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2006年1月27日 (金)

堀江貴文と江副浩正

ライブドア事件とリクルート事件。20年の月日を超えて両者の共通点は驚くほど多い。以下に列挙してみよう

1)若い
リクルート創業者の江副浩正氏は東大在学中に起業し、事件が発覚した88年の時点で52歳と堀江容疑者よりもずいぶん歳がいっているが、今日の同社のコア産業である求人情報の『就職情報』を創刊したのが41歳、女性転職の一般名詞にまで浸透した『とらばーゆ』は44歳時の発刊である。東大在学中からの若い起業家と呼んで差し支えなかろう。

多分急な呼び出しだったせいであった。その日の議会調査特別委員会でリクルートコスモス社(マンション・不動産業)の取締役に参考人質問が行われるのを取材せよと命じられ、時間ギリギリに議会のある階までエレベーターで向かった。
開いた瞬間に待ちかまえていたご同業からシャッターの嵐!その後すぐ「何だ毎日かよ」「今頃来るな」「エレベーターに乗るなよ」とブーイングを浴びせられた。そりゃなかろうと思いつつ「渦中の人」の心境を初めて知ったような気がした。
参考人の取締役は42歳だった。質問後あちこちから「若いねえ」と声が上がる。役所では50歳になるかならぬかで課長というのが通り相場だから、大企業に成長したリクルートグループの役員が40代前半となるとそう感じるのも無理はない。
一方のライブドアグループはホリエモンが33歳で役員も40歳前後である。もっと若い。

2)虚業
「元々虚業だったんだよ」。朝日新聞06年1月24日朝刊が伝える「検察幹部」の声だ。同じ「虚業」はリクルート事件の時にもよく使われた。広報・宣伝ではなく人事から広告を取り、メディアではなく自社媒体に掲載して売る。
雑誌は非常に安い上にオピニオンのかけらもないから「あんなの出版じゃない」と出版業から白い目で見られ「求人情報など広告ではない」と広告代理店からも冷たくされた「すき間産業」というのが当時の認識だった。
ライブドアの事業もポータルは先行社のマネで特長がなく、買収した会社も事業がうまくいっているところがほとんどない。物販は最近買収した弥生と中古車くらい。だから虚業だと。
しかし、では実業とは何だ。楽天はショッピングモールを持っているから、ソフトバンクはヤフーBBがあるから実業だとの解説を聞いたことがあるが、その差が私にはわからない。メーカーでも名前は伏せるが「マネばかりしている」と揶揄される巨大企業もある。

3)子会社から発覚
リクルート事件は同社子会社の「ファーストファイナンス」社の融資付き未公開株の売買疑惑ではじまった。ライブドア事件も子会社化した出版社「マネーライフ」が出発点だ。着手の視点がよく似ている。
もっといえばファーストファイナンスもマネーライフも言っちゃあ悪いが身もフタもない、それでいて事件のイメージを想起させる名前だ。贈賄が「さっさと融資」のファーストファイナンス、「儲ければ勝ち」の企業体がマネーライフ。

4)ITと民営化
江副氏が政財界に広く未公開株をばらまいた理由は複雑であるが、大きな目的に85年に民営化されたNTTの存在が大きい。活字媒体からの飛躍を狙ってNTTと協力し、当時「ニューメディア」と称された今でいうIT技術の先進者として電子化された情報のネットワークを構築しようとの構想が政財界への賄賂へとつながっていった。
ライブドア事件と郵政民営化は総選挙での堀江候補のお題目を除けば直接の関係はないが同社自身がIT企業であり、その可能性を盲信して事業拡大を図り、結果として墓穴を掘ったという点で両事件は共通する

5)検察を怒らせたお騒がせ体質
リクルート事件は当初、贈収賄立件の厚い壁を破るのは難しいとみられていた。ところが日本社会党(当時)の楢崎弥之助議員がコスモス社の社長室長からの贈賄工作を自ら撮影してテレビで放映させるという豪腕ぶりを発揮して生々しいやり取りを見せられた世情は騒然となる。
ライブドアの堀江社長はことあるごとに「儲けるが勝ち」「人の心はお金で買える」と公言した。『沖縄タイムス』06年1月25日付社説によると「脱法だとしても、合法だったら許される」とまで主張したとされる。そしてそのようにして実際にもうけた。
検察とくに特捜は意外なほど世論に敏感である。92年に金丸信自民党副総裁が5億円の政治資金規正法違反に問われて罰金20万円で済ませた時に「検察庁」と掘られた石碑にペンキがかけられるなどゴウゴウたる非難が検察に殺到した。それが翌年の脱税による金丸逮捕につながる。
同時に検察は、少なくとも主観的には自らを正義の執行人と信じている。だから公然と贈賄場面が報道されたり「脱法」は構わないと高言されれば「この野郎」となるに決まっている。

なぜ江副氏も堀江容疑者も黙っていられなかったのか。「爆弾男」と称されていた楢崎議員に賄賂を持っていくなど導火線にわざわざ火を付けにいくようなものだ。
堀江容疑者に至っては何もいわなくたって稼げたはずである。法網はあえて粗めに作られている。がんじがらめにしたら異様に息苦しい社会になってしまうからだ。そこを逆手に取ってずるく立ち回るのが脱法である。彼はそれが自分ならばできると自慢したかったのか。
しかし違法性の有無をトリミングして1つの構図を作り出して勝負する仕事が監視する側にもあったことを忘れていたようだ。秋霜烈日の存在である。

6)株バブル
リクルート事件はバブル景気という時代背景がなければ立件はさらに難しかったであろう。上場すれば値上がり確実な株の融資付き譲渡は賄賂になるという論理は「値上がり確実」という前提がないと成立しにくい。86年~87年頃から90年頃まで続いたバブル景気はまさに「値上がり確実」を担保していた。
ライブドアの錬金術も少なくとも事件性を問われている昨年の市場がバブル化していたから大いなる儲けをもたらした。実体経済がどん底ではライブドア株をはやす気にもなれない。

7)そして・・・・
気になる今後である。江副氏は堀江容疑者と同様に逮捕を機に経営を離れる。リクルート事件の場合は江副逮捕から14年後の2003年に刑が確定した。その間に大株主でもあった江副氏は1992年にダイエーに譲渡して同社の傘下に入る。事件発覚からダイエー入りまでにバブル崩壊があって事件の中核だったコスモス社やファーストファイナンスが経営危機に陥るが現在も健在である。
リクルートにとって幸いだったのは信用を供与したダイエーのトップ中内功が「君臨すれども統治せず」の姿勢を守ってくれたことだ。当初は社内でも批判が大きかった江副氏の株譲渡だったが結果として最高の時期に最適の人物に委ねたといっていい。
周知のようにダイエーそのものも21世紀に入って急速に転落するがその直前にリクルートグループはダイエーから離脱して今日に至る。
堀江容疑者が否認を続ければ裁判は長期化が予想される。10年ぐらいかかるかもしれない。そして実刑を食らい未決勾留分を差し引いて、かつ満了より少し早く出所したとしても15年ぐらい後のことだ。33歳のホリエモンも48歳になっている。
やはり彼が今なし得る最大の社業への貢献は20%程度の自分の持ち株を当時の中内氏のような人物に引き受けてもらうことであろう。お仲間のヒルズ族と外資は絶対ダメ。イオンの岡田卓也名誉会長に泣きつくというのはどうかな。ライバルのセブン&アイがミレニアムリテイリングとの経営統合を発表してカリカリしているだろうから。

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コメント

一見似ているようだが、これはこじつけ。
江副さんの起こした会社にはきちんとした人を育てる文化があった。
堀江の会社にそんな文化がありますか?
江副さんの場合、その当時から続々と人を輩出し、大成功して、人の役に立てる人がどれだけいることか・・
10年後堀江の会社から一人でも世に出る人がいるでしょうか?
似て非なる者とはまさにこの二人。
私は江副さんの事件は彼の認識不足のせいだと思います。
堀江の場合は確信的なところがあると思います。
江副さんに義理があるわけではありませんが、彼にはきちんとした道徳があります。

もっと勉強してください。

投稿: 匿名 | 2007年4月12日 (木) 20時37分

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