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2006年5月26日 (金)

で、いったい誰を逮捕したいの共謀罪?

「誰でも逃げる」と言うキャッチコピーが使われたトム・クルーズ主演の『マイノリティ・リポート』は2054年の近未来を描いた映画だ。未来を予知できる超能力者の力を使い犯罪が発生前に犯人を逮捕する。そんな完璧な防犯システムによって殺人者と予告された捜査官の物語。
 たしかにこんな「容疑」で逮捕されてしまうなら「誰でも逃げる」。

 ところが、法務省はこの映画と同じようなシステムを作ろうとしている。
 そう、共謀罪だ。
 この法律は「重大な犯罪を実行する団体」が「犯罪実行に必要な準備、その他の行為」をしたときに逮捕できるとされる。つまり犯罪を犯す前の準備段階で逮捕できるというわけだ。
 今国会で強行採決される可能性が高いと言われていたが、採決予定日にほかの法案を優先したい小泉純一郎首相の指示によって採決取りやめ。とりあえず今国会で成立は難しくなったと報じられている。

 この法律は近年にないヤバイ代物だ。ここ数年、うさんくさい法律がいくつも成立した。個人情報保護法や盗聴法などはその代表だろう。そんな法律でさえ、なるべく「凶暴」に見えないよう化粧をほどこし、成立してから本性を現すような「工夫」がされていた。それが、この共謀罪にいたっては牙むき出し! 
 
 一番驚いたのは、与党が野党側との法案修正協議で「対象犯罪を国際的なものに限るべき」という主張を一切にはねつけたことだ。もともと、この法律は119ヵ国が締結した国際組織犯罪防止条約の批准に必要だという説明だった。まあ、国際テロ組織なんかがテロを計画したら、みんなでとっつかまえましょうって条約だ。
 この説明が本当なら「国際犯罪」だけを対象にしても何ら問題ないはずである。しかも与党は法案成立に向け、民主党の修正にたびたび応じてきたのだ。適応対象が「団体」から「組織的犯罪集団」に変えたり、処罰に必要な行為として政府案では共謀だけだったに再修正案では共謀以外に「犯罪の実行に必要な準備その他の行為」が加わった。つまり誰にでも網をかぶせられる法案を少しだけ「自己規制」したわけだ。
 ところが「国際犯罪」に限る修正だけは頑としてはねつけ、強行採決に突入しようとしていた。法務省幹部が「テロに見舞われた気分」(『朝日新聞』2006年5月20日)と評した小泉首相の「気まぐれ」がなければ、そのまま法案は成立していたはずだ。

 で、法務省はいったい何を取り締まりたいのか? 報道では市民運動や労働組合が危ないと報じられているが、実際にはもっと広範囲な団体ではなかろうか。

 4月30日、DJが音楽をかけてデモする「サウンドデモ」がいきなり摘発され、DJの家宅捜索まで行った。サウンドデモだと警察にも届け、警察の指示に従ってDJの人数を減らしたのに、である。逮捕された人物は政治団体に所属もしていなければ、逮捕歴もないという。デモで訴えた内容も「フリーターのためのメーデーを」というユルイもの。「○○法案撤廃!」なんて看板を持って歩いたわけでもない。

 労組や市民運動団体の集める人数は警察も長年の経験で把握している。そうした団体の力を削ぐことに「努力」し、それなりに「成果」もあげてきた。しかしネット上で集合がかかり、誰が代表かも分からないまま人が集まる状況は警察にとって労組より恐ろしいのではないか。

 逮捕された後に待つのは言わずと知れた暗黒司法。起訴されれば、ほぼ100%有罪。ちなみにエボラ・ウィルスの致死率より、名門附属中学の系列大学への進学よりも高い有罪率である。
 想像してほしい。幼稚舎から慶應大学に進学するより、村人がエボラ・ウィルスによって血を吐いてバタバタ倒れ始めた土地から生還するより、有罪の確率が高いのだ。もう、誤認逮捕が無罪なる確率に比べたら、スキルスのガンが治る確率はビックリするほど高い。

 そう、つまり私たちはけっこう追いつめられている。相談だけで逮捕されると法律と、確実に有罪にする裁判って……。どこかの思想統制を笑ってなんかいられない。

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突然の書き込み、大変申し訳ございません。
お邪魔でしたら削除していただければと思います。

どうぞよろしくお願いします!

投稿: JOBLOG(ジョブログ)事務局 高橋 | 2006年5月26日 (金) 14時51分

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