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2006年6月18日 (日)

日曜ミニコミ誌!(第1回) 核燃料再処理反対! 7世代先を見据えるミニコミ誌

Ninngenn いま現在、日本にどれくらいの数のミニコミ誌が存在するのかは正確には知られていない。そもそもミニコミの定義や規模について自信を持って答えることができる人が稀だろう。
毎週日曜にはそんなミニコミ界の今について迫り、数あるミニコミの中からひとつだけを選んで紹介させていただく。

今回選んだ『人間家族』は「7世代先を考える」をテーマにしている。月1度の発行で、今月号(5月号)52ページの内容は「アイヌ民族の長老」萱野茂さんの追悼記事、青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場に対する申し立て記事が中心となっている。
六ヶ所村の核燃料再処理施設は大きな話題になることもなく今年3月31日にアクティブ試運転が開始された。「試運転」とはいえ実際に使用済み核燃料が使われた運転である。
『人間家族』ではこの再処理施設の運転が近隣だけでなく三陸の海までも放射能で汚すと訴え、施設の推進派、反対派の意見なども紹介している。
現在の編集長、大築さんは3代目だ。80年代、大築さんは印刷業とデザイン業を仕事としながら、当時は珍しかった有機野菜の八百屋のグループを運営し、有機野菜の契約農家を探す広報部門の一員だった。
その八百屋グループの精神的リーダーが『人間家族』の初代編集長で、代替わりを経て大築さんの手にバトンが渡った。80年の終わりごろから都市開発が活発になり、住んでいた国立も空き地がどんどん減っていき、「ここでは子どもを育てたくない」と静岡県賀茂郡に引っ越したのは12年前。現在も出版業を営みながらブルーベリー農園を共同経営もしている。
今はなんとすべての編集作業を1人でこなしている。1人でこなしているので毎号の内容も「ほぼ独断ですね(笑)」とのこと。「先代編集長の頃はほとんど有機野菜オンリーの内容でした。」なんという変わりようだ。この身軽さがミニコミである! 「イージーワード」で文章の割り付けと簡単なデザインをし、印刷も自宅でできるから後は製本を製本屋に頼むだけ。ただ、全てのミニコミ発行者の悩みであるのは流通だ。なんと地元静岡では扱っている書店はなく、販売用のほとんど東京に送っている。主力は全国にまたがる定期購読者、中には十数年の方々もいるという。
『人間家族』の後半あたりにはいきなり「チャイナ・ランダムジャーニー」なる旅行の連載モノが入る。
「昨日の夕方、敦煌(トンコウ)からフラリ乗ってしまった寝台バスのサスペンションは、トラックであったままの固さだった……」
中国のゴルムドからチベットのラサにバスで向かうあたりが今月号の内容だ。大築さんによると『チャイナ~』の著者・澤村浩行さんは現在60歳半ば。毎月エンピツ書きの原稿をどんどん旅先から送ってくるのでストックがたまりまくっているそうだ。
「アイヌの長老」「原発」「中国旅行記」。内容を見るだけでミニコミ特有の野生ぶりを余すところなく体現しているように思える。チェルノブイリ以前から原発には反対だったという大築さんの精神があまりにもダイレクトに誌面に反映されていた。次回も乞うご期待!(宮崎)

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