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2006年3月24日 (金)

U2と「やすきよ漫才」

アルバムのHow To Dismantle An Atomic Bombは何回も聞いた。Vertigo 2005/U2 Live From ChicagoのDVDも興味深く見た。サーチライトが私に当たったら気絶しゃうとの女性ファンの声も拾った。BonoをPersons of 2005に選んだTimeの記事も読んだ。後は来日コンサートで確認するだけだったが延期となったので今ここで結論を述べよう。

その前に何を考えていたか紹介するのを忘れていた。先のグラミーで主要を含む5部門ノミニーにして全勝という評価は正しかったのか・・・・すっとずっと悩んでいた。お前が悩んで何になるとの突っ込みは止しにしよう。

で結論。やっぱり褒めすぎだと思う。「思う」とあいまいにしたのは言い切れない何かがあるから。私はU2のファンである。そのスタンスから考察して書いているのを留意いただけるとありがたい。

U2を、というよりもBonoを称える、称えたくなる心理とは何だろう。それがあるから、つまり純粋に音楽性だけではなくTimeまでほめたくなる付加価値とは何だろう。プラスアルファがこのバンドを評価せずにはいられない高みに誘っているとすれば「褒めすぎ」という結論になるはずだ。
いろいろ思い当たってみた。で素っ頓狂ではあるがU2とは横山やすし&西川きよしの「やすきよ漫才」に近いのではないかとの見立てに至った。
ロック界におけるThe Beatlesはエンタツ・アチャコであろう。それまでもあったロックンロールをロックという分野に自生させ特有のスタイルを確立し、何よりもそれまでとは比較にならないほどのファン層を獲得した。チームを組んでいた時期が驚くほど短いという点でもThe Beatlesとエンタツ・アチャコは共通する。
The Beatles以来の習いとしてイントロとサビ部分の分離や強弱、Beatles後期に顕著となったアルバムコンセプトの概念などは、その後のロックで良くも悪くも呪縛となった。エンタツ・アチャコのしゃべくりだけでのボケ・突っ込みの概念と同様に。
U2の、つまりBonoのスタイルは、この呪縛を部分的に打ち破ってきたといえよう。つまりイントロとサビといった分離がBonoの歌唱では不可能だからだ。全部サビにも聞こえるし、すべてがイントロだといってもあながちおかしくない。強烈なシャウトがサビといえばサビかもしれぬが、そこまでがイントロというわけではない。こうした試みはパンクで最初行われたがBonoの場合、初期はともかく現在はパンクには位置づけられない。
「やすきよ漫才」もまたやすし復帰後はボケ・突っ込みの区別がつかない独特のスタイルを作り上げた。その再生は誰もいまだにできていない。Bonoはボケ・突っ込みのフュージョンとなったやすし・きよしを1人でやっているようなものだ。「1人でやすきよ」ってのは凄いな。

ここはファンによって異論もあろうがU2はアルバムによって音楽性や完成度に差があるバンドでもある。1世代前のNeil Youngに似ているといえば似ている。ただし2000年のAll That You Can't Leave Behind と今回のHow To・・・・あたりが一応の結節点ではないかとの予感がある。
かつては演奏が下手だとかファンは難解なだけで実は内容のない歌詞を勝手に解釈して自己満足しているだけだとか、仲間の結束を誇っているようで結局Bonoは啓蒙専制君主にすぎないとか、いろいろいわれたが前世紀末からの政治的・社会的発言と行動が文化人としての彼の地位を高め、間違っても「難解なだけで実は内容のない歌詞」とは言えない雰囲気になってきている。
やすきよの漫才も恐らく最初は苦し紛れに決行したのであろうが漫才ブームなどのムーブメントが後追いしてきた結果として神格化され、今や芸術の領域で語られている。U2もその域に踏み入れつつある。

でもなあ。問題はそれでいいかだ。一度そうなると自己変革は難しい。「下りられない」と言い換えてもいい。BonoがBonoをパクるような状況になってもグラミーは、むしろ故に安心して与えられ続ける。私はバラツキがあるというか、脈絡がないというか、そうした時代のU2の方が好きだった。すごくお金がないと一目瞭然のPVが楽しかった。伝統芸能にならないでほしいと願っている。

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またまたBONOネタです。 *** GOETHE〔ゲーテ〕創刊第2号独占インタ [続きを読む]

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