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2006年4月13日 (木)

民主党議員必読の「Ron Woodという生き方」

来日公演が大盛況だったThe Rolling StonesのギタリストRon Wood。この人ほど控え目な名人はちょっといない。

Ronのスタートはギターの神様Jeff Beck率いるバンドの何とベーシストとしてであった。ボーカリストは言わずと知れたRod Stewart。私はRonの今日のありようはBeckとRodの関係と切りはなせないと推測している。
BeckとRodは2人とも前置き不要の天才である。それはお互いに認めている。そしてそれゆえにくっついたり離れたりしてきた。案の定のけんか別れをしたRodにくっついていったRonはThe Faces(フェイセズ)のメンバーとなりギタリストとして名をはせた。
ブリティッシュ・ロック・シーンにおいてFacesは決定的ともいえる金字塔だがアメリカでは受けなかった。同時に若き日のRod Stewartが常にそうであったように独裁ぶりが目に余りだしてメンバー脱退が相次ぐ。75年にはついに解散してホトホト困り切っていたRonに助け船を出したのが、かつてのボスのJeff Beckである。

The Rolling Stonesはその頃リードギターのMick Taylorが脱退して困っていた。Stonesにおけるリードギターの位置づけは難しい。絶対的存在のKeith Richardsがあえていえばリズムギターの形で参加するからだ。このスタイルはそもそもバンド結成当初はKeithやMick Jaggerより上位にいたBrian Jonesがリードを取りたがったから原型が固まった。
Mick Taylorの脱退理由はハッキリしない。ケンカ別れではないからだ。ただKeithとの立ち位置が非常にややこしかったのは想像に難くない。おそらく「自由になりたい」であったろう。
実はBeckの紹介もBeck自身がStones入りの打診を断った代わりに誰か・・・ということらしい。そんなこんなで1976年からRon Woodは転がる石の1つになったのだが93年まで正式メンバーにしてもらっていない。

仮にもFacesのリードを張ったギタリストである。いかなBeckの代役とはいえ、いかなStonesとはいえこの扱いはないだろう・・・・と誰でも思う。だがRon Woodは耐えた。その一番の原因はStones加入までBeckとRodの友情と確執に翻弄され、かつ結局はこのどちらかに頼らなければならないという自分の限界を肌で感じたからであろう。StonesにもMickとKeithという両雄がいる。この片方が辞めると言い出せばバンドは終わりである。その危機は何度かあったと推察される。

私がかなり重要視しているのは1985年に出したMickの初ソロアルバムShe's the Bossの存在である。もしこのソロが大成功していたらMickは飛び出したのではないか・・・・と疑うしかない豪華キャストで作成した。しかもギターにJeff Beckを迎えているのがきな臭い。Beckに「やっぱ一緒にやんない?」と声をかけたと想像しない方がおかしかろう。
この雰囲気は同年開催されたLIVE AIDで鮮明な記憶がある。中断しまくる中継と南こうせつの意味のないMC?にうんざりさせられながらテレビを見ていたのだがアメリカ版のトリがMickだった。彼はShe's the BossのJust Another Nightなど4曲を歌って退場した。
そして大トリがお決まりのBob Dylanだったが、彼の向かって右にKeith、左にRonが従ったのだ。明らかに不自然である。
この時のRonの気の配り方は半端ではなかった。Ronは左隣のDylanとKeithを見っ放し。横を向いて演奏をしている。DylanとKeithはいつものごときマイペース。
とその時が来た。Dylanのアコースティックギターの弦が切れたようなのだ。横を向いていたRonはすぐさま自分のギターをDylanに差し出し、Dylanのギターを受け取って取り替えに走る。しばらくして戻ってきても調弦しながら演奏。いうまでもなくKeithは自分の世界に酔いしれて例のジャラジャラを弾いてご満悦あるのみ。
な、なにもそこまでと当時は思った。だがShe's the Bossが大ブレークしなかったこともあってThe Rolling Stonesは何もなかったかのように今日に至った。

近年のKeithは、まあ昔からそうだといえばそうだが、ライブでの弾き間違いや場をまるで読まない突然の演奏開始など、ほとんど晩年の古今亭志ん生の域にある。これを支えてつつがなくライブを締めくくる重大な役割を一番果たしているのはRonだ。いわば彼の献身がThe Beatlesとタメを張ったStonesの接着剤となり、この偉大なバンドをいまだに見られるように支えているのである。
だがライブで飛び交う声援はKeithとMick。Ron Wood はどう思う。ひそかな自負があるのか。それとも本質的にそうした性格なのか。実はこの当たりを過去のRonの言動から探るのがほとんどできない。わからないように巧妙に発言してきた。その1点において芸術的でさえある。そうした生き方もあると教えてくれる。

さて話は飛ぶようだが民主党議員に言いたい。皆がBeckやRodやKeithやMickになれるわけではない。というかなれそうもない人に限って大物ぶった言動が目立つ。あなた方は野党。つまりまだ前座なんですぜ。仮にRod Stewart並みの才があったにせよ彼のように振る舞えば同様の能力がある仲間と内輪もめになる。
むしろ中堅・若手はRon Woodを見習ってはどうか。せっかくBob Dylanみたいのが新代表になったのだから彼に気持ちよくBlowin' in the Windを歌わせてあげよう。彼は弦を切りそうだから危なくなったら自分のギターを差し出そう。浮かぶ瀬もあるってもんだ。(編集長)

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