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2006年4月14日 (金)

教えて! タロー人形――時事問題用語解説――  第1回 壊し屋

 「壊し屋」といえば、いまや小沢一郎・民主党代表をおいてほかにない。また、そんなあだ名を授かるのも当然と感じるほど、さまざまな彼は政治集団を壊してきた。

 1992年には政争に敗れて竹下派を裂き、翌年には自民党を割って新生党を結成、ついに自民を下野させた。その非自民連立政権では社会党をたたき出しす。このときの小沢氏への恨みが自民・社会・さきがけの連立政権を生み出したともいえる。天敵とも思われた(そうではないという噂もあったが……)社会党と自民党に手を組ましたことで、小沢議員の「壊し屋」としての知名度は一気に高まったといえる。
 ところが彼の破壊は止まらない。96年12月には一緒に竹下派から飛び出した朋友・羽田孜氏を新進党から追い出し、翌年12月には新進党自体が6つに分裂する結果となった。その後自由党を結成し自民党と連立するも、自分の存在感が薄くなると自民との連立を解消、連立続行を主張する議員と袂を分かつ。

 見事だ! よくぞこれだけ集団を叩き潰してきたものである。
 ただ面白いことに、小沢新代表に対する国民の期待は高い。読売新聞の4月11日の記事には次のように書かれている。
「小沢一郎氏に『期待している』人が『どちらかといえば』を含めて計56%に上り、『期待していない』計40%を上回った。民主支持層では90%の人が期待感を寄せていた。民主党の支持率は、14.0%で、3月の前回調査(11.1%)よりも2.9イント上昇した」
 改めて言うまでもないが、すでに民主党は壊れている。政党としての信頼も地に落ちた。もし小沢新代表が「壊し」専門なら、ここから何を壊すのかとの疑問も浮かぶ。

 小沢議員に初めて「壊し屋」という“肩書き”を与えたのは92年12月26日の『毎日新聞』だろう。この記事は現状打破への思いこそ強いが青写真を持たない政治家であると小沢氏を一刀両断し、「小沢氏への“期待”は『破壊』であって、新しい何かを作り出すことではない」と断じている。その後の小沢議員の「活躍」を考えればこの記事の先見性には驚かされるが、彼への期待が常に「破壊」だけだったとは思えない。

 そもそも「壊し屋」という言葉は「破壊」だけに力点を置いた言葉ではないのだ。新聞を繰ってみると、80年代後半の「壊し屋」は小沢一郎氏ではなく、神戸製鋼の林敏之選手だった。激しいタックルに由来するニックネームだが、「壊し屋」と名付けられた本当の理由はその活躍にあった。80年代にはフォワードリーダーとして世界でも注目され、91年当時は最高の全日本キャップ数を誇っていた。
 同じく80年代、F1ではアンドレア・デ・チェザリスが「壊し屋」と呼ばれていた。マシンをよく壊すことで付いたあだ名だが、荒い走りながら何度も入賞してポイントを獲得。優勝こそないものの208戦もF1に出場した。実力がないと分かれば、すぐに解雇されるF1の世界において、この出場回数はスゴイ。
 破壊を強烈にアピールするならプロレスや格闘技でこそ「壊し屋」がよく使われそうなものだが、調べてみると意外に少ない。最近では総合系の格闘技・修斗の川尻達也選手だろうか。少しさかのぼっても、パンクラスに出場したマット・トライへイ、WWFプロレスのスティーブ・オースチンぐらいしかみあたらない。正直、いまいち大物がいない。やはり「壊し屋」という言葉のニュアンスと「破壊」が完全に一致しないからではなかろうか。

 では「壊し屋」という言葉が含み持つニュアンスとは何か。それは「スクラップ&ビルド」だ。確かに壊す。ただし「壊し屋」はゲームを作り、レースを作り、新政党を作る。そこに観衆の期待が集まる。

Photo_4  さて、小沢一郎新代表が何を作るのか、それは分からない。ただし何も作ることなく、ただ民主党を壊しても国民の誰も文句は言わない。そんな時期に代表になったことだけは確かである。(大畑)

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