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2006年4月12日 (水)

こんなときにゃ、この本だ! 第1回 春を便りを本で味わう

 春である。
 私にまっ先に春を知らせるもの、それは友人たちからの電話。回線がつながった途端に聞こえる涙声である。精神の不安定な友人が掛けてくるものだ。
「だって、洗濯機が回っているの見たら何だか泣けてきて……」
 理由はよく分からんが、とにかく春は精神的にツライらしい。そんなときに洗濯機の水流を見れば切なくなり、通販番組が目に入れば「みんな仕事を頑張っている」と泣きたくなるとか。

Photo_1  もちろん医者でもない私は話を聞くぐらいしかできないわけだが、少しは心に効くコミュニケーション方法がないかと思っていたとき『イン・ザ・プール』(奥田英朗 著/文春文庫)に出会った。注射フェチでマザコンの精神科医が患者の妄想や衝動にとことん付き合うことで精神病を治療する物語だ。妄想や衝動が突き抜けたとき、本当に人は正常に回帰するのかという疑問を抱きつつ、「正常」という固定観念を乗り越えていく伊良部医師の姿にちょっと憧れる。まっとうとは言い難い自分の生活を棚にあげ、ついつい電話相手を「正常」な方向へと誘導してしまうから。
 本当は「洗濯機、泣けるよね。渦潮だったらもっと泣けるんじゃない。一緒に鳴門海峡に行ってワンワン泣こう!」とか、悩める女性を旅行に誘ってみたりしたいんだけど……。

 もう1つの春の便りは花粉症。
 ひどいのは目のかゆみなのだ。早めに眼科を訪ね、目薬をもらってくればいいのだが、忙しさにかまけて薬をもらうのが遅れると、ついつい目が真っ赤になるほどこすってしまう。こんなとき本など読みたくないが、泣ける話ならついでに花粉も流せて都合がいい。
 

Photo_2  で、ここ数年でもっとも泣けた本が何かといえば、恥ずかしながら『いま、会いにゆきます』(市川拓司 著/小学館)だったりする。先の読めるストーリー、読みやすく素直な文章。で、大ベストセラー。少しひねりの利いた本でも紹介しろよ、と読者に怒られそうだが仕方がない。
 だって号泣したんだもん。
 フッと気付くと、主人公の妻が居なくなるシーンでスーっと涙が流れ始め、「オイオイ、36歳中年オヤジの泣く本でもないだろ」とか思っているうちに、涙ドカン! 独身で淋しい身の上が涙を誘ったのかのかと考えたら、悔し涙まで追加していました。
 歳を取って涙腺が緩んでいるとはいえ、この本で泣くのはやっぱり恥ずかしい。というわけで、これまで秘密にしていたのだが泣ける本の紹介となれば触れないわけにもいくまい。まだ花粉症に悩んでいる方は試してみてほしい。

 春でまとめたのにろくでもない話ばかりで恐縮である。せめて「さわやかな春」を感じさせる本を最後に紹介しようと思ったが、春と結びつく「さわやかな」記憶がないと気付いた。
 ではと、三木谷浩史・楽天社長の妻の店「hAru」(間違いで「A」と打ったのではないのだ)に引っかけて、『“教祖”降臨―楽天・三木谷浩史の真実』でも読もうと思ったが、書店で手に取った途端ゲップが出て買う気がうせた。春の陽射しのなか、何が悲しくて「ヒルズ族」の人生を噛みしめなくてはいけないのか!

 仕方がないので、ネットで見かけて以来気に入っている春らしいフレーズを書いておく。
 牧場で若草をはむ牛を想像しながら読んでもらいたい。

 むしゃむしゃしていた。
 草なら何でもよかった。
 今は反芻している。

 さわやかでしょ。(大畑)

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