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2006年2月 9日 (木)

バレンタインデーという憂鬱

それは「一部のイケメンを困惑させ、大部分のもてない男を憤激させる壮大な愚挙」と定義できよう。
もらったことがないひがみから言っているのだろうって? フフフ違うんだな。私とてチョコレートとは限らんまでも、その日および前後になにがしかのプレゼントをしてくれる未婚の女性は毎年何人かはいるのだ。
エッ!裏切り者だって? このラインで「もてる」「もてない」を区別して戦うのはよそうよ。広義の「もてない」が万国の労働者のように団結してこそ資本家階級であるイケメンに勝てるのだとマルクスは言っていないから私が言おう。
「もてない」同士が微差のナルシシズムを競って際限なく足を引っ張り合ってはならない。醜悪が醜悪を演じてどうする。「もてない」の矜持は「私もそうだ」とカミングアウトした者のバックグラウンドを詮索せずに快く仲間とするところにある。少々チョコをもらっていたからといって、たまたま彼女がいたからといって排除の論理を働かせては敵の思うつぼである。むろん敵とは・・・・

おっとっと。タイトルとそれた方向へ無意味にもっともらしく突っ走るところだった。軌道修正して改めてバレンタインデーを述べる。

女より/智恵ありといふ/男達/この戦いを/やめぬ賢さ

と与謝野晶子に痛烈に皮肉られたように男性の大半は女性よりアホである。だがバレンタインデーとダイヤモンドへの執着だけは晶子の歌の「男」と「女」を入れ替えていいのではなかろうか。
バレンタインデーが日本の製菓業者の、ダイヤモンドは月収の何とかがデビアスの、それぞれの商魂に発したことは今さらいうまでもない。うちデビアスの市場支配力は近年低下しているが日本の女性がしょせんは白墨と同一に過ぎないあの鉱物にかける妄執はやまない。
恋のあれこれで男が犯す最大の錯誤は「(ある女性を)想っている量が他の男性より勝っていれば女性は評価してくれる」であろう。「君はあいつの方が好きかもしれない。でもオレの君への想いはあいつの何倍もあるのだ」といえばわかってくれるとか考え直してくれるといった勘違いである。実際には何の効果もないばかりか有害でさえある。「キモい」を決定づけるのだ。
これと同じ錯誤を女性はバレンタインデーで犯す。正体は「私が心を込めて贈った大好きな食べ物を相手は喜んでくれる」だ。したがって最高級のゴディバならば恋する男性の心を動かせる、ないしは義理チョコに止めれば相手も「義理に過ぎない」と出過ぎた真似はしない、とね。
そうじゃないんだな。最高級チョコを贈られる男はほんの一握りしかいない。したがって彼の下には最高級しか集まらないから最高級の価値を究極的には保持し得ない。これを経済学では合成の誤謬という・・・・というのはウソだが似たようなところはある。

いったいに女性は甘いものが好きである。だが男性は必ずしもそうではない。だから贈り主の女性が大好きな甘いチョコが恋する男性を甘くさせるとは限らない。

戯奴のため/我が手もすまに/春の野に/抜ける茅花ぞ/召して肥えませ

とは万葉にある紀女郎の相聞歌である。これに似た勘違いといえよう。

一方の義理チョコは明白に「義理チョコだ」と言い放つか板チョコのように間違いなく最底辺のチョコだと広範に認識されているものを贈らないと相手は相当の確率で「義理に過ぎない」とは思わない。相手は乾きに乾いた砂漠の漂流民の如しだ。ならば泥水でも甘露である。よって義理以上と邪推されて、つまり誇大妄想を与える。かくしてアンパイはストーカーへ変貌を遂げる・・・・やも知れぬのだ。

女はキモい男に贈り物をされれば大半の者が嫌であろう。だが男は違う。とくに「もてない」は。「オレも結構イケてるじゃん」と本気というか本能というか、名づけようのない想いで胸を焦がす。

結論。バレンタインデーは女性にとってバカげている。本命の男性には甘さが届かず、義理の相手の胸を熱くするだけだ。

・・・・ふむう。ということは結局は女性の愚かさを指摘したようで、その淵源は男性側にあるということか。世に男と女しかいない。なのに恋の行き交いは複雑怪奇である。

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コメント

過去のバレンタイン・・・

「義理」のみ・・・
「義理」も最小限・・・

結婚相手に贈るチョコなんて、
ちょっと意味違うし・・

「ドキドキしながら渡す」なんてこと
恥かしくて・・・・
お菓子屋さんに作られたバレンタインデーに反抗的なところもあるし。

「義理」は人間関係の潤滑剤でしょう。
相手によっては「おまえなんかから
もらいたくないよ」と思うかもしれませんが・・・・

こういうところが、可愛げないのよね。

投稿: k | 2006年2月 9日 (木) 08時00分

白墨は石膏ですので組成はCaSO4・2H2O
ダイヤモンドの組成はC
白墨ではなく(木)炭が妥当です。

投稿: 杉作 | 2006年2月 9日 (木) 11時19分

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