奥津裕美から・『誰も知らない靖国神社』発売にあたって
8月1日、いよいよ『誰も知らない靖国神社』が刊行されるようで、編集部から宣伝記事を書くよう言われました。
なので、ここはひとつ厳かかつ、真剣に原稿を書こうと思います。私ももう25才ですしね。
私が「記録」編集部に入ったのは20才。この連載を持ったのはその約3ヶ月後のピチピチの21才。前職の栄養士をいともあっさり辞め、憧れのマスコミ業界……への転職だったのですが、入った先は棘の道。修羅の道。
編集長から「やらないか?」と言われたのですが、本当のことを言うと、「は!?靖国って何ソレ!?」という感じでした。
あんまりやりたくなかった……のですが、すぐに私の頭の中の消しゴムがそんな気持ちをすぐにイレースし、持って生まれた好奇心の塊が心を揺さぶり、最初の気持ちなんてどこへやら、憧れのメガネ男子から交際を申し込まれたときのような勢いで引き受けてしまいました。
ライター歴が3ヶ月しかなかった当時の私には、「靖国神社」という連載はとても辛く、毎月締め切り前は、胃がキリキリ腸がゴロゴロ、踏んだり蹴ったりな日々。徐々に連載じたいおもしろくなってきたし、引き受けちゃったんだから仕方ないというわけで、知識をつけるために書店に並ぶ靖国関連本はすべて買い込み、雑誌や新聞に載っている記事はすべてに目を通す。ない資料は図書館へ。そして靖国に毎月足を運び、そのたびに参拝(願いは基本的に恋愛関係)とおみくじを引き、常に関心は靖国にありました。今でこそ、たくさんの関連書籍、記事がありますが、2002年、03年頃はとても少なく、資料集めがとても大変でした。
過去の記事を読み返すと、ほぼ毎回、私の個人的な出来事を書いていて、少し恥ずかしい。馬にウンコされたとか、凛とした女性になりたいと言ったそばからマンホールに足滑らしてこけたとか、平和について考えながらドラゴンボールZの再放送見てるだの……。
とはいえ、やっぱりその記事ごとに当時が思い出されて、それはそれで甘酸っぱい気分になったりもします。クリスマスイブ取材後は先輩とラーメンを食べたり、みたまつりに一人で行って鬱屈してみたり、食べ物企画の時は病気になり泣きながら「ムリです。今アセロラジュースも飲めません~」といってみたり……。
思えばこの4年間で、彼氏と別れたり、結婚したり、海外に移住したりといろいろありました。この本は、私にとっては「靖国神社@奥津裕美グラフィティ'02~'06」でもあるとてもメモリアルな一冊ですが、読者諸氏にはどう写るのでしょうか。タイトルで引く方もいるかもしれませんし、内容のふざけ加減にキレる方もいるかもしれません。ですが、私が言うのもなんですが、この本すごくおもしろいと思います。ホントに。
これまで発行されたどの靖国関連書籍の中でもダントツの脱力感と読みやすさ、そして手に取りやすさ。売れ線要素のすべてを兼ね備えていると言っても過言ではないです。書店で見かけたら是非手に取って、即レジに持って行って頂いて、家に帰って読んでください。のどごしスッキリ、読後感サッパリ間違いなし。というわけで、『誰も知らない靖国神社』よろしくお願いします。
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