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2006年5月 5日 (金)

アンチエイジングが失業率を加速する!?

 3~4年ぐらい前だろうか。30代後半、元受付嬢の女性から「キレイと言われるより若いと褒められたほうが嬉しいのよ」と教えてもらったことがある。かなり驚いた顔をしたせいだろうか。「私の周りはみんなそう言ってるよ」と彼女は付け加えた。
 そうか! 30代後半の女性に「若いね」と言えばモテるんだ、と早速メモったが、気持ち悪い男が「若いね」と口にした途端セクハラになることを後日知り、自分には全く使えない知識となった。
 こんなことを思い出したのは最近「アンチエイジング」という言葉をよく耳にするからだ。日本語に訳すと「抗加齢」になるらしい。簡単に言えば、若さを保つ、あるいは若がえることだ。中高年のアンチエイジングブームはかなりのもので、サプリメントから化粧品、美容整形、専門の人間ドッグ、果ては効果をうたった高額のコース料理まで登場。どれも活況を呈しているらしい。

 それにしても、どうしてここまで盛り上がっているのだろうか? もともと不老長寿は人間にとって永遠の夢であり、いきなりブームになるような代物ではない。
 すでにマスメディアでもブームの理由をいくつかあげている。
 医療費負担の増加などもあり、予防医学への関心が高まっていること。2004年に老化防止に効果があるといわれるコエンザイムQ10が化粧品などに使えるようになったことも大きいらしい。02年に発足した日本抗加齢医学会がアンチエイジングの医学的な知識を広めていった影響もある。実際20人から出発した研究会がわずか5年で3800人もの医学会になったわけで、その増大ぶりにはビックリだ。また、それなりにおしゃれに関心があった団塊の世代が老いを気にするようになり、高額商品の「カモ」に仕立てあげるべく企業がブームを煽った「成果」の可能性もあるようだ。

 しかし、それだけだろうか?
 当初、アンチエイジングブームは女性だけのものだった。化粧品やサプリメントなど、従来からある「若くありたい」という願望を引き継いだ商品が人気となった。しかしブームを一気に拡大させたのは男性のアンチエイジング参入だ。すでに男性専用の化粧品やアンチエイジング・クリニックは市民権を得ている。
 問題は男性のアンチエイジング願望が、どうしていきなり活発になったかだろう。ここで興味深い統計がある。まずは自殺者数と失業者数の統計。社会実情データ図録のグラフを見れば、この2つの数字に相関関係があることは一目瞭然である。しかも自殺する年齢層のトップを占める50代は98年にいきなり2000人以上増えている。日本抗加齢医学会が発足した02年の翌年には自殺者が8000人の大台を突破した。

 90年代後半から日本の労働環境は大きく変わった。終身雇用制は完全に崩壊しリストラの嵐が吹き荒れた。グローバル化を前にしたコストダウンの圧力も強まった。そうしたなか賃金の高い中高年はリストラにおびえ、加齢への恐怖を感じたのではなかろうか。
 じつは、この話は単なる憶測ではない。
 4月号の月刊『記録』でホームレスの専門家である神戸幸夫さんと対談した際、最近は腕の良い大工よりもただ若くて安い大工がもてはやされる、と教えてもらった。当然、年を取った大工は失業する。積み上げてきたキャリアは年齢というフィルターにかけられいきなり意味を持たなくなるという。
 じつはこのような職種は以前から存在した。例えばコピーライター。若者向けの商品コピーを中年が作っているとクライアントが不安になる。そのため35歳ぐらいで多くのコピーライターが職種を変える。会社を興して経営者になったり、広告営業に転向する人もいる。もっと分かりやすい例ならホステス業だろう。気遣いやコミュニケーション能力が高まっても、ある年齢を境に人気はジリジリ落ちていく。
 混同してもらっては困るが、運動選手のように肉体の衰えがパフォーマンスを落としているわけではない。以前より能力が上がっても年齢がネックとなって仕事から外されていく。それが問題なのである。
 このキャリアよりも若さという風潮はここ数年で一気に広まった。いうならば男性社員の一般職化だ。

 かつて企業には「男性社員の嫁さん要員」ともいえる一般職の女性社員を抱えていた。もちろん大量の事務仕事をさばくには、それなりのスキルがいる。しかし企業が彼女たちに求めたのは若さと「男性社員ウケ」だった。年齢を重ねれば「お局様」と呼ばれ、暗に寿退社への圧力がかけられた。そうした女性たちにとって若さは大きな武器であり、若さを保つことへの投資は必要不可欠だったともいえる。その報いなのか、今度は男性社員が若さを保つことへのプレッシャーにさらされている。

 しかし年齢に応じたキャリアを認めない行為は大きな悲劇をはらむ。
 年齢とキャリアの問題を考えるとき、いつも僕は1人の女友達を思いだす。とてもキレイで野心的だった彼女は「スゴイ結婚相手」を捕まえようとかなり努力していた。ファッションや話題に気を配り、いい相手に巡り会えるよう合コンなどにも積極的に参加していた。実際、かなりの「成果」をあげてもいた。ところが27歳になった途端、彼女の「株」は暴落する。26歳で落とせた男が落ちなくなった。見た目も「スキル」も上がっている。ただ結婚相手の年齢としての「ランク」が下がったのだ。それから数年間、彼女は失意のどん底にいた。

 アンチエイジングの波にのるのはキャリアを否定する社会を認めることにもなる。若さを保とうとする人が増えれば、社会全体がより若い人へと目を向けるからだ。
 かつては素敵な歳の取り方というものがあったように思う。若造は信用できないという風潮もあった。それで悔しい想いをしたこともあったが、社会の仕組みとして正しかったのだろう。歳を取ることに希望を持てたからだ。
 
 さて、ここで最大の問題に行き着く。それは僕自身がアンチエイジングをするかどうかだ。先日、美容院で毛穴の不純物を吸い出すマッサージ&シャンプーを勧められた。薄くなった頭頂部が「ステキ」に変化するらしい! 美容院の話によればカッコ良くもなるらしい!!

Photo_11  やっぱ、やるかな。積み上げてきたキャリアがないから若く見られた方がいいし○| ̄|_(大畑)

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