートロジーだよね。論理的には破綻しているはずだ。なあんて小賢しい東洋太平洋もてない男連盟会長の主張など誰も聞かない。
私は版元の経営者である。これでもかこれでもかと小誌や小社発行の単行本を宣伝しても築くのは巨万の冨ではなく在庫の山だ。なのにハンカチ王子が使ったというだけで当該ハンカチは売り切れという。何という不公平。これを格差社会というのではないかね。そんな私が「再チャレンジ」する余地がどこにあるのか。教えて下さい安倍晋三さん。おっとあなたも「もてる男」だった。聞くだけ無駄だ。
私は当ブログで「万国のもてない男よ団結せよ」と以前に書いた。ハンカチ王子という新たな敵の出現で我々は存続の危機にすら瀕していると自覚しなければならない。
私は生きている。ということは生まれたのだ。最近はそのことすら時折忘れる。生まれたということは生んだ父母がいる。その父が生まれたということは父を生んだ父母がいたからだ。ということは・・・・とさかのぼると要するに太古の昔から余裕だったか際どかったか、積極的だったか嫌々だったか、どうもいずれも後者のような気がするものの、いずれにせよその男の子を生んでもいいと了解した女性が代々存続した証左である。これを「実存」というとはサルトルはいっていないが私は声を大にしていいたい。
私はゆえに私と同じ不遇をかこっている「もてない男」に訴える。ここまで途切れずに来たのだ。すごく低レベルではあってもオレ達もまた万世一系だったのだ。誇り高き系統の最先端なのだ。それを当世の「もてる男」に阻まれてなるものか。同感の声よ充ち満ちよ。(編集長)
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