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2006年5月24日 (水)

「部下が分かららねぇ~」と思った上司たちへ

Photo_15 『他人を見下す若者たち』(速水敏彦/講談社現代新書)が売れているようだ。つまり何だか理解できない人種が威張ってる。その理由を探りたい人が増えているってことだろう。
 ここで説明されている「若者たち」とは、やる気がなく、すぐにキレて怒り、根拠のない有能感で他人を軽視する人たちである。著者は教育心理学が専門の大学教授なので、データを元にこのような若者がいることを説明し続ける。

 で、それだけなのだ!

 なぜ彼らのような人格が多くなってきたのかは解明されない。どうやらそんな若者が多いらしい、と警鐘を鳴らしたところで終了! 「なんか不気味な若いのが増えている。どんな性格なんだ」と疑問に感じている人なら眼からウロコだろうが、「なんでコイツらは根拠のない自信で威張ってるんだ」と思っている人は欲求不満の書籍だ。読み終わった途端、「知ってるよ。いるのは!」とキレかねない。
 ただ本書は重要なことを1つだけ教えてくれる。それは世の中に理解できない若者がいるという事実だ。

_  こうした事実を再確認したら次に読んでもらいたいのが、既婚女性の恋愛をルポした拙書『妻の恋』(アストラ)だ(ハイ! 宣伝です!! 悪いか!?)。
 さまざまなタイプの計12人の不倫話を掲載しているが、男性読者なら妻が浮気してないのか不安に思えてくるはずだ。
 正直、取材した私自身、彼女たちの心理が正確にはつかめなかった。ただ、取材した女性の多くは良き母であり、良き妻であった。彼女たちの不倫を夫が見抜くのは容易ではないだろう。ウソもうまいし、何より男の操縦術に長けている。私の婚期がさらに遠ざかった取材だったと思う……。

 ライターになって12年以上たったが、これほど取材対象者に主導権を握られたことはないように思う。頭の回転がすこぶる速い官僚より、狂暴なゲリラより、口のうまい詐欺師より、はるかにウワテだった。濃厚な不倫シーンを語られた後、「じゃあ、カップル喫茶でも行ってみる」などとからかわれ本気で動揺していたのだから。30男が赤くなって笑われた。あの取材以来、心理的な駆け引きで女性に勝てる気がしなくなった。正直、トラウマです……。

 さて、この2冊を読み終わり、妻の不倫なんぞを一通り疑ってみると、1つの実感がわく。他人なんて分からないんだってことを。若者だろうと、女性だろうと、親しかろうと、家族だろうと、人間なんてよく分からん。そんなあきらめが心を支配するようになると、あら不思議、部下に怒る必要もなくなる。小社のように個人個人が変わり者過ぎて互いに絶対理解できない、と入社した途端に分かるような職場環境の人以外にお勧めである。

Photo_16  で、これじゃあ、人間寂しすぎるよという方には『バッテリー』(あさのあつこ・角川文庫)でもどうぞ。
 中学生の天才ピッチャーとバッテリーを組むキャッチャーの友情を描いた作品だ。大人には分かりにくい行動の裏にある繊細な心情が丁寧につづられている。「分かりにくくても、人って理解しあえるのね」という幻想を読んでる間は保てる。

※注意 バッテリーだけ読んで部下を理解しようとするのは危険です!(大畑)

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