« 恋愛小説で殺伐とした人生を実感する | トップページ | 亀田に怒った具志堅用高の真意 »

2006年8月 3日 (木)

北朝鮮の何が脅威なのか

畠山鈴香容疑者の逮捕・取り調べと北朝鮮の「7連発」の時期が重なったせいか鈴香容疑者と金正日総書記が「何をしでかすかわからない」という点で重なって仕方がない。ミサイルの発射ボタンを鈴香容疑者が押したのか、自分の子どもを金総書記が橋から突き落としたのか区別がつかない自分がいる・・・・わけないか。ネタにしようとしたけど。

その「7連発」だがウヨさんを中心にギャーギャー叫んでいるが、そもそもそんなに恐れる必要があるのだろうか。
・・・・なんて書くと「やっぱりお前はサヨか」と何百回もされた突っ込みを入れられそうだが、いいたいのはそうではない。過去の日本人に比べて憶病になってるんじゃないかとの疑問があるのだ。

1949年にソ連が核実験に成功。1951年に日米安全保障条約締結。この最初の安保条約は事前協議も随時協議もなく、アメリカがその気にさえなれば勝手に米軍基地から米軍が「極東」のどこかと一戦交えることができた。日本がソ連との戦争状態を一応終えたのは56年だからソ連が対日参戦(1945年)してから11年間、日ソは交戦国のままであり、49年から8年間は核兵器をいつ繰り出されるかわからない関係にあり、51年安保条約から6年間は米ソ冷戦の真っ直中でメチャクチャ危険な状態・・・・のはずだった。
いかも91年のソ連崩壊まで日本は基本的に冷戦構造の一角にあった。実に42年間、日本は旧ソ連の核に脅えていた・・・・はずだった。

1964年に中華人民共和国が核実験に成功。日本は1937年の日中戦争開始から72年の日中共同声明で「不正常な状態」が「終了」するまで中国大陸にある国家と実に35年間交戦状態を続けた。64年から72年までの8年間は、その交戦国が核を持っているという状態にさらされて恐怖のどん底にあった・・・・はずだった。

つまり日本は戦後の非常に長い時期に中ソ両国の核に恐れおののいて暮らしていた・・・・はずだった。

おわかりであろう。「はずだった」期間に大多数の日本人は復興から経済成長へとひた走って福田赳夫をして「昭和元禄」と言わしめた繁栄を謳歌していたのである。ごく客観的に考えて当時の中ソの方が今の北朝鮮よりはるかに強大で威圧感があった「はず」なのに。
謳歌できたのは安保のお陰だという人がいる。だとしたら今も変わらない。憲法9条のなせる技と訴える向きもある。だとしても今も同じだ。

言っては悪いが旧ソ連のスターリンやブレジネフ、中国の毛沢東や周恩来と金正日総書記では役者が違う。月とスッポンだ。どっちが月かって? 言うまでもない。
月がぎらついていた時よりもスッポンの挙動にびくつくのはなぜだろう。まだ北朝鮮は核を保有して爆発実験に成功してはいない。この時点で中ソよりも弱い。逆に日本列島をほぼ射程にするノドンミサイルは1993年の試射でわが国に届くのはわかっている。ゆえに今になって騒ぐ理由はない。
だいたい「7連発」はわが国を狙ったのであろうか。もし列島に落下したら相当な被害が出たであろうし、そりゃあもう戦争だ。だがしそれは同時に重い腰の米軍を立ち上がらせる。将軍様はアメリカと交渉したいのであってアメリカ軍と交戦したいのではないはずだ。

北朝鮮との問題には拉致がある。拉致問題よりも核問題の方が重要だという意見に私は与しない。国民の生命や財産が外国によって1人でも脅かされたら場合によっては存亡をかけて戦うのが国家の宿命だからだ。したがって拉致を軽くして核を重んじるのはおかしい。むしろ現在のマスコミの扱いは拉致が相当で核を軽く見過ぎている。
前述のように日本は実は長らく核の現実的脅威にさらされていた。でも大丈夫だった。近年めっきりと「唯一の被爆国」とのフレーズも聞かれない。おおよそ「加害責任」との言葉が横溢し出した頃からの傾向だ。加害責任を痛感すべきだから「唯一の被爆国」は強調すべきでないとの雰囲気もおかしな話。「拉致と核」と同じで両方とも重要なのだ。

「唯一の被爆国」を次第に忘れ、核保有国からの攻撃もないまま冷戦が終結して相当な年月がたった。こうした事実から日本人は何となく核攻撃はないような気がしてきているとしたら。例えば「横田めぐみさん生還」と「北朝鮮が核開発放棄」のニュースがあったとしてどちらが大騒ぎになるかというと前者であろう。
繰り返しになるが前者が大ニュースになるのは当然である。断じてめざすべき国家目標とさえ呼んでいい。問題は後者が前者ほど話題になりそうもない点だ。

現在の北朝鮮は恐くも何ともない。というか中ソとの冷戦期を平然と乗り切ったわが民族が彼のちっぽけな男に率いられるちっぽけな国を恐れるのは恥である。だが核開発だけは見逃せない。少なくとも現在の拉致問題と同程度に騒ぐべきである。冷戦期に核が炸裂しなかったのは偶然の産物にすぎない。恐るべきでないを恐れ、恐るべきを恐れないは本末転倒だ。

閑話休題(閑話だったのか!)。小社は北朝鮮に似ている。サヨに見えて実は単なる弱小独裁組織というところがね。その弱小版元がノドン発射並みの勇気で出した『誰も知らない靖国神社』を買って下さい(臆面ゼロ)。テポドン並みの蛮勇で増刷してしまった。これが打ち上げ失敗となると私の独裁が揺らぐ。それはイコール小社の滅亡になる。どうですか。可哀想でしょ!今すぐ買わないと大変なことになるのです。
小泉さん。8月15日に参拝して下さい。中韓よ。大騒ぎして下さい。「ラストサムライ」安倍晋三さん。参拝は秋の例大祭にしていただけると本の寿命が延びて助かります。おっとその前に総裁選の争点は靖国でお願いします。・・・・・もちろん冗談です・・・・と言い切れない自分がいるような。(編集長)

|

« 恋愛小説で殺伐とした人生を実感する | トップページ | 亀田に怒った具志堅用高の真意 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

> 現在の北朝鮮は恐くも何ともない。

冷戦時代のソ連は怖い相手ではあるが、その思考はある程度予測がつき、その意味では信頼関係があったといえるでしょう。
しかし現在の北朝鮮の、日本人には理解できない非論理性は、何か得体の知れない化け物のようにしか見えず、信頼なぞこれっぱかしもできません。誰が見ても撃たない方が得なのにあえて撃つ、そういうところを見てみんな騒いでいるのではないでしょうか。それからもう一つ、朝鮮総連という北朝鮮の工作機関が日本にがっちり根を下ろし、多くの人々が取り込まれている、という事実も危機感をあおっているのでしょう。まあ、

> 将軍様はアメリカと交渉したいのであってアメリカ軍と交戦したいのではない

という部分には同意ですが。なお、ゴルゴ13は「俺はウサギのように臆病だから生き残ってきた」という趣旨の台詞を吐いていたことを申し添えます。

投稿: 国家の犬 | 2006年8月 3日 (木) 01時51分

>その「7連発」だが、そもそもそんなに恐れる必要があるのだろうか。過去の日本人に比べて憶病になってるんじゃないかとの疑問があるのだ。

発射方向や着弾点を捉えれば、それほどの脅威ではない・・・と言えなくもありません。しかし前回はミサイルが日本上空を通過したのに何も出来なかった事を考えると、今回近隣諸国(正しくは敵国)の行動に対し抗議した事は、むしろ正常な反応が日本にも出来たと言えるでしょう。
また冷戦時の仮想敵国は軍事政権の独裁者ではありませんでした。どんなミサイルを撃ったかも大切ですが、今回は誰が撃ったかが問題とされているのですよ。なんせ味方であるハズの中国・韓国の説得にも応じないのですからね。
ウヨクは臆病だから騒いでいるのではなく、「話し合いで全て解決出来る」と主張し続けてきた馬鹿サヨクを批判しているんでしょう。「ミサイルが飛んで来ている現実を目の当たりにしているのに、いつまでお花畑にいるつもりなんだ」とね。

>まだ北朝鮮は核を保有して爆発実験に成功してはいない。この時点で中ソよりも弱い。逆に日本列島をほぼ射程にするノドンミサイルは1993年の試射でわが国に届くのはわかっている。ゆえに今になって騒ぐ理由はない。だいたい「7連発」はわが国を狙ったのであろうか。

核兵器の保有は、爆発実験に成功しなくても中国・ロシアから武器輸入すれば良いだけのこと。独自開発する必要はないのではないですか?とすれば、核を搭載出来て射程が長いミサイルを持った反同盟国の近隣諸国がそれを発射すれば、騒がない事の方がどうかしてます。
今になって騒ぐのはおかしい・・・という指摘は正しいのだが、当時の内閣は媚中派ばかりだったので、あの時代に何も騒がなかったほうがおかしい・・・と指摘させて頂きたい。
また日本を狙ったのではないとすれば、じゃあどこを狙ったのか?着弾点からすれば日本・中国・ロシアが考えられるが、日本以外は北朝鮮を支援している、いわば同盟国です。
現実にはどこも狙っておらず、ミサイルの脅威を示す事で譲歩を引き出したかったのでしょう。しかし現在の内閣は嫌中派なので期待した結果にはならなかったし、テロとの戦いを認識した世界各国もまた恫喝に譲歩する愚かな選択をしませんでした。

>現在の北朝鮮は恐くも何ともない。

北朝鮮の怖さは、例えて言うなら訓練を積んだ軍人のような怖さではなく、精神が錯乱した麻薬中毒患者のような怖さでしょう。世界情勢が読めず味方の説得にも応じない独裁国家は何を考えているか分からないので、十分怖いですよ。

>核開発だけは見逃せない。少なくとも現在の拉致問題と同程度に騒ぐべきである。

これは日本のマスコミにとって「どちらが騒ぎやすいか」の結果だと思います。
日本は拉致を行っていないので、堂々と拉致の非難が出来ます。一方、核問題となると「核兵器はないが原子力発電所はあるじゃないか」「日本はアメリカの核の傘の下にいるじゃないか」とサヨク市民が騒ぎ出し、民主党のように政府批判に転換する輩が出てきますからね。

>恐るべきでないを恐れ、恐るべきを恐れないは本末転倒だ。
ここは同意します。本当に脅威なのは中国。そして同盟国の立場なのに反対運動を展開する韓国です。北朝鮮は怖いですが、その力は知れています。むしろ独裁国家を支援し、反日を煽る中国と韓国。そして彼らに媚びるサヨクには、北朝鮮以上に警戒する必要があるのではないでしょうか?

追伸:今回のエントリーはいつもより柔らかですね。結論は私とそう代わらないと思うのですが。

投稿: やや右より?のベル | 2006年8月 3日 (木) 11時48分

いまの北朝鮮を「理解」することはそれほど難しいことではない、1945年までの日本が理解できるならば。
金正日体制の基本部分は国体護持で理解できる。ニセドルや覚醒剤で裏金をつくるのと同様のことはかつての日本軍がやっていたことだ。たしかにミサイルと核と来れば、パニック症の大衆にとっては「気違いに刃物」とばかり、不安をかき立てられるのだろうが、ミサイルに装着して核攻撃が可能な技術を獲得しているかどうか、専門家に聞いてみるがよい。イスラエルなどの方がはるかに恐ろしいくらいのことは誰でもわかる。
まあ、ミサイル七発に興奮している様は、まるでたった四ハイの蒸気船に興奮しまくった人々に似ている。小生としては、あの川柳をものしたくらいの町人の胆力は持ちたいものだと思いますわ、呵々。(かの作者がサヨクだったとは思わぬ、ものがよく見えただけの町人だったと思う)
せいぜい、北朝鮮ネタで大騒ぎなさい。市井の民とはそうしたもの故。

投稿: 滴水 | 2006年8月 4日 (金) 00時42分

あの・・・・コメントまでつけていただいた気高き読者の皆様。大変恐縮ですが「閑話休題」以降の宣伝に関してはいかがでしょうか(切実!)

投稿: 月刊「記録」編集長 | 2006年8月 4日 (金) 01時09分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 北朝鮮の何が脅威なのか:

« 恋愛小説で殺伐とした人生を実感する | トップページ | 亀田に怒った具志堅用高の真意 »