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2006年6月21日 (水)

これが現実! 原発・驚愕の実態

先の日曜日に取り上げたミニコミ誌『人間家族』では青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場、静岡県浜岡原発の危険性を訴える記事が掲載されていた。このところ続いている金融・証券界のハデなニュースとは注目度という点で比較にならないが、今までの生活が成り立たなくなるという点ではこちらの方がはるかに深刻だ。
Hou 世界中に約430機ある原発の中で、プレート境界地震の震源域上にあるものは浜岡原発ただひとつである。『放射能で首都圏消滅』(古長谷 稔・三五館)は静岡県で生まれ、衆議院議員の公設秘書時代に同原発の実情を知った著者が、その危険性、震災時に想定される被害規模、事故で放射能が爆散したときの対策を切実に訴える一冊だ。
「原発事故は恐ろしい」とは何となく思うけれど、事故がどんな被害をもたらすのかについて私たちはあまりにも無知ではないだろうか。チェルノブイリをリアルタイムで体験していない世代は特にそうだろう。例えば事故による放射能汚染が「現場から近い場所がひどい=遠ざかると軽度になる」という単純な図ではなく、事故後に雨が降った地域がより汚染されるという特徴も、この本を読んで私は初めて知った。これは86年のチェルノブイリ原発事故後の調査で明らかになったことだ。
本書について一貫しているのは、行政を基本的に信頼していない姿勢だ。
「これまでに原発で事故が起こった時は、いつも発表は時間がたってからでした。一部の専門家がマスコミで指摘し、それから長い会議を開いてやっと公表するのが過去のパターンです」。
政府や電力会社からの情報を待つだけではダメ、ではどうすれば被害をより少なく食い止めることができるのか? いくつかの具体的な対策が紹介されているが、私が今まで半信半疑だった「トロロ昆布で放射能対策」も載っていた(本当だったのか…)。放射性ヨウ素が体内に入ると甲状腺に蓄積しガンを引き起こす。体内には一定量を超えるヨウ素は蓄積されないので、先にヨウ素を含む食料を取って飽和状態にするというのがそのメカニズムだ。ヨウ素を多く含む食べ物、それがトロロ昆布や乾燥昆布なのである(直接ヨウ素剤を飲むのがベストだが)。
本書が迫力あるものになっているのは3人の浜岡原発設計・建設者の内部告発が紹介されているからではないだろうか。顔写真付きの勇気ある告発内容には絶句した。このうちの1人の談。浜岡にもアメリカのBWR型原発が導入されているが、「もともと地震のあるところに建てないアメリカ製なので、地震対策が詳細に検討されていない」という。
30年以内に87%の確率で起こるといわれる東海地震。大きな原発事故につながれば静岡から首都圏までが崩壊する。もちろんフィクションなんかではない。

Gen 『原発列島を行く』(鎌田慧・集英社新書)では原発問題を別の視点から捉える。それは原発を取り巻く「政府と自治体」「政府と財界」の構図だ。『原発列島を行く』の各章では文字通り日本中に連なった原発各所を取り上げ、原発建設を進める電力会社とそれに反対する住民たちの姿を書き取っている。また、被曝した労働者の記録も克明に綴っている。福島県富岡町の原発で被曝後、急性白血病で亡くなったHさんの母親が語っている。
「自分で自分の身体が自由になれながった。10日も15日も苦しんで、水も飲まれながった。口の中も真っ黒になっていだんだ」。
日本の豊かな暮らしの底で、労災認定すらされないまま命を落としていく事実はほとんど知られない。聞かれることなく葬られてゆく弱者の声を自らの丹念に追った一冊でもある。
『放射能で首都圏消滅』のあとがきにあったが、電力会社に「(原発の安全性について)大丈夫なの?」と聞くと、あっさりと「絶対安全です」と言い切られるらしい。そんなに自信があるなら、電力会社社長宅の隣に原発を作ればいいと思うんですが、どうですかね。(宮崎)

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