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2006年4月20日 (木)

グッドモーニング ミスターブッシュ

「あんまりのぼせるとベトナムにやるぞ」
私がまだ幼い時にお痛をした際、おやじが繰り返した殺し文句である。そりゃあ堪らんとたいていは大人しくしたものである。大人になっておやじごときがガキだったオレをベトナム戦争に送れるはずはなかったのだと歯がみしても後の祭りである。
トム・クルーズ主演で1996年に上映された「ミッション・インポッシブル」では上司のフェルプスが部下を裏切るシチュエーションになっている。ネタバレを怒る人ごめんなさい。謝ったから書いちゃうけどフェルプスの動機は「冷戦が終わって敵から隠す機密はなくなりスパイ作戦は消滅した。時代は変わって諜報員は過去の遺物。飽きのきた女房と年金6万2000ドル」だった。
同映画の元ネタである邦題「スパイ大作戦」ではフェルプスは大ボスであった。その彼の裏切りとは、いわばドリフターズをいかりや長介が裏切るのと同じで「ありえねー」なのだが「諜報員は過去の遺物」の言葉には妙に納得させられた。

何がいいたいかというと1991年のソ連崩壊を頂点とする「東側」の消滅は日本を含む西側にいわゆる平和の配当をもたらしただけではなくて弛みも与えたのではないかという点だ。

ソ連は敵だった。しかも強敵だった。西側のボスであるアメリカとタメを張れるほどに。
ソ連というと完璧なイメージがあった。何だかすべて機械化されて感情が論理に支配されていて、しかも文句なく強い。その国をリーダーとする共産主義圏もまたアナロジーでとらえていた。北ベトナムがアメリカを相手に最後は勝ってしまったのにも舌を巻いた。何しろ日本をボロ負けさせた強国を打倒してみせたのだ。
「相手は強いぞ」との危機感は身を引き締めるのに便利だ。冷戦構造自体は望ましくはなかった。それは確かだが一部を除いて世界的な「熱戦」すなわち第三次世界大戦を引き起こさなかったと知っている今になって振り返ると、結果として1945年の第二次大戦終了から約45年間の日本国民の緊張感はそれで保たれたと推察するのだ。
たとえば今時の父親に「あんまりのぼせるとベトナムにやるぞ」に匹敵する殺し文句があるかと想像するに思いつかない。

そして日本の高度成長もまたこの時期にあった。最近美化されている昭和30年代も含まれる。繰り返しになるが今になって結果論として「冷戦のままだった」という地点から振り返れば「夢と希望にあふれた昭和30年代」もあり得ようが当時はいうまでもなく核のボタンに何となく、でも確実におびえてはいたのだ。米ソが核戦争に突入すれば人類が何十回も滅亡するなどというナンセンスなシミュレーションが真顔で語られた。人類は1回滅亡すれば十分だという真っ当な突っ込みさえ入れられなかった。

ソ連崩壊から15年が経ち、世界はアメリカのみを唯一の超大国とする一極構造に変わった。それは冷戦時に望んでいた構図のはずだった。少なくともソ連一極支配よりいいに決まっている。それは変わらないが、「世界中が西側だけ」という言語矛盾の状況で決定的に怖い相手を失った我らは明らかに困惑した。

中国でさえ当惑していよう。覇権国家ソ連とでは100年たっても大丈夫・・・・もとい解決しない予定だった中ロ国境紛争が21世紀に入って5分5分条項で解決してしまったから。この紛争で孫子の代まで食べる予定だった中国人は多かったと思うよ

今でも世界中に紛争が起きているじゃないかとの反論もあろう。ただそれが導火線となって米ソ二強の最終戦争突入!との緊張感はない。もしや少子化も下流社会も少年犯罪も皆この緊張感のなさが陰に陽に関係しているのではないかとの疑念を当今抱くのだ。

アメリカは相変わらず敵を見つけては叩いているが最初から圧勝気配で賭けが成立しないほどである。
「テロとの戦争」はレトリックにすぎない。テロとは相手国と戦争ができない程度に貧弱な武力しか持たない程度の集団が仕掛けるゲリラ戦である。言い換えれば戦争に打って出られないからテロなのであって「テロとの戦争」もまた言語矛盾である。

ソ連崩壊後、アメリカは結局フェルプスの「諜報員は過去の遺物」と同様のカラの巣症候群に陥ってしまった。だったらファイティングポーズも降ろして「飽きのきた女房と年金6万2000ドル」で暮らせばいいのにフェルプスができなかったように米軍は自らを過去の遺物にはできない。
だから全然話にならないほど弱い集団をソ連並みに扱って叩きつぶしてきた。ここに根本的な倒錯がある。冷戦終了後のアメリカは「vs実は偽ソ連」の茶番を見せてきたのだ。「敵から隠す機密」などなくなったのにあるがのようにみせかけて最近では主に中東でケンカを売っている。それに日本も付き合ってきた。イラク戦争の時にサダムに命を預けた精鋭の共和国防衛隊と特別警護隊が油断ならないなんて情報もあったよね。どこにいたんだ警護隊。

今度はイランの核だってさ。それにおののいて見せる日本人よ。我らの方が核技術はイランより数段上なんだぜ。
だが本質的に茶番で倒錯している世界観である。倒錯や言語矛盾も10年続けば何となく当然に感じてくる一方で人はいくら洗脳されても倒錯や言語矛盾に不快感を覚えるのだ。そのギャップ、いわばウソくさーい雰囲気が当然視される世論。腐臭の中で生まれ育つと言い換えてもいい。まともに人が育つわけがない。

解決策はいくつかある。まずはアメリカが仮想冷戦ポーズをやめることだがやめられないからバツ。次に本当の新ソ連を見出す方法があるが中東や東アジアの1つや2つの国では茶番が見抜かれるのは時間の問題だから多分「対イスラーム」に持っていこう。結構いい勝負?にはなるが冷戦と同様に不幸のなかの結果的安定が必ず得られる保証はない。

いっそ宇宙人に攻めてきてもらってはどうだろうか。アメリカもイスラームも金正日もウサマも手を取り合って団結しよう。ハリウッドとNASAで提携したら。(編集長)

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