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2006年7月16日 (日)

日曜ミニコミ誌! 環境NGO発・行動する人たちの声を聴け

Tane 『種まき』は環境NGO「A SEED JAPAN」がその活動をより多くの人に知ってもらうために作っている冊子だ。
1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで行われた環境と開発に関する国際会議「地球サミット」に若者の意見を届けるため、世界で約50ヵ国70団体がまとまり「A SEED国際キャンペーン」が行われた。「A SEED JAPAN」はその日本の窓口として91年に誕生した。以来、環境問題を中心に活動を続け、今日に至っている。

実際にどんな活動をしているかといえば、例えば「ごみゼロナビゲーション」である。94年から毎年行っているものだから中心となる活動のひとつといっていいと思うのだが、これは一般からスタッフを募集し、「フジロックフェスティバル」のような大規模な野外イベントで環境対策活動をし、ごみゼロを目指すというものだ。私はまだ「フジロック」に行ったことはないが(そのうち行きたいと思ってるんです)、「rockin'on JAPAN」に毎年フジロックの特集が組まれているのを目にしているから雰囲気は何となく分かる気がする。野外イベントで次々とアーチストが現れ、右手を突き上げたり激しくバンクする群集を横目にせっせとごみゼロを目指すスタッフたちの姿を想像すると(あくまでイメージだが)シンプルに「エラいなー」と思ってしまう。エラいなーとは思うが、では自分が早速その活動に参加しようと思うかというと、正直いって思わない。なぜかというと、今風の言葉でいうと金銭のみではなく時間的、体力的な「コスト」がかかる、要するに生活との折り合いがつかない。得るものはそりゃあるだろうが(ん?では折り合いがつけば参加するのだろうか?)。
しかし! 『種まき』編集部の鈴木さん(A SEED JAPAN 事務局長)によると、そんな低くないコストを承知の上でなんと年間1500人という膨大な人数がごみゼロ活動に参加しているらしい。まさかこんなに集まっているとは思わなかったからさすがに驚いた。フジロックなどのフェスに参加できるという理由から活動に加わる人は多いが、参加してもらったスタッフたちにはしっかり「エコの考え」を持ち帰ってもらうのだという。

「A SEED JAPAN」にはごみゼロのような手の届く範囲の活動以外にも、さらに巨視的なアングルで環境問題を捉えようという意識がある。『種まき』の誌面にはそれがよく現れている。
4月号の特集「今さら聞けない?環境問題」ではごみ問題、森林破壊問題に触れているが、メインとなっているのはWTO(世界貿易機関)やIMF(国際通貨基金)、ODA(政府開発援助)といった世界規模の機関のあり方についてのトピックだった。つまり、経済や実質的にさまざまな活動を規定する機関の存在を切り離しては、環境問題をはじめ現代の問題を論じることはできないといった澄んだ信念のようなものがそこにはある。これはとても重要だ。要するに、エコだ、クリーンだ、共生だと声高にノタマっても、カネや制度を視野に入れない限りそれは机上の何とかにすぎないという現実である。『種まき』を読んでいて、環境のみならず社会問題全般に本気で関わろうとするならば、現実的にどんなことを知っていなければならないのか、考えなければならないのかを改めて思い知らされることがあった。

電話に対応していただいた鈴木さんは大学生の頃から環境、農業、貿易などに関心があった。シアトルのWTO閣僚会議をきっかけに貿易と環境・南北問題について関心を持ち、初めて「A SEED JAPAN」にコンタクトをとった。今は専属のスタッフとして働いている。「世間一般の人たちの環境問題にたいする関心は高まってきていると思います。もう少し問題を構造的な視点を持って考え、日常で行動するようになれば、もっと社会は変わっていくと思う」という。
『種まき』の製作にあたってのおもしろい点といえば、企画を練る段階から印刷所に放り込むまで、95%の作業をボランティアスタッフで進めているということ。この時点で、ミニコミ誌の宿命である人件費問題からはかなり自由になっているといえる。スタッフは環境問題に興味がある学生からプロの編集経験がある社会人までいろいろ。イラストレータで割り付けされた誌面がとてもきれいだったので、ほとんどボランティアだと聞いて驚いた。
自分たちの活動と『種まき』が、一般の人たちにとって実際の行動につながるきっかけになればいい、と鈴木さんは言う。私もそう思う。なお、同誌は古紙配合率100%の再生紙で作られております。(宮崎)
(■『種まき』購入先 http://www.aseed.org/shop/index.html
■A5 36p 定価300円 隔月発行 発行:国際青年環境NGO A SEED JAPAN)

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