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2006年1月12日 (木)

日本橋の青空は逆さ富士

ナポレオンは凱旋門を、金日成はチュチェ思想塔を建てた。独裁者は最後には自分の偉業を形にして後世に残したいと願う。わが国の独裁者、小泉純一郎首相の場合は日本橋であるらしい。
それにしてもこの首相はタフである。荒木飛呂彦の言葉を借りれば「ちっぽけな根性が実にタフ」なのだ。靖国参拝、ムダな道路も造れる道路公団民営化、結局は国債を買うしかない郵政民営化、ワイドショー向けの刺客騒ぎ、ほんのわずか切り込んだだけの国債30兆円の公約。
どうです。ちっぽけな根性が異様にタフではないですか。その極点が「日本橋に青空を」なわけだ。数千億円ともいわれる経費は道路特定財源から捻出。標的はまたしても有料高速道路。

そして青空作戦の首相の私的懇談会のメンバーが振るっている。
中村英夫武蔵工業大学教授は道路関係四公団民営化推進委員会で国土交通省側と思われる慎重論に終始した委員で、奥田碩日本経団連会長は経済財政諮問会議の民間議員として「改革」の旗振りをしていたくせに出身母体のトヨタ自動車を守るために道路特定財源の一般財源化には反対する変節漢である。
要するに「日本橋に青空を」構想はモニュメントを残したい独裁者と御用学者と利益を1兆円以上あげているのに飢えが収まらないガリガリ亡者の集合体。そこにムダの根源である国土交通省の小役人とゼネコンが群がる醜悪な構図が透けて見える。

といって鈴木俊一東京都知事が新宿に猛烈豪華な都庁を建てて「バブルの塔」と批判されたようなことを小泉首相はしない。あくまで清廉な改革者を装うにはハコモノは避けたい。といって独裁者の証しは残したい。
そこで日本橋に青空を戻す。文化だ伝統だとの修飾を施すのはハコモノと同じだし血税を注ぎ込むのも土建国家の政治家と変わらないが小道具と手法を変えて目くらます。タフでしょう!ちっぽけな根性が。
日本国民が豊富に有する島国根性と首相のタフでちっぽけな根性はたいそう相性がいいらしく内閣支持率は各種調査で5割を越えている。どんどんバカになっている。もはや小泉批判は聞こえない。

富士5湖の「逆さ富士」を想起する。かつて我々は富士山の頂上を目指していた。だがその正体は現実の富士がそうであるようにゴミだらけで醜悪であった。ヨッシャヨッシャの油ギッシュな角栄まがいのオッサンに連れられて目指した場所はシャンバラでも何でもなくただの経済敗戦の焼け野原。
そこに清潔そうな男が指を下にして呼号する。これまでの指導者の助言はすべてウソだ。我らがシャンバラはあそこにある、と。上へ上への営みではもはや得るものはないと感じ取っていた人々は彼の指さす方向を見た。するとそこにこそ、目指したはずの富士山があるではないか。
新たな指導者は戻れという。伝統や文化を思い出せと叫んで自らそれらしき振る舞いをしてみせる。大衆は湖に飛び込んで真の頂をめざす。どんどん深く潜っていく。そして窒息死するのだ。
途中で息苦しくなった国民のなかには水面をふと顧みる者もあろう。そこには青空が広がり指導者のワンフレーズが轟く。安心して改めて下を見ると自分が止まっている間にさらに深く潜っている同僚がいる。ヤバイ。私も潜らなければ・・・・

私たちは気づかなければならない。その指導者は地上にいてありもしない逆さ富士の頂に殺到する国民の衰弱を待っていることを。彼と彼の眷属だけは青空のなかで堂々と呼吸をしている。こんなことをもう5年近く続けているのだ。青空が必要なのは日本橋ではない。崇高を求めて実は堕落と無為に一直線の国民である。

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