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2006年4月19日 (水)

こんなときにゃ、この本だ! 第2回 「新しい季節だから・・・変わりたい! ~ブレークスルーへの入り口~」

100_1  『100億稼ぐ仕事術』 (堀江貴史/SB文庫)

「時代の寵児」だったはずが、コトが発覚した途端に、恐ろしい速さで波は引いていった。
いま思う。堀江貴史となんだったのか?

彼のエッセンスが注がれた本書を今、改めてひも解いてみる。
「ハジメニ」でいきなり「私はメールを1日平均5000通読んでいる」ときた。
だからなんなんだ、やってたのは結局サギまがいのお祭り騒ぎじゃないか、という声が聞こえそうだが、果たしてそれが全てだろうか?
たしかに違法スレスレの株式分割、完全にアウトな粉飾決算を行ったのは事実だが、たった7畳しかない雑居ビルの小部屋から始まったオン・ザ・エッヂを破竹の勢いで成長させたこともまた事実だ。

本書の見出しをざっと挙げていく。
「だらだら会議は経費のムダ」「絶対に必要なリフレッシュ時間」「今すぐ役に立たずとも、いつか役に立つ」「自分で考える」。
ぱっと見、とてもシンプルだが、確かになにか「仕事ができる」雰囲気が漂っている。いったい、自分でものを考えることのできる人間がどのくらいいいるのだろうか?
「資本主義なんだから、儲けようとするのは当たり前」と堀江は言い放った。
たしかに挑戦的な言葉ではあるが、嘘ではないし、このフレーズを打ち負かすくらい説得力を持つ言葉を、私はまだ聞いていない。

ためしに騙されたと思って、このホリエ流仕事術を実践してはどうだろう。案外、「きみ、なんだか見違えたね」とか言われたりして。

Shissou 『失踪日記』 (吾妻ひでお/イースト・プレス)

著者自身の体験から、2回の失踪とアル中生活の様子が描かれたマンガ日記だ。
「89年11月 わたしは某社の原稿をほっぽって逃げた」から始まる失踪、その生活描写はなかなかにリアル。
「欝と不安と妄想が襲ってきて」自宅の部屋から逃げ出すが、失踪とはいっても街から遠く離れず、ちょっとした林の中でホームレスをしている。

野鳥をとるための仕掛けにあったみかんを「ジューシー」と口にし、冬の夜を腐った毛布にくるまってやりすごし、拾った生タマゴと天ぷら油を混ぜ合わせて「マヨネーズ!」とはしゃぐ。
淡々としたシーンの連なりを読んでいてふと気づいたのは、著者は「なんとかしてこの状況を脱出したい」などとはカケラも思っていないとういう点だ。(自殺未遂はあったけど。)
たらればになってしまうが、シケモクをあさっている途中に警官に捕まらなかったら、もしかして著者は今でも失踪生活を続けていたのではないか?

そして今でも一斗缶で焚き火をし、水場を探して歩き、食パンを日光消毒しながら食す日々……。うーん、なんというたくましさ!
「生きられない」などとヤワな言葉をつぶやく前に、「失踪日記」を読むことをお勧めする。
生き方の選択肢は決してひとつなんかじゃない。日常からよりリアルな生存へのブレークスルーがここに記されている。

Takeshi 『たけしの死ぬための生き方』 (ビートたけし/新潮文庫)

著者については説明不要。94年8月、彼はかの有名なバイク事故で重態に陥った。

「原チャリにまたがった、そんなような気がする。だけど、その前後の記憶は全くないんだよ。」
そう振り返っているが、彼の意識はある映像を捉え、それは忘れられることがなかった。自分が、自分の形をしたボロボロになったヌイグルミを持っているという映像だ。

「ようするに、肉体と精神が分裂して、肉体ってのは精神が借りてる着物だっていうのがバーンと見えちゃったんだね。」
語り口は軽いが、どうしようもなく深い淵を見下ろすような、底なしの遠近感がこの文章にはある。

なんとか意識を回復し、著者は思った。
「今までどうしてこんな生き方したんだろうって反省が猛烈に襲ってきた。(中略)自分に対する自己嫌悪。」
テレビを撮って、スシを食って帰って寝る、という機械的な日々を省み、いろんなことを考えた。
私たちはよく、風邪をひいて寝込んでから健康のありがたみを知った、などというけれど、そういうスケールではなかったはずだ。

「顔はぐしゃぐしゃにしたけど、脳だけは損なわないようにしてくれた。どうも神様が、『たけしよ、自分で答えを出せ。そのために脳は残したんだぞ』といってるような気がした。『一所懸命考えろ』って。」

いったん生から死へのブレークスルーを果たさなければ、本当に自分自身を省みることはできないのだろうか?

とにかく、ベッドの上で著者はいろんなことを考えた。ここにはその足どりが記されている。
バイク事故を起こさなくても、本書を読むことで病室での深遠な、ときおりバカバカしくもある思索を追体験できるだろう。
たけしは、「変わった」のだろうか?
とにかく数年後、あの名作「HANA-BI」が生まれたことは事実だ。(宮崎)

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