暇や! GW、なーんにもすることがない人のためのブックガイド
せっかくのゴールデンウィーク。しかし手帳のカレンダーはブランク。
休日になにもしないのはモッタイナイ! とマータイさんに怒られるからではないけれど、この休みを利用してじっくり読書したい、でも何を読むかは決めていない…。そんなあなたにお勧めなのがまず、『三国志』(横山光輝・潮出版)
この作品はマンガで60巻と長いにも関わらず、一度読み出したらなかなか中断できない中毒性を持っている。暇人にはもってこいなのである。
西暦でいえば180年から280年あたり、後漢から三国時代にかけ、魏・呉・蜀の三国が覇権を争う国取りドラマと、登場人物の愛憎が錯綜する人間ドラマがほどよくミックスされている。
ガルシア・マルケスの「百年の孤独」もそうであるように、長大な作品では舞台が進むにつれて登場人物の息子、などが現れ、「初めて登場するのになぜか親近感」を覚えることができるのも大きな魅力。
諸葛孔明の天才的にキレる頭脳にあこがれ、酒乱&豪腕の張飛の男らしさに惚れる。泣いて馬謖を斬り、老兵・黄忠の死を惜しむ。
「後半はただ単に事実を追っているだけ」との批判もありそれは否めないところでもあるが、逆にいえばそれだけ史実を丹念に追った作品であるといえる。
『虎山へ』(平岡泰博・集英社)
なーんにもすることがなくて部屋でじっとしていることはあるが、本書に出てくる人たちは相手に気配を悟られないために、常にじっとしていなければならなかった。
その相手とは、取材が行われた当時(1996年)、密猟により生存数が減り続けていて、現在も絶滅の危機に瀕しているシベリアトラだ。
著者であり、トラを追うドキュメンタリー取材班のカメラマンである平岡を含むスタッフたちは、ほとんど人前に姿を見せることがないシベリアトラの姿を捉えようと、トラの住むシホテ・アリニ自然保護区内のブラゴダットノイエ地域(ロシア語で「よい場所」の意)に向かった。
「雪が降れば、トラに会える」と言うロシア人スタッフの言葉に従い、白い氷雪に閉ざされた山の中を、トラの足跡探して歩く。そして、テントの中でじっと待ち続ける。トラの牙にかかり、命を奪われる危険も隣り合わせだ。
寒暖計がマイナス20度を指したその日、著者はとうとうトラに出会う。
「逃げても仕方なかった。トラと向き合いながらも、次の瞬間、襲ってくれば死ぬ、肉体が壊されていくという、具体的な恐怖はなかった。」極寒の中、雪山の中、ひたすらトラを追う日々の緊張感溢れる描写にシビれろ!(宮崎)
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