« 騒音と靖国 | トップページ | コンビニの納豆巻きは好きなんだけど…… »

2006年8月22日 (火)

亀田興毅と安倍晋三の類似10点

このお二人さんは似てないか。

まず過激発言で名を売った点。亀田君は下品に、安倍官房長官はソフトにという違いはあるが、よく聞くと安倍氏の「制裁」「圧力」「核武装」「先制攻撃」云々は亀田君の下劣だが無邪気な内容よりもはるかに怖ろしい。なお自分よりも弱い相手に対して過激発言を放つという点では両者共通する。それが巧みなパフォーマンスになっているのも含めて。

第二は、にも関わらず実はチキンではないかと疑われる点だ。亀田君が世界王座戦でダウンを食らった時に見せた怯えの表情を安倍氏の「こっそり靖国参拝」がわかった際に思い浮かべるのはたやすい。あれだけ靖国参拝を公言していたのに「こっそり」はなかろうよ。
小社近著『誰も知らない靖国神社』では昨年8月15日の安倍氏の参拝を次のように表記している。

午前10時40分。靖国参拝の急先鋒、安倍晋三自民党幹事長代理(当時)が到着殿に姿を現す。首相を除けば最大のスター登場に本日、最高の盛り上がりを見せ、姿をカメラに捉えようと各社殺到。英霊の前でほとんど肉弾戦の様相を呈す。
午前10時50分。参拝を終え出てきた安倍議員に記者が殺到。ついにロープを飛び越えて取材する者が現れ、「ルール通りにね、ルール通りにー!」と叫ぶ神社関係者の声もむなしく、到着殿前は大混乱となる。スター安倍はさすがにスターだった。記者のために脚をとめ、数分の取材に答え、手を上げて車に乗り込んでいった。さすが。目立つ位置、そぶりを考えている。これもスター安倍の才能かと感心する。

とまあ視線がもっぱら「チャンピオン小泉」に向いていた当時は格好つけていたのに自らがチャンプになる可能性が出てきた途端にウヤムヤにしちゃうなんて。良し悪しは別にして公然とファイティングポーズを取り続けた小泉首相とは腹の座り方が違う。「心臓が弱い安倍晋三」は本当なのかも

第三に功績はあるにはあるという点を挙げよう。亀田君は「ザ・男の世界」だったプロボクシングを女性や子どもにまでPRした。安倍氏も冷淡に扱われていた北朝鮮への拉致被害者の立場から支え続けた。何の理由もなく人気者になっているわけではないのは認めねばなるまい。

第四は若さが売り物との類似性。亀田君はまだ未成年である。安倍氏の年齢も首相になるには若い。若さには無限の可能性を感じさせる力がある半面、経験不足からくる弱点もある。だが2人とも後者を上手に覆い隠して若さの肯定的なイメージで女性や各分野での「若手」の支持を集めている。

第五は第四の「上手に覆い隠」す術についてである。いわば「人工的に作り上げた実績」で大人物かもと大向こうに期待させる経歴が共通している。亀田君の過去の成績は今さらいうまでもない。明確に強豪といえる対戦者は見当たらないまま実績らしきを積み上げていった。安倍氏の自民党幹事長→幹事長代理→官房長官という経歴も庇護者である小泉首相からの宛がい扶持であるのは明らかだ。
自民党幹事長というのは要職だが選挙の顔という側面が強かった。官房長官は内閣のスポークスマンで露出は多いが戦前は閣僚でさえなかったポストであり、現在も「大臣」ではない。もっとも「大臣」を経験した人は立派かというと大いに疑問だが1つの巨大組織を運営した経験にはなる。安倍氏にはそれがない。経験不足・傍流」といわれた小泉首相でさえ大臣経験はある。

第六に親や兄弟などの属性がやたらと出てくるところが似る。亀田君も3兄弟が売りだし、何といってもパパがセットになってくっついてくる。亀田君は例の世界王座戦の後に「親父ありがとう。お母さん俺を産んでくれてありがとう」と叫んでいた。亀田パパの露出は本人がチャンピオンになったが如くである。
一方の安倍氏もことあるごとに「祖父の岸信介は」とか「父の安倍晋太郎の無念を」などという。弟を国会に送り込む手助けもした。
本来世界チャンピオンや首相といった地位にある者は属性ではなく本人の器量ではかられるのがすべてであるべきではないか。親兄弟は尊いにせよファンや国民にとっては私的な関係にすぎない。それを武器にして世間の紅涙を絞るようなあざといマネはなかなか普通の人にはできない。亀田君は坊やだからそうなってしまうのもやむを得ないが50を過ぎた安倍氏が利用するのはちょっと。
もっともそれで紅涙を絞られてしまう側にも十分に問題があるわけだが。

第七に両人とも強力なプロモーターがバックに控えていることを示そう。亀田君の場合は協栄ジムの金平桂一郎会長で安倍氏は小泉首相だ。ともに属する世界で強力な足場を持ち、庇護者になれば他はなかなか太刀打ちできない。

第八はマスコミのヨイショ。亀田君は「作・演出TBS」である。安倍氏に至っては全マスコミがヨイショして回るから困ったものだ。特に民放地上波の恥も外聞もない持ち上げにはがく然とせざるを得ない。

第九にインチキ王座戦の存在がある。亀田君の例の試合は説明不要であろう。安倍氏は今年9月の総裁選への出馬が確実だ。自民党総裁は現状の衆参両議院の議席から考えてイコール首相となる。要するに王座だ。したがって総裁選は王座戦なのだが相手は金平会長でさえそんなマッチメークはしないぞというぐらいの「かませ犬」である。
対抗馬(らしい)谷垣禎一財務相も麻生太郎総務相も大臣すら辞めていない。安倍氏は小泉首相の庇護を受けていて小泉路線の継承を基本的にうたうから辞任の必要はないが、谷垣・麻生両氏は対立軸を示さなければ戦いにならない。小泉路線継承の対立軸はどうしても小泉批判に踏み込まざるを得ないが2人ともその内閣の閣僚のままだ。いわば東洋太平洋のベルトをしたまま王座戦に臨むような形で戦意なしは明白である。
亀田君の世界戦に比して安倍氏の総裁選に批判が出ないのは亀田君の試合はリアルファイトであるべきと観覧者が信じたがゆえである。対する総裁選はプロレス程度にしか思われていないから。WBAとIWGPのベルトの差というところか

そして最後。亀田君も安倍氏もインチキ王座の後生は祟ると予告しておこう。現に亀田君は急速にヒール化している。「空白の1日」事件で一夜にしてヒーローからヒールになった江川卓元巨人軍投手と似ているが江川投手は実力自体はあった。亀田君もいつまでも先の王座戦みたいにはいかない。すると若くして王座になった分だけ後の人生設計は厳しくなるだろう。現に具志堅用高白井・具志堅ジム会長が刺客を放つようだし。もっともこの構図もまた仕組まれているかもしれぬが、この件は大畑が書きたがっているので触れないでおく。
安倍氏の場合は来年の参議院選挙で本当の王座戦が待っている。相手は小沢一郎民主党代表。
小沢氏は具志堅用高そのものだ。彼が首相をしのぐ権力をふるっていた時代があったのは周知の事実である。しかも「亀田-具志堅」と「安倍-小沢」はそもそも同じジム・政党に所属していた経緯もある。
政界はボクシング界と違って現役期限が長い上に小沢氏自身が驚異的に長い賞味期限の持ち主だから亀田vs具志堅戦が政界では来年見られるわけだ。しかも亀田戦と違ってジャッジは国民が下す。調子のいい話が続くのか、そうは問屋が卸さないのか。天網恢々疎にして漏らさず。(編集長)

|

« 騒音と靖国 | トップページ | コンビニの納豆巻きは好きなんだけど…… »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

多かれ少なかれ、多少とも目の利く人ならば、この両者の類似性、就中、玄人筋からは疑問符、素人筋からは盲目的支持という点など、お説のとおりです。
一昔前なら、三菱予備校、成蹊大出の宰相候補など考えられなかったでしょう。パープリンのミーハー族には、裸の王様も、立派な皇帝に見えるのでしょう。いい時代になったものです。呵々。

投稿: 滴水 | 2006年8月22日 (火) 00時41分

滴水さん
まあ成蹊云々はオーバーランってことで
私は学歴をまったく信じないとか、私自身がしょせん青山学院とか小理屈はあるのですが何より成蹊云々をやっちゃうと「森喜朗前首相は早稲田だ」という目を背けたくなる事実から目を背けられなくなるというのが痛い
確かに彼の場合は「申し分のある早稲田」のようだが申し分があろうがなかろうが早稲田は早稲田ですからねえ
それ以外は大賛成。最近は安倍氏を持ち上げていた雑誌まで「どうよ?」みたいな記事を掲載しはじめました。変人首相の後が亀田首相というのはあんまりだから。
にしても日本人って確か1億人以上いるんですよね。何で亀田首相しか選択肢がないのでしょうか

投稿: 月刊「記録」編集長 | 2006年8月22日 (火) 02時22分

「先制攻撃」について
「限定的な攻撃能力を持つことは当然」と言ったのは額賀
防衛庁長官で、安倍氏の発言は「検討、研究は必要だ」
であると報道にはありました。ここからいきなり安倍氏が
先制攻撃を主張しているかのような読み取り方をするのは
かなり無理があるのではないでしょうか。そもそもどう
読めば先制攻撃という話になるのか理解できません。
いくら自民党が嫌いだからといってこういう無茶な
記載は著しく説得力を減退させることになると思うの
ですが。

投稿: 国家の犬 | 2006年8月23日 (水) 01時13分

「国家の犬」さんへ
「先制攻撃」云々は記者懇で出た話を聞いて
まあこの文脈でいいだろうと判断しました
ただし完オフの発言であり
私がその場にいたわけでもないので
軽率のそしりは甘受します
情報源を明記すれば多少は納得いただけるかと存じますが、それはできないので「編集長反省する」というところでご容赦を

投稿: 月刊「記録」編集長 | 2006年8月23日 (水) 03時34分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 亀田興毅と安倍晋三の類似10点:

« 騒音と靖国 | トップページ | コンビニの納豆巻きは好きなんだけど…… »