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2006年7月19日 (水)

小誌から有名作家登場か!?

Photo_26  書誌で連載をお願いしている塩山芳明さんが、自著・『出版業界最底辺日記 エロ漫画編集者「嫌われ者の記」』(ちくま文庫)を編集部に届けてくれた。1996年に刊行された単行本に最近の日記を加え、ちくま文庫から出版したという。
 いや、めでたい!
 98年4月号から連載をお願いしいたから、もう8年ものお付き合いになるが、もっともっとメジャーになり小社からも売れる本を出版してもらいたい、と陰ながらというか公然と応援している作家の方なのだ。

 しかし彼の書評となると、ちょっと難しい。
 ほめたら「何言ってだ。嘘くさいこと書きやがって」と怒られるだろうし、けなしたら小誌よりもこのブログより、はるかに影響力のあるホームページなどで徹底的に反撃されるだろう。その一方で塩山さんに「イジラれたい」てな願望もあったりするから困る。
 かつて塩山さんの編集している雑誌で、私の声がひっくり返る様子を「飛行機野郎」と書いてくれたことを思い出した。これがけっこう気持ちイイの。何でだろう。罵詈雑言が嬉しい。
 塩山さんに「これだけ悪口を書いていて、名誉棄損で訴えられませんか?」とたずねたことがある。それに対して「いや、大丈夫だよ。文句言われたことないから。コツがあるんだよ」と答えてくれた。たしかに「コツ」があるのだろう。本書でも、どの伝統芸のごとき罵詈雑言は健在だ。例えば飯田橋近くにある立ち食いそば屋について、次のように書く。

「もう一つの魅力が、男女を問わぬ従業員の質だ。全員眼光が鋭く、喜怒哀楽の表情変化が瞬時。控え室のロッカーにゃ、絶対貴重品は置けない雰囲気だ。経営者が、更正事業に理解を!? 今日も帰り際、ガラス戸を磨いていた白い割烹着のおばさんが『ありがとうございます!』言葉と裏腹な目付きに既視感」
 こんなそば屋あるよな、と笑った後に思った。スゲェー! よく見ているよな、と。

 日記であるから、そこに描かれているのはエロ漫画編集者としての日常生活と、大量の本(ディケンズや花田清輝を読みながら『日刊ゲンダイ』、『週刊新潮』、『AERA』などなどの雑誌・新聞まで目を通すらしい)と映画の映画の批評が満載となっている。
 もちろん通常の文芸批評の枠組みに収まるような書き方ではない。
 例えば『壊色』(町田康 著)については、「二章の『まだ時間どおりに来やがらぬ』は傑作。チンポの皮を根本までむかれ、天日干しされてる様な、ヒリヒリする面白さ」と。
 やっぱりスゲェー! ほめてるのにコレかよ(笑) 

 出版界の最下層と自らが呼ぶエロ漫画編集者の筆は、笑いとともにあらゆるモノを斬りつける。特に権力者には手厳しい。ただし本気で怒らせない程度に。
 弱者がケンカを売るのはけっこう怖い。自ら小さな出版社で働き、社会問題系(?)の月刊誌の編集部に所属しているから、その怖さは身にしている。そんな怖さを振り払い、自ら編集するエロ漫画やホームページで罵詈雑言を浴びせる塩山さんの姿に、正直ちょっと惚れちゃったりしているのかもしれない。
 こんなこと書いたら「気持ち悪いよ!」と怒られそうだが……(もともとゲイには人気らしいしwww)。

 でも、今回は怒られてもいいのだ!
 徒手空拳で独り筆をふるってきた男の本が、川端康成や金子光晴の本と一緒にちくま文庫に収まったんだから。売れたらウチの原稿も売れる本に化けるしな!(大畑)

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