駅名がおかしい!? 二子玉川編
二子玉川園の前身・玉川第二遊園地は今から80年以上前の1922に開園した。開園当初は玉川電気鉄道の経営だったが、1939年に読売新聞と提携し名称も読売遊園に変わる。1944年に理由は定かではないが一時閉園(国内状況が遊園地どころではなかったことは容易に想像できるが)。さらにその後1954年には東急不動産の手により二子玉川園として再スタートを切った。
二子玉川園は1985年に閉園。92年からナムコ・ワンダーエッグとして50ヵ月の期間限定で開園するが、この二子玉川東地区の再開発計画が大幅に遅れたこともあり、結局2000年いっぱいまで営業は続けられた。
さて、二子玉川園の閉園後の2000年8月にようやく、二子玉川園がすでに閉園となっているとの理由から駅名が「二子玉川園」→「二子玉川」と改称された。閉園から改称までの15年間は何だったんだと思わないでもないが、とにかく駅名は変更された。(この腰の重さからすると、02年に閉園した小田急線・向ヶ丘遊園駅の改称は2017年ということになるのだろうか…。)
17日に二子玉川駅を訪れたが、駅の周りを少し歩いただけでかなり寂しい印象を受けた。理由は分かっている。数年前から計画はあったが実行されていなかった再開発がとうとう始められようとしているのだ。駅から歩いて1分の東急ハンズ入り口には大きく書かれてあった。
「この度、東急ハンズ二子玉川店は、二子玉川東地区再開発計画に伴い、6月30日を持ちまして一旦閉店させていただくことになりました」。
駅の周りの商店に聞いてまわると、ほとんどの店が6月か7月中に店じまいするという。午後6時ですでに閉店している店も多い。開発事業予定区域を示した地図があると教えてもらい、それを見て驚いたのは、あまりにも再開発区域が広かったからだ。二子玉川駅はもちろん、もと二子玉川園があった場所まですっぽりと区域を示す赤い線に含まれている。
「この辺りの建物はみんな取り壊されます。いくらか補助金が出るので、それをもらってどこかで商売を続ける、という人は多いですね」と話すのはある商店の男性店主。もしかすると駅名が変わっちゃうかも知れませんね、というと「それはイヤです。もともとの『二子玉川園』が『二子玉川』に変わっちゃったのだけでもさみしかったのに…」。やはりそうか。どこの駅に住む人にでも名前に愛着がある、というのが私の中では一般論化されつつあるのだった。(東急電鉄に問い合わせると、駅名の変更はないとのこと)
再開発区域の85%は東急電鉄が所有する土地である。しかし、残された15%は民間の地権者であり、その中には開発に反対の人ももちろんいた。「東急系の店はそりゃ、さっさと閉めるかもしれませんけど、それ以外の商店は簡単にそうはいかない。保証金が出るっていっても完全にそれで補えるわけじゃないだろうし、この年で他に移るのは想像以上に大変なんでしょうね」と商店女性店主は呟いた。出てけ、と言われても簡単に出て行く気はないそうだ。
駅の建物も含めて「ニコタマ」の風景はこれから一変する。かつてこの地域に深く根ざしていた二子玉川園跡もピカピカのビルに変わるのだろう。(宮崎)
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